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菅沼 正司 院長の独自取材記事

医療法人 菅沼医院

(豊田市/豊田市駅)

最終更新日:2019/08/28

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豊田市駅から車で10分ほどの住宅街に位置する「菅沼医院」。先代から受け継ぐかたちで2010年から院長を務めているのが菅沼正司先生。新薬開発の会社経営に携わった経験を持つ菅沼院長は、別の世界から客観的に診療の現場を見て気づいたことを同院に導入している。「予約制にしているので、なるべくお待たせせずに決まった時間枠の中でしっかりと診ることが大切」と話す菅沼院長。自身もスタッフも、患者にしっかり寄り添いながらも、効率的に診療を行えるよう、院内は動線などが考え抜かれたレイアウトになっている。また通常の診療以外にも、在宅診療も行っており、地域でさまざまな患者を支えている。日頃の診療について、また会社経営で見えた医師の世界についてなど、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2017年10月23日)

「病気を治したい」との思いから新薬開発の会社を経営

こちらのクリニックの歴史と特徴を教えてください。

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内科の医師の父が1963年頃に開業しました。当時からこの辺りは住宅街でしたので、父は地域の皆さんによく知られている医師でしたね。私自身そんな父の背中を見て育ち、父からクリニックを引き継いだのが2010年です。父の代から通ってくださっている患者さんもいますし、ここ豊田市は企業城下町でもあるので、新しく来られた若い方もいらっしゃいます。地域の皆さまのかかりつけ医として、風邪のような一般的な病気から、生活習慣病など管理が必要な病気まで、患者さん一人ひとりの体を長く診ています。通院できない状態になったときには訪問診療を行い、最後までケアをするのも特徴の一つです。

先生は会社を経営されていたと聞きましたが?

医師になって直面したのが「手術だけでは治らない」という現実でした。病気をもっと知りたいという思い、そして何より患者さんを治したいという思いから新薬開発に興味を持ったんです。2000年からおよそ10年間、会社を立ち上げて新薬の開発に従事しました。2000年頃はまだ製薬会社以外で新薬開発をするなんてことはありえない時代でした。いろいろな方にお世話になって会社を経営し、新薬開発に力を注ぎました。今は、毎日ここで診療していますが、新薬の開発研究も同時並行で行っています。チームでいろいろと話し合い、普通の製薬会社ではやりにくい研究をしています。診療と開発と二足のわらじでとても忙しいのですが、診療するうえで新薬開発のための知識が役立ったり、もちろんその逆もあるので、それぞれに良い影響を与えあっていると思います。

そもそも医師になったきっかけはなんだったのでしょうか?

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やはり父が医師だったことですね。自然に自分も医師になるものだと考えていました。専門は消化器外科です。内科では、診断して手術が必要でしたら外科に回しますよね。だったら、外科で最後まで患者さんを診たいと思ったんですね。また、消化器はがんが多いのでがんを診る上でも外科をやらなくてはという気持ちでした。当時は手術にも執刀していましたが、切った中にすべてのがんが収まっていれば治りますが、少しでも溢れてしまっていればがんは再発するんです。そこで「手術だけでは治らない」という現実に改めて直面して、先ほどお話した新薬開発の話につながります。この医院を継ごうとは前々から思っていましたが、そのために何をやるかということではなく、その時々の選択肢から「大変な方」を選んできました。

決められた時間内でしっかりと患者を診る完全予約制

先生は診療でどんなことに気をつけていらっしゃいますか?

