根本原因、アレルギー体質にアプローチする
舌下免疫療法とは何か
みずの内科クリニック
(一宮市/布袋駅)
最終更新日:2025/03/10


- 保険診療
日本人の国民病ともいわれる花粉症をはじめ、さまざまなアレルギー性疾患で悩んでいる人は多い。ところが、抗アレルギー薬を使う対症療法は眠気や集中力が不足するなどの副作用が強くQOLも低下しがち。頻繁な服用はできるだけ避けたいと思っている人は多いはずだ。そんな状況を踏まえ「スギ花粉とダニアレルギーでお悩みの方には、体質そのものにアプローチする舌下免疫療法をお勧めします」と話すのは「みずの内科クリニック」の水野秀和院長。日本アレルギー学会アレルギー専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医として数々の臨床経験を積み、一宮市立市民病では呼吸器内科医長を務めた水野院長に、アレルギーが発症するメカニズムやアレルギー検査でわかること、力を入れている舌下免疫療法について解説してもらった。
(取材日2021年3月26日)
目次
自分の体質を知ることやアレルギー性疾患の治療のために、検査でアレルゲンの特定が不可欠
- Qアレルギーについて教えてください。
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A
▲アレルゲンを特定し、触れないようにすることが重要
私たちの体には、細菌・ウイルス・異物などから、身を守るための免疫機能が備わっています。しかし、本来は無害であるはずの物質に何らかの原因で免疫が過剰に反応してしまい、咳やくしゃみ、じんましんや発疹、呼吸困難などの状態が現れるものがアレルギーです。例えばアレルギー性鼻炎でしたら、スギやヒノキなどの花粉、アトピー性皮膚炎なら特定の食べ物、喘息ならハウスダストやダニなど、アレルギーを引き起こす原因物質をアレルゲンといいます。アレルギー疾患を治療するためには、アレルギー検査でアレルゲンを特定して、その物質に触れないようにすることがとても重要です。
- Qアレルギー検査にはさまざまな方法があるそうですね。
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A
▲新しい検査システムを導入
一般的なものは血液検査ですね。血液を少量採取し、アレルゲンに対してどの程度アレルギー反応があるのかを調べます。当院では新しい検査システムを導入しました。従来のように腕から採血をする場合もありますが、基本的には指先に小さな針を刺して採血します。痛みはほとんどなく、採血量は約1滴で十分であり、41種類のアレルギー検査の結果がわかるのです。採血が苦手な方でも、少ない負担でアレルギー検査を受けていただけるでしょう。また、以前の検査方法では結果が出るまで1週間ほど必要でしたが、この検査なら翌日にはお伝えできます。アレルギー疾患の疑いがある場合、検査費用は保険適用されますよ。
- Qアレルギー検査を受けるメリットは何でしょう?
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A
▲自分の体質を知ることで、生活スタイルを見直す機会にもなる
アレルギー疾患に悩まされないためには、アレルゲンから遠ざかることが重要ですので、アレルギー体質の原因を知っておくことは大切です。自覚がなくても実はアレルギーだったということもあるかもしれません。カビやハウスダストにアレルギー反応が出た方は、部屋や水回りの掃除の仕方を念入りにしたりと、生活スタイルを見直すいい機会にもなります。犬や猫が好きで飼い始めたら、くしゃみや体のかゆみがとまらず、調べてみたら原因は犬・猫に対するアレルギーだったというケースも考えられます。他には食物アレルギーもありますね。アレルゲンは身近なものばかりですので、ご自身の体質を知るためにも一度、検査をお勧めします。
- Qアレルギー性疾患には、どのような治療方法がありますか?
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A
▲舌下免疫療法で体質の改善が期待できる
アレルギー疾患の諸症状の緩和・改善を目的とした薬はありますが、アレルギー体質自体を改善させることは医学的に非常に難しいです。しかし、スギ花粉とダニアレルギーだけは、根本的な体質改善が期待できる舌下免疫療法という治療法があります。スギ花粉とダニが持っているアレルゲンとなるタンパク質を毎日少しずつ体内に入れていき、体を慣らしていく治療法です。最低でも3年間は続けなければいけませんが、薬の吸収が早い舌の下に錠剤を入れて溶けるのを待つだけ。薬の苦手な方でも飲めるよう味はしませんし、ラムネ菓子のように5分程度で溶けますので服用自体は楽だと思います。スギ花粉用とダニ用では薬は別になりますが、併用できます。
- Qどんな人が舌下免疫治療法を受けることができますか?
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A
▲5歳以上であれば子どもも大人も治療は可能
通常の服用よりも簡単ですので5歳以上であれば開始できます。妊娠中の方は治療を始めることができませんが、治療中に妊娠した方はそのまま継続することができます。開始時期はスギ花粉の場合は、花粉が飛んでいない6月~12月の間に、ダニの場合はいつでも可能です。副作用は、耳や口の中がかゆくなったり、喉がかゆくなったりする場合がありますが、1ヵ月程度で体が慣れてきて次第に気にならなくなります。1日1回の服用はどの時間帯でも結構ですが、前後2時間程度は激しい運動や入浴・飲酒は避けてください。食事の制限はありません。症状がひどい方は、従来のアレルギー治療薬も併用できます。