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冨士森 英之 院長の独自取材記事

冨士森形成外科医院

(京都市下京区/京都駅)

最終更新日:2024/08/26

冨士森英之院長 冨士森形成外科医院 main

観光客でにぎわう京都駅から西へ、「冨士森形成外科医院」は塩小路通に面したシックなオフィスビルの2階にある。冨士森英之院長は、丁寧な会話の中に時折ユーモアも交える、穏やかで話しやすいドクター。前院長から診療を継承し、現在では多岐にわたる治療を自ら手がける。「昔から手先が器用で、見え方にもこだわる性格が形成外科に向いていた」というだけに精緻な技術で治療効果を追求。一方で、「患者さんの体はご自身のものですから、患者さんがどうしたいか、どうなりたいかが重要です」と話し、患者の思いに寄り添う治療を大事にしている。取材では、誤解されがちな形成外科の診療内容や、同院で行われる治療、診療に対する冨士森院長の思いについても詳しく聞いた。

(取材日2023年6月27日)

「見た目や形を整える」のが形成外科

こちらは全国的にも知られる形成外科医院だと伺いました。

冨士森英之院長 冨士森形成外科医院1

当院は、私の父である冨士森良輔前院長が1988年に開業しました。父は形成外科領域では知られた存在で、長らく当院で多くの患者さんを治療し、後進の指導にもあたっていましたが3年前に引退し、私が診療を受け継いでいます。私自身は、幼い頃から手先を使う作業が好きで、学部時代には友人からアクセサリーの修理を頼まれることも。その際に、ただ直すのではなく「どうつけたらきれいに見えるか」とこだわる自分に気がついて、徐々に形成外科を意識するようになりました。卒業後は京都大学医学部附属病院の形成外科へ入局し、倉敷中央病院や北野病院などの関連病院で、比較的早い時期から診療経験を積ませていただきました。その後も大学や各地の病院で勤務しながらこちらでも診療するようになり、2017年からは院長を務めています。

形成外科は、どのような治療を行う診療科ですか?

よく整形外科と間違えられるのですが、形成外科は「見た目や形」を整える、つまり外貌を含めた機能の再建をめざす診療科です。整形外科も形を整える科ですが、あちらは骨や関節、筋肉、神経を治し「運動機能」の回復を図る治療が主になります。どちらの科でもケガの治療を行いますが、整形外科ではこれまでどおりに動かせることを、形成外科では運動機能的な問題がないことを確認した上で見た目をきれいにするための治療を重視します。また、見た目の治療という点では皮膚科ともよく似ていて、確かに同じような治療も行いますが、形成外科は「外科」ですので切開や縫合といった手術も用いて改善をめざします。皮膚科でも小さな手術を行うことはありますが、主には内服薬や外用薬を用いた治療になります。

では、具体的な診療内容を教えてください。

冨士森英之院長 冨士森形成外科医院2

治療が難しいケロイドや、ケガ・手術後などの傷痕、やけどの痕、またすでに治療した傷痕で、機能障害があるものをよりきれいに仕上げる治療には以前から力を入れています。それから皮膚腫瘍、例えば老人性のイボである脂漏性角化症やウイルス性のイボである尋常性疣贅(ゆうぜい)のご相談は日常的ですし、ほくろや粉瘤の切除も実施します。皮膚では他に、赤あざや青あざ、赤ちゃん特有の血管腫など色素性の病変も診療していて、赤ちゃんの患者さんは多いですよ。他には眼科からのご紹介も多く、加齢などでまぶたが下がる眼瞼下垂や逆まつげなど、目やまぶたの手術も行います。先天性の奇形、例えば口唇裂などで成長後に形や傷が気になる方の治療や、しみ改善のための施術のような審美的なケアもしています。

時間がたっていてもできる治療はある

ケロイドや傷痕の症状は、どうして起きるのですか?

