森澤 大祐 院長の独自取材記事
森沢クリニック
(大阪市東住吉区/針中野駅)
最終更新日:2026/10/15
針中野駅から徒歩5分、地域に根差した診療を続ける「森沢クリニック」。循環器内科・内科を担当する森澤大祐院長は、循環器疾患の中でも心不全を専門とし、大学院や米国留学での研究、勤務医としての診療を通じて研鑽を積んできた。2026年1月には、これまでの経験を生かして心臓リハビリテーションを開始。薬物療法に加え、患者一人ひとりの心臓の状態に応じた運動を取り入れることで、心不全の悪化や再入院を予防することをめざしている。「心疾患のある方が、ここまでなら安全に運動できるとわかれば、日常生活でも体を動かす勇気を得られます」と話す森澤院長に、循環器診療への思いや、心臓リハビリを始めた背景、具体的な取り組みについて聞いた。
(取材日2026年9月18日)
心不全を専門に、地域の循環器診療を支える
クリニックの診療内容と、先生のご専門について教えてください。

当院では循環器内科・内科・整形外科・リハビリテーション科の診療を行っており、私は循環器内科と内科を担当しています。循環器内科では、心不全をはじめ、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患、不整脈など、心臓や血管に関わる疾患を幅広く診ています。また、心疾患のリスク因子となる高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防や治療にも取り組んでいます。中でも私が専門としてきたのが心不全です。心臓リハビリにも積極的に関わってきました。これまで培ってきた専門知識や経験を生かし、心不全の悪化や再入院をできるだけ防ぐことをめざしつつ、患者さんの生活を継続的に支えていきたいと考えています。
医師をめざしたきっかけや、循環器内科を選んだ理由を教えてください。
私が小学校2年の時に父が開業し、2階が住居でしたので自然と診療の様子を見ながら育ちました。父から「医師になれ」と言われたことは一度もなかったですね。高校時代は物理が得意で工学部へ進むことも考えましたが、病気で困っている患者さんを支える父の姿を見て医師になることを決めました。卒業後は内科にもかかわらず緊急の患者さんを扱う領域に魅力を感じ、循環器の分野を選びました。お世話になった先生から刺激を受けたことや、多くの方とのご縁もあり、医学博士取得後は、米国の大学の生体医工学部で心不全の基礎研究に励む貴重な経験もできました。
日頃から心がけていることはどんなことですか?

一症例一症例、患者さんに寄り添い、実直に取り組むことですね。そして常にニーズを考えることや、やるべきことを認識して丁寧かつ確実に実行することです。大学病院では専門的な医療に専念していたので、循環器の分野の治療に関しては自信を持っています。開業する前の3年間は、地域の中核病院に勤務し循環器以外の内科疾患も幅広く経験することができました。救急の当直業務にも従事していたので大変ではありましたが、循環器以外の疾患に対しても一症例一症例、実直に取り組んだ経験が開業してからの診療に生かされていると実感しています。
心臓リハビリで、心疾患の悪化予防をめざす
心臓リハビリを始められたそうですね。

2026年1月からスタートしました。対象となるのは、一定の基準を満たした心不全の方や、狭心症、心臓弁膜症などの手術後の方、閉塞性動脈硬化症の方などです。クリニックで行う循環器疾患の治療は薬物療法が中心ですが、それだけでなく、これまで培ってきた心不全診療や心臓リハビリの専門的な知識と経験を生かし、プラスアルファの治療を提供したいと考えたのがきっかけです。心不全や心筋梗塞などで入院すると、入院中はリハビリを行っていても、退院後に外来で継続できる施設はまだ少ないのが現状です。また、心疾患があると、どこまで体を動かしてよいのか心配で躊躇してしまい、日常の活動量を自ら抑制してしまう方がおられます。医療機関で実際に体を動かし、「ここまでなら動いても大丈夫」とわかることで、ご自身で運動する自信にもつながります。適切に体を動かし、心不全の悪化を防ぐことや再入院の予防につなげることが大きな目的です。
具体的には、どのように心臓リハビリを進めるのでしょうか?
例えば、心不全で入院された方なら退院後、心臓の手術を受けた方なら術後などが1つのタイミングですが、始める時期に明確な決まりはありません。患者さんから希望があったときや、私が診察して心臓リハビリの適応があると判断した場合にご提案しています。希望される方には実際の様子を見学していただき、納得いただいた上でスタートします。担当する看護師の中には、循環器領域で経験を積み心不全の療養に関する専門知識を持つ看護師もいます。内容は有酸素運動と筋力トレーニングが中心で、それぞれ20分程度が目安です。心臓の状態や体力に応じて、自転車のペダルの重さや運動時間、筋力トレーニングの負荷などを個別に設定し、心電図や血圧を確認しながら進めます。頻度は週2~3回を目安にご提案しますが、患者さんの生活スタイルに合わせて柔軟に対応しています。
心臓リハビリによって、どのような変化が見込めますか?

体力・筋力がつくことが見込めますね。また、心臓リハビリでは看護師がそばにつき、心電図をモニターしながら1時間ほど患者さんの様子を見ていますので、定期的に通っていただくことで、病気や異常の早期発見につながることもあるでしょう。毎回体重を測り、運動中の状態も確認しているので、「以前と同じ負荷で自転車をこげない」「息切れする」といった小さな変化にも気づきやすくなるんですね。診察や検査の結果、心不全が悪化していることがわかれば、薬を調整することで再入院を防ぐことができます。また偶発的に新たな不整脈が見つかることもあります。このように月に1回の外来診療だけでは見えにくい変化を捉えるという意味でも、心臓リハビリには大きな意義があると感じています。
継続的に患者を支え、適切な医療へ導く
スタッフの皆さんについて思いを聞かせてください。

これはもう感謝しかないですね。私が当院を継承する前から働いていたスタッフが全員残って支えてくれています。皆さん穏やかで、患者さんとのやりとりも良好です。電子カルテや自動精算機を導入し、二診制になって事務処理なども増えたと思いますが、見事にさばいてくれました。また看護師さんも、採血、心電図、超音波といった内科的な検査が増えましたが、しっかりと対応してくれておりこちらも頭が下がります。今年から心臓リハビリを開始しましたが、皆さん新しいことに積極的に取り組み、しっかりと業務を遂行してくださっています。春からは循環器診療、心臓リハビリの経験が豊富な看護師もスタッフに加わってくれましたので、当院の循環器診療がさらに充実したものとなり、地域の循環器医療により貢献できるとうれしく思っています。
今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
今後は、専門性を生かして心不全をはじめとする循環器疾患の患者さんを診療しながら、心臓リハビリをさらに充実させていきたいですね。外来で心臓リハビリを継続できる施設はまだ少ない中、これまで心不全や心臓リハビリに携わってきた経験を、地域の中で生かしていくことも自分の役割だと考えています。専門的な検査や治療が必要な場合には、近隣の総合病院などの循環器科の先生方としっかり連携し、地域の医療を支えていければと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

心臓のことや心臓リハビリについて、少しでも気になることがあれば気軽に来院していただきたいですね。「自分は対象になるのだろうか」「どのくらい運動しても大丈夫なのだろうか」といった疑問や不安がある方もいらっしゃると思います。お話を伺うことから始め、心臓の状態などを確認した上で、必要に応じて治療や心臓リハビリをご提案しますので、まずはご相談いただければと思います。

