さまざまな治療選択肢によって
無理なく取り組めるケロイド治療
冨士森形成外科医院
(京都市下京区/京都駅)
最終更新日:2024/12/25


- 保険診療
やけどや傷痕、皮膚疾患などから、膨らみや赤みが生じて大きく広がるケロイド。その見た目はもちろん、痛みやかゆみ、ひきつれなどで、日々の快適さは大きく損なわれてしまう。ケロイドにはなりやすい体質や起こりやすい部位があり、再発を繰り返す患者も多く、治療が難しい疾患とされている。そんな中「冨士森形成外科医院」は、開業当初からケロイドの治療に注力してきた。冨士森英之院長はさらに時代や患者ニーズの変化にも目を向け、患者が自ら治療内容を選択し、無理なく取り組めるような治療を大事にする。治療後のケアにもさまざまな工夫を凝らし、患者の人生をより豊かなものにしたいと進化を続ける同院のケロイド治療について、詳しく聞いた。
(取材日2023年6月27日)
目次
初期治療から手術まで、患者が受け入れやすい治療を実践
- Qケロイドとはどのような病気ですか?
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A
▲ケロイド治療は痛みやかゆみを伴うため患者の生活にも影響する
皮膚にできた傷や炎症を治そうとする自然のメカニズムが過度に作用して炎症が続き、赤みや膨らみが傷のサイズを超えて大きく広がる病気です。痛みやかゆみを伴いますし、大きくなるとひきつれが生じて患部を動かしにくくなることもあります。ケロイドと似た症状に「肥厚性瘢痕」がありますが、これは傷の部分だけに膨らみやかゆみが起きる病気です。ケロイドは手術やケガの傷痕、やけど、ニキビなどの皮膚疾患や、ピアスの穴、予防接種の痕がきっかけで起きることもあります。ケロイドの内部には傷の治癒に必要な体内の物質が集まっているので、患者さんには「傷をふさぐための接着剤があふれ出てしまっている状態」だと説明することもあります。
- Qどのような方がケロイドになりやすいのですか。
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A
▲全身を動かすスポーツがケロイドを刺激する場合もある
ケロイドの原因は明確ではありませんが、ケロイドが起きやすい体質の方がいることがわかっています。「ケロイド体質」の方は、アレルギー疾患のように刺激に対して過敏であると推測され、この体質は遺伝することもあります。また、膝や肩はケロイドができやすい部位として知られています。膝や肩はよく動かす場所ですので、原因になるケガや炎症があるところへ、さらに運動による刺激が加わり、症状が大きくなりやすいと考えられています。
- Q治療にはどういった方法がありますか?
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A
▲自宅でもテープやスポンジを使って圧迫をするケアが必要となる
ステロイドの塗り薬や貼り薬、テープ・スポンジ・シリコーンやコルセットによる圧迫・固定療法、内服治療、ステロイド局所注射などの保存療法、手術、放射線治療などの外科的療法があります。手術にはさまざまな術式がありますが、当院ではたいていの方法が可能です。さらに、注射や手術では、患者さんの痛みや負担をできるだけ抑えられるように工夫して治療を行っています。かつての治療では、強い痛みや長期間の固定など患者さんに無理を強いる面もありましたが、当院では患者さんの要望に応えられるような、続けやすい治療をめざしています。
- Q治療の流れを教えてください。
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A
▲ケロイドの治療は、貼り薬や圧迫治療から始めることが多い
症状や受診のタイミングには個人差が大きく、治療の流れもさまざまです。できて間もないケロイドやサイズが小さいケロイドであれば、まずステロイドの貼り薬を使ったり、その上からスポンジやテープを重ねて圧迫や固定をかけることが多いですね。それで変化がなければ局所注射を検討しますし、その後も改善しないようであれば、手術を考えることになります。また、10代や20代の若い患者さんでしたら、今後も同じ症状に長い間悩まされる可能性があるので術後に放射線治療も検討します。
- Qアフターケアも重視しているそうですね。
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A
▲患者の生活や環境に合った方法で治療を進めていく
当院には豊富な診療経験から、できるだけきれいに治すためのアフターケアのノウハウがあります。しかし治療後の経過は患者さんの体質や運動習慣、生活環境などで大きく異なり、正しく予測できるとは限りません。だから定期的にチェックポイントを設けて回復の程度を確認し、治療内容を調整したり、再発の兆しがあれば先回りして治療する必要があります。また、日々のケアや生活上の注意は、患者さんがご自身で意識して行うことでもあります。ですから、治療説明ではアフターケアの内容もご説明して治療に進むかどうか考えてもらいますし、治療開始後は患者さんが希望する見た目になって落ち着くまで、時間をかけて定期的にサポートしていきます。