まぶたが下がる眼瞼下垂症
日帰り手術で視野の改善をめざす
大鹿眼科
(津島市/津島駅)
最終更新日:2023/07/04
- 保険診療
年齢を重ねると、しわやたるみが気になる他に、まぶたが下がってきたという悩みが出てくる人も多いのではないだろうか。見かけの問題だけでなく、下がったまぶたが瞳の上部を大きくふさぐようになると視野が狭くなって、物にぶつかったり転倒したりする危険性もある。また、無理に眉毛を上げて物を見ようとするせいで頭部の筋肉に力が入り、頭痛や肩凝りにつながることも考えられるという。「大鹿眼科」の大鹿智院長は、「目を触るのは怖いイメージもありますが、思いきって治療を受ければ楽になることも望めます」と優しく話す。眼瞼下垂症と診断された場合、治療は局所麻酔による手術になるので、患者とよく話し合い、無理に勧めることはない。まれに他の病気が隠れている場合もあるので、まずは相談のために受診しても良いだろう。
(取材日2023年3月7日)
目次
瞳に上まぶたがかかり視野が狭くなる眼瞼下垂症。日帰り手術で視野を広げることをめざし、生活の質の向上を
- Q眼瞼下垂症とはどのような疾患ですか?
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A
何らかの原因によって上まぶたが下がってくる状態のことで、瞳にまぶたがかかってしまうので上のほうが見えづらくなったり、目を開けにくくなったりします。女性の場合、鏡を見て化粧をするときに目を開けにくくなってきたということで割と早い段階で気づくことがあるようです。大抵は40代以降に起こりますが、中には20代の方も。進行すると眉毛を一生懸命持ち上げて物を見るので、おでこや眉間にしわが刻まれてしまうかもしれませんね。頭の筋肉に力を入れることが続くため、それが頭痛や肩凝りにつながることも考えられます。ひどくなると、垂れ下がったまぶたを指で持ち上げて物を見るようになります。
- Qどのようなことが原因で起こるのでしょうか?
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A
加齢により、まぶたを引き上げる筋肉や、その筋肉とまぶたをつなぐ腱膜が衰えて緩むことで起こることが考えられます。筋肉と言っても薄っぺらいもので伸びたら元に戻らずそのままなのです。大抵両目同時に進行しますが、片目だけのケースもあります。年齢を重ねれば誰にでも起こり得るといえますね。また、コンタクトレンズ、特にハードレンズを数十年という長期にわたり使用してきたことが原因となり得るとも考えられています。レンズの微妙に出っ張ったエッジ部分がまばたきをするたびにまぶたの裏側をこするので、それが良くないと考えられるのです。他には、白内障など目の手術を受けた後でまぶたが下がってくるという方が時々おられます。
- Q他の病気が隠れていることもありますか?
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A
診察をして、まぶたが下がっているだけでなく眼球の動きまでおかしくなっている患者さんがいらっしゃったら、神経や脳の病気など重篤な病気が隠れている場合が考えられるので、精査するため神経内科や脳外科に紹介します。まぶたが下がる、物が二重に見えるという症状では重症筋無力症という病気もありますが、薬剤を用いた検査を行い診断につなげます。他に眼瞼皮膚弛緩症といって、まぶたの筋肉や腱膜ではなく皮膚だけが過剰にたるみ、かぶさっていることがあります。この場合、皮膚をめくると、まぶたは上がっていることがわかるのです。治療としては、まぶたの腱膜には触れず手術によって皮膚だけを切って縫い縮めることを試みます。
- Q眼瞼下垂症の治療について教えてください。
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A
治療方法は手術になり、希望された方に行います。緩んでしまった腱膜を切除、あるいは切らずに縫い縮めることで改善をめざします。まぶたの表面の皮膚を切って腱膜にアプローチする方法と、まぶたの裏側から皮膚を切らずに腱膜にアプローチする方法があり、軽度で皮膚の弛緩がないケースは後者の方法が多くなります。手術は局所麻酔で時間は1時間前後。タックを寄せるようにきれいに縫い縮めるためには時間がかかるのです。手術は片目ずつで、残りの片方は翌週あるいは翌月に行います。手術翌日に傷や腫れを確認、1~2週間の間に何度か来院していただき、約2週間後に抜糸となります。傷口の腫れは抜糸まで続くこともありますね。
- Q治療後の注意点はありますか?
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A
洗顔は傷口が落ち着くまで2~3日ほど控えましょう。まぶたに糸が残っているので触らないように、また、ごしごしこすらないように気をつけてください。抗生剤の軟膏をお渡ししますので優しく塗るようにしましょう。お風呂は首から下は問題ありませんが、シャンプーはもし目に入ったら大変なので、洗髪もしばらく控えるといいですね。