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解がないからこそ個々で方針を模索
患者、家族に寄り添う在宅医療

さの内科医院

(大阪市生野区/小路駅)

最終更新日:2022/11/04

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  • 保険診療

「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」という家族を、なんとか家に戻らせてあげたいと考える人は多いだろう。新型コロナウイルス感染症の流行以降、病院では面会が制限され、「会えないならば、家で一緒に過ごしたい」と在宅療養を選択する人も少なくないという。しかし心配なのは「どこまで対応できるのか」ということ。患者本人と家族の思いや要望は、在宅療養の場面でどこまで反映してもらえるのだろうか。長らく訪問診療に注力してきた「さの内科医院」の佐野徹明院長は、「在宅医療はご家族のためのもの」という考えで、家族の意見を第一に考えた在宅医療を展開している。当事者の思いを聞き、徹底的に心に寄り添う佐野院長に、在宅医療に対する考えを聞いた。

(取材日2022年10月4日)

患者と家族の思いは一つではない。「正解のない」在宅医療は、まずは気持ちを伝えることから始めよう

Q在宅医療とはどんなものなのでしょうか?
A
1

▲長らく訪問診療に注力してきた院長

対象となるのは、寝たきりや車いす生活など通院が困難な方が中心ですが、最近では新型コロナウイルス流行下における入院中の面会制限を避けたいと在宅療養を選択される患者さんにも対応しています。訪問診療では1~2週ごとに定期的にご自宅を訪問して診察し、必要に応じて点滴や注射を行い、がん末期の患者さんであれば飲み薬・貼り薬・注射などで痛みの緩和を図ります。また当院では一部在宅での輸血にも対応しておりますので、すべてが同じというわけにはいきませんが、外来通院時や入院中の病床にかなり近い医療行為をご自宅で受けることが可能です。病院のベッドがご自宅の寝室に代わったというイメージでお考えいただくとよいでしょう。

Q長らく在宅医療に取り組んでいらっしゃいますね。
A
2

▲院長自らの体験を綴った自著

在宅医療のいいところは、ご本人とご家族の希望に可能な限り寄り添うことができる点です。「病気を治す」ことを第一目標としている病院は、患者さんにとってはサッカーでいう“アウェイ”です。そのような場所では患者さんは受け身になりがちで、「こうしたい」という思いを伝えられないことも多々あるでしょう。一方、“ホーム”の自宅なら話しやすく家族もそばにいます。「痛み止めはこのくらいのペースで」「針を刺すのがかわいそうだから点滴は受けない」「これ以上の治療は不要」など考えや思いはさまざま。そこに正解はなく、患者さんの数だけやり方がある中で、ご本人・ご家族と話し合いながら、希望や意思に沿うことを大切にしています。

Q「在宅医療はご家族のためのもの」というお考えをお持ちだとか。
A
3

▲日頃から相談しやすい環境を整えている

患者さんがお亡くなりになった後、ご家族は介護に関わった日々を思い返しながら、この先の人生を何十年と生きていきます。だからこそ、ご家族が後悔のないようにすることが最も重要だと思っています。患者さんが周囲に遠慮して本心を言わないことは多々ありますが、一番の理解者であろうご家族がその気持ちをくんだ上でどうしたいのか。逆に言えば、患者さんの意思を知るご家族の希望をかなえることが、ご本人の思いをもかなえることにつながると私は考えています。患者さんは家族がつらい思いをしてまで自身の介護をしてほしいとは思っていないはずです。私は「介護者が第一です。疲弊しない程度に介護してください」とお伝えしています。

Q相談に来る際、どんな準備が必要でしょうか?
A
4

▲さまざまな希望や意思に沿うことを大切にしている

実際のご相談時は緊張したり忘れてしまったりすることもあるため、介護者の時間的なご都合や、治療に関する希望や疑問点などはメモ書きにしてお持ちいただくといいでしょう。またご家庭内で意見がまとまっていなくとも、「ここまでは合意済み」といったように、意見が一致した部分だけでも明確にしていただければ、話し合いの中で最も良い対応を探ることができます。ご家族で決められなかったことは、誰かの意見を聞かないと先に進みません。たとえまったく決まっていない状態でも、お考えがわかればくみ取って方向性を示すことができますので、患者さんの残りの時間を無駄にしないためにも、ぜひご自身の言葉で表現いただけたらと思います。

Q在宅での看護を検討している人たちにアドバイスをお願いします。
A
5

▲寄り添いの心を忘れず、希望をかなえることを優先している

医師のほかにもケアマネジャーさんやソーシャルワーカーさんら在宅療養の相談に対応する人がたくさんいるため、いろんな人に会ってご家庭の考えに最もフィットする人を見つけるのが近道だと思います。というのも、さまざまな考えがある医療や介護の世界は、同じ考えを持った方々がネットワークを形成していることがほとんど。信頼できる人を1人見つければ紹介で広がっていき、患者さんとご家族の意思や希望が反映されやすい体制ができやすいと考えるからです。ご遺族の多くは「最期を看取れて良かった」とおっしゃいます。まずは在宅で医療が受けられる状態か、患者さんのお体の状態や条件なども含めて尋ねてみることから始めてください。

ドクターからのメッセージ

佐野 徹明院長

患者さんご本人とご家族に寄り添い、私の考えを押しつけず、ご希望をかなえることを最優先にしています。決まったやり方のない在宅医療の“答え”を持っているのは、私ではなく患者さんとご家族です。その答えにたどり着くために話し合い、ご家庭の思いが反映されているか聞き取りながら、「痛みを取りたい」「痛みの緩和ケアを受けたい」など、さまざまなご希望に対してどんな選択肢があるのかを探しています。在宅医療に「こうすべき」という決まりはありません。だからこそ方向性を見誤らないように、「こうしたい」「ここまではできる、それ以上はできない」「本当はきつくてやめたい」など、常に本音で気持ちをお伝えいただきたいですね。

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