悪化した腎臓の機能の代わりを担う
透析治療について

慢性腎不全になったら必要となる透析治療。治療開始後はバランスの良い食事や適度な運動を心がけ体調管理を

Q透析治療について教えてください。

A

▲透析治療には、腹膜透析と血液透析がある

腎臓には体内の老廃物や余分な塩分・水分を尿として体外に排出する働きがありますが、腎不全になると尿を作れなくなるため、透析療法等によって人工的に腎機能を代替しなくてはなりません。透析療法には腹膜透析と血液透析の2つの方法があります。腹膜透析は手術でおなかに管を入れっぱなしにして、おなかの中に透析液をためる透析方法です。自宅でできますが透析効率はやや低く、ずっと続けられる治療法でもありません。一方、血液透析は血液をフィルターに通して透析する方法です。腕の動脈と静脈を手術でつないでシャントと呼ばれる太い血管を作り、これに針を刺して透析します。血液透析は透析効率が高く、また永続的な治療が可能です。

Q透析治療はどのような方が対象となりますか？

A

▲腎機能が正常時の10分の1以下になると治療が必要

腎臓病などで腎臓の働きが悪くなった方が対象になります。腎臓の働きが悪くなる原因としては、以前は慢性腎炎が多くを占めていましたが、腎炎の治療法の進歩に伴い減ってきてます。近年、増加傾向にあるのが、糖尿病を原因とする腎臓病です。また、高血圧症が原因で腎機能が悪化する腎硬化症も増えてきています。目安としては腎機能が正常時の10分の1以下に低下すると透析治療が必要となります。社会の高齢化に伴い、透析患者さまも高齢化してきています。血液透析なら、一定時間安静にしていられる方であればたいてい治療が可能です。透析療法のほかには腎移植という選択肢もあります。腎移植には、腎臓を提供してくれるドナーが必要です。

Q透析治療を行う人は日頃どのようなことに注意すれば良いですか？

A

▲生活習慣を整えることが大切

透析患者さまの食事は制限が多いですが、それらの制限を守ったうえで栄養はしっかり摂ることが重要です。塩分を摂り過ぎれば高血圧や心不全の原因になるし、カリウムを摂り過ぎると不整脈になります。リンが過剰になると血管の石灰化の原因になります。これらの制限は大切ですが、栄養はしっかり摂らないと体が弱ってしまいます。当院では管理栄養士による栄養指導をしています。また必要に応じてリンやカリウムをコントロールする内服薬を併用し、患者さんに合わせて透析条件も調整して、患者さまの安全を確保しながら、十分な栄養を摂ってもらうようにしています。適度な運動も必要です。透析のない日は散歩などの運動をする事をお勧めします。

Q透析治療の頻度や1回の透析にかかる時間はどのくらいですか？

A

▲定期的な通院が必要不可欠

血液透析は1回4時間、月水金もしくは火木土の週に3回が基本です。体格の大きな方は老廃物の量も多いので、必要に応じて5時間ぐらい透析をすることもあります。また、血圧が下がりやすい方もゆっくり時間をかけて透析をする場合があります。仕事をしている方は、昼は仕事をして夜に透析をすることで仕事と透析を両立できます。当院では月水金、火木土のどちらのコースも朝、昼、夜それぞれのコースの透析を完備しているので、患者さまのライフスタイルに合わせた透析ができます。透析室ではベッドに横になってテレビやDVDを観たり、ラジオを聞いたり、皆さん思い思いの方法で過ごすことができます。

Q透析治療を始めると、旅行には行けなくなるのでしょうか？

A

▲透析患者でも、やりたいことと治療の両立をめざせる

透析がない日を中心に予定を組んで旅行に行かれる方が多いです。例えば月水金で透析されている方なら、土日はフリーになります。また、旅行先の透析施設で臨時透析をすることで長期間の旅行も可能です。中には海外旅行に行かれる方もいますよ。海外旅行に行かれる場合は、その患者さまの治療内容などを記載した診療情報提供書を、英文にて御用意いたします。また、旅行の日程に合わせて透析日を変更することもあります。透析患者さまには透析をしながらでも人生を楽しんでほしいと思っていますので、患者さまが安心して旅行できるよう、できる限りのサポートをさせていただいております。