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自分の思いを押し付けないことでしょうか。自分がしたい治療と患者さんの求めていることは違う場合もあります。10年ほど会社経営をして違う世界にいたので、この世界の特殊さがよく分かるようになりました。開業医の仕事って与えられている裁量がすごく大きいんですね。一般的に何か新しいことをするのには稟議書などが必要になるじゃないですか。開業医は、新しい薬剤を使うのも自分の裁量ですから。だからこそ、患者さんには薬の効果はもちろんですが、副作用などのリスクもしっかりお伝えして、きちんと理解していただいたうえで使用するようにしています。また、「体を動かすようにしてください」「食事制限をしてください」など、自分ができないことは患者さんに言ってはいけないと思っています。なので、私自身がそういったことに気をつけるようにしています。

予約制での診療だそうですね。

基本的には予約制にしていますが、急患の方などは臨機応変に対応できるようにしています。予約制なので患者さんの負担も減ったと思いますし、必ず次の予約を取ることで薬剤管理ができるようにもなりました。「次回までの日にち分出しますが、お家に薬残っていませんか?」と聞いて、残薬があればその分少なめに出します。毎回確認するので服薬率も上がるように思いますし、薬の余剰がなくなるという利点もあります。ただ予約制にするということは、しっかりと決まった時間内で患者さんを診ていかなければいけません。予約しているのに大幅に遅れるというのは、私はあってはいけないことだと思います。もちろん、不測の事態はありますが……。そのために私自身も、スタッフも常に「効率化」を意識して診療をしています。

クリニック全体のこだわりを教えてください。

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予約時間内でしっかりと診るために超音波を使っています。診療する側も余計な作業がありませんし、患者さんも痛みなどありませんので、負担なく行えるのが超音波です。超音波を使うために、診察室はゆとりをもった広い空間になっています。全体的に患者さんやスタッフの動線を分けたうえで効率よく動きやすいレイアウトを考えました。また、インテリアの面では10年間会社経営で見てきたアメリカの病院を参考にしています。巨大な水槽を持つ病院の先生が「生き物を見ることは、弱っているときに非常に安らぎになる」とおっしゃっていたんです。確かに、と思って待合室に水槽を設置しました。全体的にはグリーンがベースの温かみある雰囲気にしています。色合いなどは私より妻の意見が反映されています(笑)。

ずっと診てきた患者を最後までケアするための在宅診療

お父さまの代から在宅診療に力を入れてらっしゃるのですね

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父も長く診ていた患者さんが高齢などの理由で診療に来るのが難しくなると、往診をしていました。患者さんに合わせて長く診るというのは良いことだなと思って、私も在宅診療に力を入れています。在宅診療では、痛みを和らげ、食事がとれるようにすることに重きを置いています。なるべく穏やかに過ごすことが本人にとっても、ご家族にとっても大切です。最後の最後が良い思い出にならないと、それまでの人生が悪いものに変わってしまうこともあるかもしれません。在宅診療はやはり本人も家族も、もちろん私たちも全力投球で、すごく濃い時間になります。普段の診療にはない気づきがあり、私たちにとっての大きな仕事の一つだと思っています。「良かったな。やりきったな」とご本人やご家族に思っていただけるよう、これからも在宅診療は続けていきたいですね。

忙しい毎日の原動力はなんでしょうか?

毎日自分がやれる範囲を広げていくことが楽しいので、それが私にとっての原動力です。時間内でしっかりと診察をして、議論したり、勉強したりするなかで今だから分かるということが増えていくのがやっぱりうれしいですし、さらに上をめざそうという力になります。ある方から言われたことがあるんです。「人生は大きな丸をつくることだよ」って。遠回りをするような道を選ぶことで最後はきちんとつながって丸く円ができるということだと理解しています。円をどれだけ大きく描けるかで出会える人や新しい知識の量が変わってくるんですよね。大きい円を描けるように、日々過ごしていきたいです。

最後に女性読者へのメッセージをお願いします。

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家庭においても社会においても、女性はとても重要な役割を持っていると思います。やはりご自身が健康であることがとても大切です。お孫さんができた、高齢の家族に介護が必要になったなど、さまざまな場面で柔軟な対応を求められるのがやはり女性です。ご自身のためにもご家族のためにも、何か自覚症状があれば早めに受診してください。女性は80代が勝負だと言われています。80代でどれだけ自分をマネージできるか、自分の人生を決めることができるかでその後が変わります。体や生活習慣は少しずつ修正できますので、まずは意識することから始めてみてください。

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