アレルギー専門の小児科医師の診療
適切な薬と治療法
田中小児科医院
(豊田市/梅坪駅)
最終更新日:2023/09/29
- 保険診療
みんなと同じ給食が食べられない、顔や手などがカサカサしてかゆい、花粉の時期は目が腫れるなど、アレルギー疾患に悩む子どもの低年齢化が著しい昨今。継続治療が必要な病気なだけに、親にとっても負担になっているのは事実だが、現在ではほとんどの患者が入院することなく自宅での薬物治療で症状を抑えることを図るという。「アレルギー疾患を抱えたアスリートでも、治療を継続しながら活躍しています」と、明るい話題を提供してくれたのは、日本アレルギー学会のアレルギー専門医であり「田中小児科医院」の院長でもある田中健一先生。豊富な経験と知識をもとに、アレルギー疾患の子どもたちに寄り添った治療をしている田中先生に、小児のアレルギー疾患について教えてもらった。
(取材日2023年7月19日)
目次
継続することが重要。薬や舌下免疫療法で症状を抑えることを図る
- Qアレルギー疾患について教えてください。
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A
食物や花粉など本来は無害なものを体が害と認識することで、排除しようと過剰な反応を起こす病気です。多くはもともとアレルギー体質を持った方が、何かのきっかけでスイッチが入り発症します。食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、小児喘息などがあり、症状はじんましんやかゆみ、鼻水、咳などさまざま。体質的なものは基本的に完治は見込めませんが、小児では成長とともに改善する場合もあります。食物アレルギーでは2回目や3回目に食べた時に発症したり、小さい頃から食べていた物が大人になって突然アレルギー反応が出ることも。検査でアレルギーの数値が高くても反応が出ない人もあります。
- Qどのような検査や治療を行うのですか?
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A
ほんの少しの採血で複数のアレルゲンを調べることが可能です。花粉や食物など代表的な30項目以上のアレルゲンを調べるための検査もあります。あくまで血液検査は診断の補助なので、症状が出る状況や時期、どのような症状が出たか、といった情報が診断に重要です。治療は、症状を緩和するための薬物療法と、少しずつアレルゲンを体に入れて慣れさせるための「免疫療法」という治療法があります。免疫療法で代表的なのは、スギ花粉症やハウスダスト(ダニ)アレルギーに対する舌下免疫療法です。食物アレルギーでは、アレルギー反応を起こさない少量から始めて徐々に量を増やしアレルギー反応を起こさない体質をめざします。
- Q小児喘息の場合は、吸入薬が中心になるのですか?
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A
昔は喘息のコントロールは難しかったのですが、現在は吸入のステロイド薬が中心になっています。昔は長期入院の喘息患者さんが多かったのですが、そうした重症化を防ぐことにもつながっています。適切な方法で適切な容量が吸入できていれば、運動も日常生活も普通に送ることが望めます。吸入薬は、吸う力の弱い小さいお子さんには使い方が難しいかもしれませんが、スプレー式やパウダー、蒸気などいろいろあり、年齢に応じて使い分けます。薬の種類が合っていなかったり、吸入の仕方が適切にできていなかったりすると、十分に薬の効果が期待できません。様子を見ながら、吸入の仕方を保護者に指導することも重要です。
- Q家族が注意する点はありますか?
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A
小児喘息やアトピー性皮膚炎の場合、自己判断で治療を中断したりお薬を飲まなくなってしまうと、ある時に突然、ひどい症状が出てしまうので注意してください。症状が出ていない状態を続けることで、その後のアレルギー疾患を予防することにつながるという報告もあります。小学校4年生くらいから治療の意味を理解できるようになってくるので、高学年になる頃には一人でも薬を使って、自己管理できるようになることをめざしていきたいですね。それまでは、ご家族の協力が必要不可欠ですし、われわれがサポートできればと思います。