冨士森英之院長 冨士森形成外科医院3

ケガや手術の傷痕は、切開・縫合した部分がくっついたものですが、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)といって、過度に凸凹ができたり色素が沈着してしまうことがあります。またケロイドは、傷痕の実際の大きさ以上に膨らみや赤みが広がったもので、時には体を半周してしまうことも。ケロイドはケガや手術痕のほか、ニキビなどの皮膚疾患、ピアス穴などからも生じます。人体には傷や炎症を自力で治すメカニズムがあり、傷ができるとさまざまな物質が集まって作用するのですが、ケロイドは「傷を治すための作用が過度に暴走している」状態です。ケロイドも肥厚性瘢痕も、見た目の問題とともに、痛みやかゆみ、場所によってはひきつれによる動きにくさも生じますが、「治療はできない」といわれて諦めている方も少なくないようです。

ケガをした際に、形成外科を受診するタイミングがわかりません。

冨士森英之院長 冨士森形成外科医院4

きれいに治したいと思われたのでしたら、傷ができた直後から傷痕が固まって落ち着いた後まで、「いつでも」受診してください。傷は、断面と断面をピタッと合わせることができれば、治るスピードも早いと期待できますし傷痕も比較的きれいになると望めることが多いです。一方、救急搬送されて急きょ太い糸で縫合したり、外で転んで汚れがついたまま傷口がふさがったりすると、その痕が目立つこともあります。ですから、受傷後なるべく早い段階で受診されるのが好ましいですが、形成外科には傷痕をきれいにするための多彩な治療法があります。抜糸前のように傷が閉じている途中や、古い傷の見た目が気になるような場合でも、状況に合わせてできる治療がありますので、ためらわずに相談してほしいと思います。

治療には、どのような方法があるのでしょうか。

患者さんには「この傷痕は消えますか」と聞かれることがありますが、傷痕やケロイドを治療で完全に消すことは難しく、なるべく目立たないようにする、最小限に見えるようにするのが治療の目標です。また、患者さんの症状や思い描くゴールはさまざまですので、貼り薬、圧迫を加えて膨らみを小さくするためのテープや材料、さらに手術を組み合わせて治療を進めます。また丁寧なアフターケアも当院の特徴で、段階に合わせて薬を順次減らし、通院間隔を延ばしながら経過を見届けますし、ケロイドのように再発の可能性がある疾患では、再発のごく初期を見逃さず抑え込めるようにしています。その他、色素病変やしみのケアではレーザー施術も実施しています。なお手術は基本的には院内で、全身麻酔も日帰りであれば院内で行えますし、入院が必要でしたら向かいにある武田病院に入院していただき、私が執刀します。

見た目のきれいさと患者の満足度を兼ね備えた診療を

治療では、どのような点を大事にされていますか?

冨士森英之院長 冨士森形成外科医院5

医学的に問題がなければ、治療内容や治療のタイミングなどをこちらから無理強いするようなことは避け、患者さんの要望に沿うように努めています。かつての医療では効果を追求するあまり、治療方針を医師が強く提案したり、痛みや不自由さを伴う治療をあえて行うこともありました。ただ、形成外科疾患は症状の捉え方に個人差が大きく、同じ症状であっても「どうしても改善したい」という人から「日常生活に支障が出るのなら治療はしなくてもよい」という人まで幅があります。患者さんの体は患者さんの人生そのもの。患者さんそれぞれの要望に応え、多方面でバランスをとりながら満足度の高い治療の提供に努めることが、私たちの役割だと考えています。

お忙しいと思いますが、プライベートはどのように?

当院にも赤ちゃんや小さいお子さんがよく受診されていますが、私にもまだ幼い子どもがいますので、プライベートはほぼすべて子どもに捧げていますね。疲れることもありますが(笑)、気持ちは否応なく切り替わります。

最後に、患者さんへや読者へのメッセージをお願いします。

冨士森英之院長 冨士森形成外科医院6

傷痕やケロイド、また見た目のさまざまな症状を気にして、一人で悩んでいたり諦めていたり、あるいは以前に「治らない」といわれた経験をもつ方もいらっしゃるでしょう。しかし、形成外科には見た目の改善が望めるさまざまな治療法がありますし、当院では患者さんの負担が少なく、無理のない治療をめざして、独自の方法も用いています。気になっている見た目を「目立たなくする」「今より小さくする」ようなアプローチで治療することによって、状況の改善が見込めるケースは多く、諦めてしまうのはもったいないです。当院では治療内容や治療のタイミング、費用なども含め、患者さんが望む治療を大事に考えていますので、まずは思いきってご相談いただければと思います。

自由診療費用の目安

自由診療とは

しみケア/5000円~(症状や治療法によって変動いたします)、ほくろ切除/9000円~(症状や治療法によって変動いたします)、傷痕の治療/約3万円~(保険診療で対応できる場合もあります)

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