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谷村 智彦 理事長の独自取材記事

谷村外科・内科

(大阪市平野区/平野駅)

最終更新日:2019/08/28

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地下鉄谷町線平野駅から徒歩15分、戸建ての家が多い住宅街の中にあり駐車場も完備されている「谷村外科・内科」は開業から30年を迎える。「医師になって6年目に父の病が発覚し病院を継ぐことになった」と話すのは谷村智彦理事長。大学病院で外科医師としてメスを握る日々を送り、専門分野でまだまだ習得したい技術や知識がある中で、幅広い診療が求められる開業医となることにはためらいがあったが、父の診ていた患者を引き継いだ際に言われた「若先生が来てくれて安心。お迎えがくる時まで診てもらえる」との言葉が、地域の患者の一生に向き合っていく町のクリニックの役割を感じさせてくれたと当時を振り返る。よく響く大きな声が印象的な谷村理事長にさまざまな思いを語ってもらった。
(取材日2017年10月10日)

常に開拓し新しい時代の医療をめざす

後を継がれるまでの経緯を教えてください。

01

関西医科大学を卒業後、京都府立医科大学の第二外科に入局し勤務医をしていました。父親の影響もあり、手先が器用だったので手術で患者さんを救いたかった。普通は心臓外科なら心臓だけですが、僕が入局した第二外科は、消化器、心臓、移植・内分泌とまわって一つに決めることができたので、腹部、甲状腺、肝臓、心臓、乳がんも手術をしていました。一生勤務医として手術に携わろうと決めていましたので、当院は2つ年下の妹が継ぐだろうと思っていました。ところが医師になってまだ6年目の時に、父が進行した食道がんだとわかったのです。私は知識も経験も浅い30歳くらいで、一人で診療していくなんて患者さんに失礼だと思ったけれど、妹は当然ながら私よりもまだ年数が浅かったので、自分が継ぐことになりました。

専門以外でも診ることになりますよね。

皮膚を診察したことがなくても「町のお医者さん」のところにはアトピーや乾癬の患者さんも来ますから。父が診察できる時には呼んできて一緒に診て、複雑な症状でなければ一人で診る。そのために皮膚科外来に勉強にも行きました。そうするうち新しい治療法も取り入れたいと思うようになりました。当時で言えば免疫抑制剤の処方ですね。もともと大学病院では内分泌系疾患を診てきましたから、ホルモン系・免疫系の治療は得意。腎臓移植の手術も専門だったので免疫抑制剤内服薬には詳しくて、アトピー性皮膚炎の治療にいかに有効か知っていました。自分が腎臓移植を担当した患者さんがアトピーを抱えていたことがあり、実際の症例としてその効果をわかっていたわけです。父の時代にはまだなかった新しい治療で患者さんのためになることを、早くから取り入れていきました。

反応はどうでしたか?

02

今では普通に処方されていても、当時は患者さんの抱く怖れや不安を解消して理解してもらうことが難しい場合もありました。中学生の患者さんに血圧を下げる薬を出したこともあります。血圧が高いからではなく、腎臓を守るためです。腎臓を悪くすると食事療法や運動制限などが治療の主体となってきますが、制限だけの治療では不十分というのが私の考えでした。血圧を管理することは腎臓の働きを長く保つ上で重要ですから、私は腎臓と中の糸球体を守るために、今でこそ一般的に使われるようになった、その頃出たばかりの降圧薬を用いる判断をしました。時代はどんどん進歩していて、新しい薬を上手に使うことが患者さんのためになりますから。ですが、それを受け入れてもらうのに時間が必要なこともあるんですよね。

患者が得する医療のために

具体的に現在はどういった診療をメインにされているのでしょう。

03

予防医療です。当院を引き継いだ頃からずっとですね。例えば腎臓でいうと、父の時代は「人工透析があるからいい」という考え方だったけれど、僕は透析を受けずに済むように腎臓を守ることのみが患者さんのためになると思っていたので、予防に力を入れてきました。今の時代はいかに透析をブロックするかという予防意識が浸透していますが、悪くなったら透析を受ければいいという考え方だと、腎臓の機能が低下した時に、生活改善に真剣に取り組む意識を患者さんに持ってもらいにくいのです。特に食事は塩分制限があり、肉や魚などのタンパク質も好きなように取れないとなると食べる楽しみが減ってしまいますよね。だから患者さんのモチベーションを上げてもらえるように、予防医療の大切さをどれだけ伝えることができて実践してもらえるかが肝心なのです。

