全国のドクター8,761人の想いを取材
クリニック・病院 161,545件の情報を掲載(2019年12月16日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 大阪市平野区
  4. 喜連瓜破駅
  5. 医療法人 林診療所
  6. 真島 玲子 院長

真島 玲子 院長の独自取材記事

医療法人 林診療所

(大阪市平野区/喜連瓜破駅)

最終更新日:2019/08/28

73026

大阪市営地下鉄谷町線・喜連瓜破駅から北西に徒歩約10分、市営住宅や学校が立ち並ぶ静かな一角にあるのが「医療法人林診療所」。高層住宅への建て替えが進み、以前からの住民に加えて転入者も多く、幹線道路沿いには大型店舗がそろうなど、暮らしやすさがうかがえる。先代である父が1964年に開業した同院は、娘の真島(まじま)玲子院長に引き継がれ、50年以上にわたり地域の診療所として親しまれてきた。幅広い年代の患者が受診する外来のほか、地域に高齢者が増えたことを受け、訪問診療にも力を入れている。「患者さんの生活や内面にまで関わりながら診療することが大切なんです」と優しい笑顔で語る院長に、診療内容やこれまでの歩みについて聞いた。
(取材日2017年9月20日)

地域医療に向き合ってきた50年

開院から50年以上、地域に寄り添ってきた診療所ですね。

1

当院は、私の父が1964年に開業しました。この西喜連地区は当時から市営住宅が立ち並んでいたので、多くの患者さんが来られたものです。診療所と自宅が隣接していたので、子どもだった私でも「診療時間には静かにする」など診療を肌で感じていました。医師をめざすようになってからは、働く父の姿を間近に見ることができたことも、良い思い出です。私が当院を継承した1996年頃からは、老朽化した住宅の建て替えが始まり、周囲は徐々に高層建築に変わってきました。ですから新しく転入される方も多いのですが、以前から住んでいる方がご高齢になって、一人暮らしをされるケースが非常に増えています。高層住宅の中にも、独居向けの間取りが用意されています。このような地域の変化にあわせた診療を行っています。

医師を志したのはなぜですか。

家を継ぐように言われたこともなく、自由な校風の学校で伸び伸びと生活し、小学生の頃は「漫画家になりたい」なんて思っていました。医師になりたいと思うようになったきっかけは、高校生のときに家族で行った広島旅行です。原爆資料館で、ある医師のドキュメンタリーフィルムを見ました。その医師は原爆投下直後に京都から救援に向かい、入市被爆されて、数ヵ月後に白血病で亡くなられたとのこと。医師が、自分を犠牲にしてまで打ち込める仕事であることに強く心を動かされ、医師になろうと決心しました。それから改めて父をみると、体調が悪くても患者さんが来るからと休まず診療していましたので、医師という仕事の責任を改めて感じたものです。

現在の診療内容を教えてください。

2

外来診療では患者さんの大半が成人で、地域の年齢構成もありご高齢の方が比較的多くなっています。ただ、プライマリケアの医師ですので、赤ちゃんから100歳を超えるご高齢者まで、父の代から3世代、4世代とお付き合いするご家庭も多いです。高齢者では不整脈、悪性疾患、神経疾患などのご相談が多い傾向にあります。また女性医師ということで、骨粗しょう症や過活動膀胱など女性特有の病気については、ホームページを見て当院を受診する女性患者さんもおられます。また、在宅医療にも力を入れていて、脳疾患の後遺症、悪性腫瘍、神経疾患などで通院が困難な患者さんのご自宅を、地域包括支援センターなどと連携しながら訪問しています。最近では、退院してご自宅へ戻る方のかかりつけになってほしいと、病院側からお問い合わせいただく機会も増えてきました。

患者の生活や内面とも向き合い改善へとつなげる

訪問診療に力を入れるようになった理由を教えてください。

3

当院を継いだ当時、それまで通院されていた患者さんが来なくなってしまい、こちらから電話してみると、「調子が悪くて診療所まで行けないんです」と言われることがよくありました。私たちのほうから出向くことも大事だと考え、生活の場に入ることで、初めて病状の原因がわかることもあります。例えば膝が痛いという患者さん。ご自宅では昔ながらの座卓を使っていて、立ち座りの際に膝に負担がかかっていたので、椅子とテーブルをお勧めしたところ、膝の痛みが改善しました。また、食事の内容なども、ご自宅へ行けばより詳しく知ることができます。実は、こちらを引き継ぐ直前に老人保健施設で勤務していたので、日常生活に近い環境で高齢者と関わる機会が多く、生活の中に入り込んで診療する重要性を痛感していました。そこで、訪問診療に力を入れるようになったのです。

