木村 了介 院長の独自取材記事
きむら内科 内分泌・糖尿病クリニック
(稲沢市/国府宮駅)
最終更新日:2026/01/07
名鉄名古屋本線・国府宮駅から車で7分の「きむら内科 内分泌・糖尿病クリニック」。地域医療を担った父の志を継ぎ、2018年に開業した木村了介院長は、大規模医療施設で内分泌・糖尿病内科部長を務めるなど、内分泌疾患治療の高い専門性を持つ。「ちょっとした体の異変はもちろん、睡眠や喫煙などの生活習慣、専門性の高いことも気軽に相談できる存在でありたい」と、常に新たな知見を追求。患者の生活背景まで踏まえた「オーダーメイドの診療」を実践している。健康寿命を延ばすための予防医療にも情熱を注ぐ木村院長に、町のクリニックとしての役割や展望について聞いた。
(取材日2022年7月13日/再取材日2025年12月11日)
患者の人生と向き合うことができる医師をめざして
医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

内科の医師だった父や、医師の家系に生まれた母のもとで育ったこともあり、幼い頃から医師という職業を身近に感じていました。総合病院に勤務していた父が、この地に開業したのは私が小学校6年生の時。いつかは育ったこの地域に少しでも貢献したいという思いはいつも持っていました。
どのような理由から内科を選ばれたのでしょうか?
内科の道を選んだのは、父の影響もさることながら、自分自身の性格に合っていると感じたことが大きな要因です。内科の診療では、個々の疾患に関する治療にとどまらず、生活習慣や社会的な背景など、患者さんを取り巻くあらゆる要素を検証する必要があります。特に私の専門領域である内分泌や糖尿病の分野は、ホルモン動態をはじめ、潜んでいる症状や小さなサインを拾い上げ、さまざまな方向から総合的に判断しなければいけません。単に病気と向き合うだけでなく、患者さん自身やその方の人生と向き合いながら診療を行っていくという奥深さがあり、やりがいにつながっています。
開業の経緯について教えてください。

大学卒業後は総合病院や大学病院での勤務、大学院での研究などを経て、名古屋市立西部医療センター(現・名古屋市立大学医学部附属西部医療センター)へ。内分泌・糖尿病内科部長を務めるなど、専門性の高い診療に携わることに大きなやりがいを感じていましたが、2016年に父が体調を崩し、医院が休業状態に。地域の方々にご迷惑をかけ続けることに苦慮していた父の様子を目の当たりにし、以前から抱いていたこの地域に貢献したいという思いから、地域医療に捧げてきた父の志を継ぐことを決意しました。
ウェブ問診を活用し、効率と相談しやすさを両立
どのような患者さんが受診されていますか?

開業した当初は、父の時代から通ってくださっていた地域の方をはじめ、内分泌や糖尿病、脂質異常、甲状腺疾患といった専門領域に関する診療で訪れる患者さんも多くいらっしゃいました。最近では、健康診断で異常を指摘されて来院されるケースや、ご自身の症状をインターネットで調べて「もしかしたら甲状腺の病気かもしれない」と、専門的な診療を求めて来られる方も増えています。専門分野の診療はもちろんですが、私たちは地域の皆さんの「かかりつけ医」でありたいと考えています。「なんだか最近疲れやすい」「ちょっとした違和感があるけれど、何科に行けばいいのかわからない」といったことでも、お気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群や禁煙の外来診療にも対応されているそうですね。
はい、睡眠時無呼吸症候群の診療は以前から力を入れており、CPAP療法にも対応しています。また、禁煙の外来診療に関しては、供給が停止していた内服薬の処方が4年ぶりに再開されました。現在は貼り薬と内服薬の2種類から、患者さんのご希望に合わせて治療法を選択していただけます。睡眠時無呼吸症候群や喫煙習慣は、放置すると高血圧や糖尿病など、他の生活習慣病のリスクを高めることが知られています。いびきが大きい、日中の眠気が強い、タバコをやめたいけれど自力では難しいと感じているなど、少しでも気になることがあれば、ご相談いただきたいです。早期の対応が、将来の健康を守る上で非常に重要です。
診療にあたって心がけていることはありますか?