じっくり説明するので診察時間が長くなりがちと伺いましたが。

口数が多いですから(笑)。以前、一生懸命治療しても症状が改善せず、ちょっとずつ悪くなっている患者さんがいて、その理由がわからずいろいろ尋ねてみると、私が処方している薬以外に自己判断で鎮痛剤を飲んでいたことが判明したことがあります。それは一番飲んでほしくない薬だからとすぐに服用を止めてもらったら、どんどんよくなっていきました。めざすゴールのためには患者さんにも守ってもらうことがあります。守られないと結果も違ってきます。インターネット検索で薬について調べることができても、その薬を処方する医師の意図まではわからないですよね。なぜ、この薬を処方するのか、どんな効果を見込んでいるのか、治療計画も含めて理解してもらうことが大切なのです。

医師として心がけていることは?

04

常に勉強すること。薬についても専門外のことでも。それが患者さんのためになるからです。心療内科を含め勉強会や講演会には今も月2回は通っています。昔は偏見があって、患者さんの家族は人に黙っていたうつ病も、今は神経の風邪みたいなものという認識になって堂々と言える時代になった。ちゃんと治療すれば治るということがわかったからでしょうね。人気のある心療内科は、予約が数週間待ちです。その間かかりつけ医の私に診てほしいと、患者さんやご家族からご相談を受けることがあります。それに、心療内科の受診は患者さん側にもやっぱり不安があって、専門の先生のところへいきなり行くよりも、ある程度私のところで治療して安心してもらってから専門の病院へ送ったほうがいいケースもある。そうなると、私が診れないといけません。だから勉強しなければいけないのです。

生涯にわたる健康のためのアプローチ

医療の道に進もうと思われたのはいつ頃でしょう。

05

小学生の時です。今、私の高校1年生の息子は医師になりたいと言っていますが、親としては同じ職業や分野を志してくれるだけでうれしい。長女は薬剤師で、次女も獣医師をめざそうとした時期があったようです。ただ息子が医師になっても、当院を継ぐかどうかは本人の選択に任せることになります。今診ている若い世代である30~40代は、順番的に私が先に引退でしょうから、この患者さんたちの本当に最期の、一番困った時には私は診てあげられないわけです。でも息子が継ぐことになれば「大丈夫、息子が診ます」と言えるので地域の皆さんも私も安心できますけどね。妹夫妻は消化器内科が専門で、現在妹は週1で木曜日に当院の外来を診ています。義弟は副院長を務める病院で当院からの救急患者を引き受けてくれているので、いつも感謝しています。

超高齢社会で患者さんに伝えたいことはありますか?

健康な長生きというのは、自分の努力で勝ち取るもの。大好きだったタバコをやめることもその一つですし、必要な筋肉をつくるための運動もそうです。楽しくなくても散歩して体を動かす、薬も指示を守って服用する。元気でいられる健康のための見極めができる患者さんになってほしいです。昭和の頃、父の時代によく「先生、つらいから点滴して」と来院される方もいましたが、今はそうはいきません。ご高齢の患者さんも頑張って朝からリハビリテーションルームにトレーニングに来られています。筋肉を増やすことは本当に大事ですよ。

今後の展望について聞かせてください。

06

患者さんが治療に前向きになれる診療に努めます。生活習慣病の改善にも自主的に取り組めるように、医学的に正しい情報、知識は一生懸命お伝えします。実際じっくり聞いてくれる人には熱が入ってしまいますね。薬でも飲んだほうがいい薬、飲んでもいい薬、副作用を含めなるべく飲まないほうがいい薬、と3種類にわけています。できたら、飲んでもいい薬までで症状を改善したい、ここで止めるという努力が患者さんにも必要なので、十分にご説明して、トータルに健康を維持できるようにサポートしていきたいですね。

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