一人暮らしの患者さんへのサポートはどのように行っていますか。

独居では急な体調変化が一番心配です。訪問介護のヘルパーさんが訪ねても応答がなく、消防隊を呼んでベランダから入ったら発熱した患者さんが倒れていた、麻痺が起きていたなどということが日常的に起こりますが、それを予防するためにも、日頃から生活を重視したアプローチを行っています。介護保険を利用すると、デイサービスや訪問介護のスケジュールがある程度決まってきますので、それを見ながら訪問診療を組み込みます。また、診療の際に気になることがあれば、担当のケアマネジャーさんの連絡先を聞いて私から連絡を取り、早めに対応してもらうように伝えます。他の職種との連携も、徐々にスムーズになってきました。また、ご家族との関わりも重要です。大事な診察でも離れていて立ち会えないご家族に、私からご連絡して、患者さんご本人がご家族に言えないことをお伝えする場合もあります。

患者さんと接する際に、心がけていることを教えてください。

4

外来で診ている患者さんが10年、20年とたつとご高齢になって、できなくなることも増えます。ですが、ご高齢になっても認知機能が低下しても、それぞれの患者さんの考え方や受け止め方を尊重すること。そしてそれに合わせて説明したり、一緒に考えて安心してもらえるように、ご相談に乗るよう心がけています。またご相談の結果、ご本人に頑張る意欲があっても助けが必要だと思える場合には、介護保険の申請などサポートをお勧めしています。長いお付き合いだからこそ、その方の生活に踏み込んでアドバイスできることもあると考えています。

若いうちから見つけておきたい「かかりつけ医」

印象に残っている患者さんはおられますか。

5

ある60代の一人暮らしの男性ですが、検査の結果が芳しくなく大きな病院に紹介したところ、進行したすい臓がんでした。いったんは入院して治療をしたものの、退院後は再び一人暮らしで、「好きなお酒を飲んで家で暮らせればそれでいい」と治療も拒否され、生活自体も荒れてしまいました。しかし訪問診療に伺ううちに、治療のことだけでなく内面的なお話をできるようになりました。また介護保険の利用をお勧めしてヘルパーさんに食事の準備をしてもらうなかで、だんだん食事をとるようになり、人との関わりを楽しく思うようになられたんです。がんが進行して病院に再度紹介した際にも、治療を積極的に受けようと考えるまでになっていました。患者さんの生活に寄り添い、お互いに人間として関わるようになって初めて、本心をお聞きできることもあると思います。ご縁があって担当させていただいた方には、丁寧に寄り添っていきたいです。

長い間、訪問診療を続ける中ではご苦労もあったと思います。

確かに患者さんの容態によっては、夜中に駆け付けなければならないこともあります。子どもが小さい頃から、食事の支度や保育園への送り迎えなどは夫婦で分担してきました。今もそのスタイルは継続していて、主人と成長した娘と3人で、家庭を維持しています。家族あっての毎日だったと思います。

先生ご自身が健康のために気をつけていることはありますか。

医食同源という言葉もありますが、食事はとても大切だと考えています。子どもが小さい頃はアトピー性皮膚炎をもっていたこともあったので、食品は吟味してきました。今でも、有機栽培の季節の野菜をできるだけ食べるようにするなど、旬の野菜のもつパワーを大事にしています。

最後に、読者へのアドバイスをお願いします。

6

社会が高齢化し一人暮らしの家庭が増えるなかで、それぞれの方がかかりつけ医をもつ重要性はより高まっていくと思います。若い方で、普段は健康で医療機関に行く機会がなくても、予防接種や健康診断などで診療所を訪れる機会を利用して、かかりつけ医を探されると良いと思います。そして、何でも気軽に相談できるのがかかりつけ医ですので、患者さんからささいなことでも相談してもらえるような診療所でありたいと思っています。

Access