総合病院や大学病院では、クリニックの紹介などの前提の上に診療することが多く、患者さんの中には「大規模病院にかかる」ということにハードルの高さを感じている方もいらっしゃいました。しかし、糖尿病や内分泌疾患は定期的な診療による経過観察が重要な鍵を握ります。また、内科領域の病気というのは、本人が疾病だと感じていないような些細な変化が大きな疾病のサインであるというケースも少なからずあります。これまでは「時間がたてば治るかな」とか「年を取ったせいかな」とやり過ごしていたような、ちょっとした違和感や異変などの段階でも、気軽に来院して相談していただけるようなクリニックになれるよう、話しやすい雰囲気づくりやコミュニケーションを大切にしています。
患者さんが受診しやすいように工夫されていることはありますか?
一つは発熱時の外来診療です。感染症対策として、発熱などの症状がある患者さんには、まずお電話でのご連絡をお願いしています。その上で診療時間を分け、専用の隔離診療室で対応することで、院内での感染リスクを最小限に抑えています。これにより、糖尿病などの慢性疾患で定期的に通院されている方も、安心して治療を継続できるよう環境を整えています。もう一つはウェブ問診の導入です。待ち時間の短縮と診察の質向上のために導入しました。実は私も診察のような場面では緊張してしまい、言いたいことが言えず悔やむタイプなんです。自宅で落ち着いて入力できるので、伝え忘れの心配も減りますし、私たち医師にとっても事前に詳しい情報がわかるため、より質の高い、効率的な診療につなげやすいというメリットがあります。問診項目の中には、私が日頃の診察で伺っていることを反映させた項目もあります。
治療・予防・情報発信で健康寿命の延伸をサポート
検査機器の充実など、院内設備に関して注力していることを教えてください。

迅速で精密な診断は、適切な治療への第一歩。必要と考えられる検査機器はできる限り取りそろえています。血糖値やヘモグロビンA1c値や甲状腺ホルモン値、脂質、尿酸、電解質、血算、炎症を示すCRP値など、当日の診断に必要な項目を院内で測定できるよう設備を整えています。胸部レントゲンの画像診断では、全例でAI技術による画像診断支援システムを使用しています。AIの解析でダブルチェックを行うことで、見逃しの防止や、診断の精度向上につなげています。もちろん、設備だけでなく「人」の力も重要。最近、心臓の超音波検査ができる臨床検査技師が新たに加わり、甲状腺や腹部、頸動脈に加え、心臓まで含めた幅広い超音波検査が可能になりました。医師だけでなく、看護師や管理栄養士といったスタッフがそれぞれの専門性を生かし、患者さんの健康を支えています。
情報提供にも力を入れていらっしゃるそうですね。
医療の分野は、技術も情報も日々更新されていますから、新しい情報、適切な情報を地域の皆さんにお届けすることも、クリニックの大切な役割だと考えています。以前は集合形式の「糖尿病教室」を開催していましたが、現在は診療の待ち時間などを活用し、糖尿病療養指導士などが個別に行う「ミニ教室」というかたちで継続しています。一人ひとりの疑問に丁寧にお答えできるのが特徴です。その他にも、院内の掲示物や待合室のモニター、ホームページなどで、最新の医療や健康に関する情報をできるだけわかりやすく発信しています。健康診断や予防接種にも関心を持っていただけるとうれしいですね。専門的な医療の世界と地域で暮らす皆さんとをつなぐ橋渡し役として、これからも積極的に情報提供を行っていきたいと思っています。
今後の展望についてお聞かせください。

一人ひとりに合わせた「オーダーメイドの診療であるべき」という基本姿勢は、これからも決して変わることはありません。この想いを胸に、さらに診療の幅を広げていきたいと考えています。具体的には、私の専門である糖尿病や内分泌疾患、脂質代謝疾患だけでなく、それらと密接に関連する高血圧症や慢性腎臓病、骨粗しょう症、肥満症なども含め、全身を総合的に診ていくことをめざしています。一つの病気だけを診るのではなく、幅広い視野で診療を行うことで、患者さんの健康を生涯にわたって支えていきたいと思います。これからも、専門性を生かしながら地域医療に貢献し、皆さんが安心して頼れる「かかりつけ医」であり続けたいと考えています。

