短期入院での前立腺肥大症治療
低侵襲なWAVE手術とは
腎・泌尿器科クリニック
(長岡京市/西向日駅)
最終更新日:2025/11/19
- 保険診療
尿が出にくくなったり、頻尿で長時間の外出ができなかったり、排尿トラブルに悩む中高年男性は多い。さまざまな排尿症状を引き起こす病気の一つに、前立腺肥大症がある。50歳以上の男性に多く見られ、80歳以上では80〜90%がかかっているといわれている。しかし、前立腺肥大症は泌尿器科で専門的に治療すれば、回復も見込める病気だ。長岡京市の「医療法人社団 岡村医院 腎・泌尿器科クリニック」では、日本専門医機構認定の泌尿器科専門医である岡村靖久院長を中心に、さまざまな低侵襲の前立腺肥大症手術を提供。中でもWAVE手術は、これまで主流だったレーザー治療に比べ、より患者に優しい治療だと思っているそうだ。その方法やメリットについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2025年8月18日)
目次
進化した前立腺肥大症の治療。WAVE手術で生活の質を高めることを図り、豊かな毎日に
- Q前立腺肥大症とは、どのような病気ですか?
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A
▲日本専門医機構認定の泌尿器科専門医である岡村靖久院長
前立腺肥大症とは、膀胱の出口にある前立腺が大きくなり、尿道を圧迫して排尿のトラブルを起こす、男性特有の病気です。症状としては、尿が出にくい、勢いが弱いといった「出にくさ」に加え、トイレが近い、我慢できず漏れてしまうなどの「頻尿」や「尿漏れ」もあります。また排尿後に「まだ残っている感じがする」「少しずつ漏れてしまう」といった不快な症状も見られます。主な原因は加齢で、症状の程度や感じ方は人それぞれですが、80代では男性の8割以上がかかっているといわれています。「年齢のせいだから」と我慢してしまう方も少なくありませんが、早めに適切な診断と治療を受ければ、症状改善が見込める病気です。
- Qどのような治療が必要になるのでしょうか?
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A
▲患者の症状や希望を確認しながら、適切な方法を提案
まずは薬による治療が基本です。お薬で尿道の通りの改善を図り排尿を助ける他、近年は前立腺を小さくするための薬も使われるようになってきました。ですが、薬で十分な改善が見込めない場合は外科的治療を検討します。現在は開腹手術はほとんど行われず、主流は尿道から内視鏡を入れて行う「経尿道的手術」です。当院では、水蒸気で組織を縮小するWAVE手術やレーザーで前立腺を蒸散させるCVP(経尿道的レーザー前立腺蒸散術)を導入しています。いずれも出血が少なく、入院期間も短いのが特徴です。治療法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、患者さんの症状やご希望を伺いながら、適切な方法を一緒に選んでいきます。
- Qこちらで行える「WAVE手術」について教えてください。
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A
▲WAVE手術は切開を伴わず出血も少ない低侵襲な治療法
WAVE手術は「経尿道的水蒸気治療」と呼ばれる、新しい治療法です。専用のシステムで前立腺に細い針を数ヵ所刺し、水蒸気を注入します。水蒸気により肥大した前立腺組織を壊死させ、組織が吸収されて縮むことで尿道を広げることが目的です。切開を伴わず出血も少ないため、体への負担が少ないのが特徴です。水蒸気の噴射時間はわずか2〜5分程度と短く、1泊2日の短期入院での治療も可能です。また高齢の方や合併症を持つ方、血液をサラサラにするための薬を飲んでいる方も適応できるのもメリット。術後すぐの改善は見込めませんが、壊死した組織が徐々に吸収される過程で、2〜3ヵ月ほどかけてゆっくりと症状の改善が見込めるでしょう。
- QWAVE手術の具体的な手順について教えてください。
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A
▲手術時間は10分程度で終了
手術前には、問診に加えて心電図・エックス線撮影・尿検査などの基本検査を行い、さらに腹部エコーで前立腺の状態を確認します。手術は、軽い腰椎麻酔のもとで行いますので、ほとんど痛みを感じることはありません。尿道から細い内視鏡を前立腺まで挿入し、専用の針を数ヵ所に刺して水蒸気を注入します。注入の回数は前立腺の大きさによって異なりますが、1回の噴射は9秒ほどで、通常2~6回程度が目安です。手術時間は10分程度で終了します。治療後は、一時的に前立腺がむくむため、尿道カテーテルを約1週間留置し、術後1週間目の通院時に抜去します。その後は、数ヵ月間、定期的に通院して経過を観察します。
- Q治療を受ける上での注意点やリスクなどはありますか?
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A
▲尿トラブルに悩んでいる人は気軽に相談してほしいと語る院長
WAVE手術の主な合併症としては血尿が出ることがありますが、ごくまれで、あったとしても軽度で自然に落ち着いていくことが多いです。WAVE手術は非常に低侵襲な治療法ですが、痛みや症状が強く早期に改善したい場合や、前立腺が大きい場合には、CVP(経尿道的レーザー前立腺蒸散術)のほうが適しているケースもあります。また、患者さんの状態によっては治療後も薬の服用を続ける必要がある場合があり、必ずしも手術をすれば終わりというものではありません。当院では、手術前に丁寧なカウンセリングを行い、術後の経過の現れ方やその期間、術後管理方法等を十分に説明し、患者さんに納得した上で受けていただけるよう心がけています。

