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長谷川 治彦 院長の独自取材記事

谷口眼科

(大阪市平野区/平野駅)

最終更新日:2019/08/28

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大阪市営地下鉄谷町筋線平野駅から徒歩約2分。駅の5番出口を出て頭上に走る阪神高速を背に、一本奥の路地を東側に進んだところに「谷口眼科」はある。院長の長谷川治彦先生は、1984年に愛知医科大学を卒業後、京都府立医大眼科教室研修員を経て、母の後を継ぎ、1991年に谷口眼科の院長に就任。経歴を見ると順風満帆な人生のように思えるが、実は平坦な道のりではない。なぜなら長谷川先生自身、先天的な高度難聴というハンディキャップがある。20歳まで音のない生活を送ってきたが、このままではいけないと一念発起して医師になった努力の人である。そんな長谷川先生にいろいろと話を聞いてみた。
(取材日2017年8月2日)

母の姿を見て医学の道へ

眼科の医師をめざした理由はなんですか?

1

私自身、難聴というハンデを抱えているのが大きいでしょうね。人にとって眼は大切なパーツです。外界の情報の80%以上は眼から得ていると言われていますし、耳にハンデを抱えているからこそ眼科に携わりたいと思いました。あとは母の影響が大きいですね。彼女も私と同じく眼科の医師でした。もともとは内科だったのですが、わが子である私が難病を抱えていたこともあり、眼科に転向しました。ちなみに私と母だけでなく、妹と姪も同じく眼科の医師なのですが、実は私の子どもの頃の夢は天文学者になることでした。難聴なので医師になるなんて、とても無理だと思っていたわけです。だから星を見る仕事なら自分にもできると思ったんです。だから小学生の頃にニュートン式望遠鏡を買ってもらい、いつも星を観察していましたね。しかし、医師として地域に根差し、患者さんと接する母の姿を見て、医学の道に興味を持ちました。

難聴ということですが、流暢にお話をされますね。

これは練習の賜物ですね。20歳までほとんど音のない生活をしていました。そのために聞き取りにくい話し方だったようで、このままではいけないなと思い、一念発起して発声練習をするようにしました。練習というのは、お経を詠むことです。お経といってもいろいろありますが、私の場合は法華経ですね。特別、宗教に興味があったわけではないのですが、お坊さんの読経はハンデを抱える私にとっても良い声に聞こえるので、発声練習にぴったりではないかと思ったのがきっかけです。最初は見よう見まねですけど、頑張って続けたら、ここまで話せるようになりました。練習をするときのコツは大きな声を出すことですね。今では日常会話なら困らなくなったのですが、診察のときは別です。患者さんの訴えをきちんと聞きたいので、念には念を入れてスタッフさんに聞き取りのお手伝いをお願いするときもあります。

学生のときは授業が大変だったのではないですか?

2

そうですね。確かに学生のときは大変でした。友人には恵まれていたので、人間関係で悩むことは少なかったのですが、授業で先生の話を聞くのが大変でした。一対一で授業を受けることができたら良いのですが、授業は私だけのものではありませんから。ただ、改めて思い返すと人には恵まれた人生だったとも思います。学生時代は友人に恵まれ、今はスタッフさんに恵まれています。20年以上も勤続してくれてる方もいるんですよ。先日、おかげさまで還暦を迎えることができたのですが、お祝いということでスタッフさんが私を模したフィギュアを作ってくれたんです。あれはうれしかったですね。

少しでもわかりやすい説明をするための工夫

患者さんと接する時に注意していることはありますか?

3

患者さんの訴えをしっかり聞いて、それに応じた治療を行うことですね。きっちり検査をして、しっかりと説明することも心がけています。そのときに口頭で説明するだけでなく、症状ごとにわかりやすい資料を用意して、できる限り詳しく患者さんに説明するようにしています。そして、なるべく患者さんの負担を減らせたらと思っています。治療だけでなく費用の面も負担をかけないように、当院ではなるべく検査はOCT(眼底三次元画像解析)を中心に行うようにしています。眼科にはOCTの他に視野検査という検査方法がありますが、これは保険点数が高いんです。OCTで済ませられるならOCTのみを使うようにしています。

厄介な眼の病気について教えてください。

糖尿病性網膜症、黄斑変性症、緑内障の3つですね。これらは主な失明の原因とされています。糖尿病の患者さんで突然、視界が赤くなったり、暗くなったり、急激に視力が落ちたら注意してください。糖尿病性網膜症の可能性があります。黄斑変性症というのは視界に歪みを感じた後、視界の真ん中付近が見えにくくなる病気です。どちらも厄介ですが、最も厄介なのは緑内障ですね。糖尿病性網膜症も黄斑変性症も初期症状が自覚できますが、緑内障にはそれはありません。緑内障は治療せずにそのまま放置すると最初はゆっくり進行します。末期になると視野欠損の進行が早くなり視力低下して失明します。だから自覚症状がある場合は勿論のこと自覚症状がなくても、1年に1度でもよいので眼科へ定期的に行くようにして欲しいですね。自覚症状が出てからでは、かなり悪化している場合も多いですから。まだ大丈夫だと、自己診断するのは止めてください。

貴院では手術も行えるのですか?

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当院では手術を行っていません。手術が必要な場合は提携している大きな病院を紹介します。当院で手術を行っていないのは設備的な理由もありますが、一番の理由は私が難聴を抱えているからです。医師という仕事に携わった以上、私個人の気持ちとしては手術を行いたいですが、患者さんにリスクを与えてしまう可能性があることを考えると、諦めざる得なかったわけです。私の個人的な思いだけで、患者さんを危険に晒すわけにはいきませんからね。とても悔しいことですが、それをバネにして患者さんたちにとって身近な存在である、かかりつけ医としてのプライドを持って日々の診療に臨んでいます。

中医学によるアプローチ

東洋医学によるアプローチもされるそうですね。

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東洋医学というよりも中医学によるアプローチですね。漢方を扱っている中医学です。中医学というのは中国各地でバラバラに培われてきた伝統的な医療の流派を、当時の時の権力者の命令によって1つにまとめられたものです。中医学にもともと興味があったわけではないのですが、医師になりたての頃に、気功を扱ったテレビ番組をたまたま見て、中医学にも興味を持つようになりました。そこで漢方薬を扱っている業者さんにお願いをして、たんぽぽ茶に精通する邵輝(ショウキ)先生にお会いしたのがきっかけで、中医学によるアプローチを行うようになりました。当院では月に一度、邵輝先生による漢方薬の相談を行っていますので、興味のある方はご相談ください。

好きなことについて教えてください。

子どもの頃は天体が好きでしたが、今は妻と一緒に旅行をするのが楽しいですね。これまで中国、エジプト、ブルネイ、ドバイ、フランス、スペイン、イタリアなどに行きました。その中で印象に残っているのはスペインとイタリアですね。新婚旅行のときに行った場所でもあります。あと園芸が好きですね。診察室の窓からも見えますが、当院の裏庭に生えている草花はすべて私と妻が育てたものです。実は庭をおいおい畑にしたいなと思っています。前にも一度挑戦したのですが、失敗したので再びチャレンジしたいと思っています。

最後に読者に伝えたいことはありますか?

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医学というものは日進月歩です。今日治らなかった病気が明日には治るようになっていても不思議ではありません。眼科の医師として最大の敵といえば失明であり、患者さんがそういう状態にならないように努めていますが、仮にそのような状況になっても諦めてはいけません。現在、研究が進められているIPS細胞などに希望が見いだせるかもしれません。だから失明したとしても近い将来、治療ができる可能性があるので、希望を持ってほしいですね。

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