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岩瀬 敬佑 院長の独自取材記事

岩瀬医院

(岡崎市/岡崎駅)

最終更新日:2023/10/31

岩瀬敬佑院長 岩瀬医院 main

岡崎市南部にあり、江戸時代の1832年から、191年の長きにわたり地域の健康を支え続けてきた「岩瀬医院」。岩瀬敬紀理事長が6代目、2016年に加わった岩瀬敬佑院長が7代目にあたる。両先生とも循環器内科が専門ながら、「町の診療所」として、幼児から高齢者までさまざまな症状の患者に対応している。「どんな検査が必要なのか、専門機関へ行ったほうがいいのか、初期判断も重要な役割です」と敬佑院長。終始にこにことした話しぶりから穏やかな人柄が伝わってくる。スタッフは長く勤務しているベテランも多く、地元の患者が中心ということもあって、院内はアットホームな雰囲気だ。プライベートでは旅行が好きで3児の父でもある敬佑院長に、地域医療への思いを聞いた。

(取材日2018年11月7日/情報更新日2023年10月20日)

江戸からの歴史ある医院で自然に医師の道へ

こちらの建物は2015年にリニューアルされたそうですね。

岩瀬敬佑院長 岩瀬医院1

はい、敷地内で建て替え、新築しました。当院にはお子さんも来られていますが、高齢の方の割合が高く、リニューアルにあたってはバリアフリーを一番に考えました。理事長である父と一緒に計画を立て、待合室は広く、トップライトから光が差し込む坪庭やキッズスペースも設け、診察室にも余裕を持たせました。前の建物は点滴室が2階だったのですが、現在の点滴室は1階で、ベッドが10台置けるほど、町の診療所としてはかなり広いものになっています。駐車場の台数も増え、皆さんに喜ばれているようです。

歴史ある医院で、理事長が6代目、院長が7代目になられるわけですね。

私が医学部に進み医師となった時は、両親というよりも、祖父母がたいへん喜んでくれました。私は小さい頃、祖父が往診に行く車に乗せてもらっていたんですよ。土曜や日曜に、車で20分ほどの隣の幸田町まで出かけていました。今思うと祖父は、医師としての姿を私に見せていたのかもしれません。もう数年前に亡くなりましたが、お酒が好きで豪快で、94歳近くまで元気でした。1日3食欠かさずきちんと食べていましたが、それが長生きの秘訣だったと思います。父は、お酒はあまり飲みませんし、豪快ではなく温和な人。私も父のタイプに似ているでしょうか。患者さんの中には「怖い先生が苦手だから……」とおっしゃって来られる方もいます。

代々続く医師の家系で、家業を継がなくてはという強い思いはお持ちだったのですか?

岩瀬敬佑院長 岩瀬医院2

いいえ、特にそういうことは意識していませんでした。父の男兄弟も、祖父の男兄弟も医師ですが、医師になるように言われたことはありません。子どもの頃、学校から帰ってきた時などに、診療する父の姿を折にふれて見ており、自然にこの道に進んだと感じています。高校生の時に、将来やりたいことがあるだろうかと考えたのですが、医師以外では、テーマパークをつくるような仕事がしたいと思ったことがあります。中高生時代に生徒会長を務めたこともあり、イベントをやることが好きだったんですね。イベントを楽しむというより、企画やマネジメントをすることに興味がありました。でも仕事として選択するには難しく……(笑)。友人たちには、今でもイベント係だと思われていますね。

全身を診る総合診療や輸入感染症についても勉強

先生のご経歴について教えてください。

岩瀬敬佑院長 岩瀬医院3

2003年に、父と同じ昭和大学を卒業し、岡崎市民病院の循環器内科で研修医をして、その後、東京都新宿区にある国立国際医療研究センターに勤務しました。そこで携わっていたのが、総合診療と、渡航者を対象とした診療です。その頃には当院を継ぐことが頭にありましたので、数年間は好きなように興味のあることを勉強したいと考え、同センターに志願し、採用していただきました。4年ほど経過した頃、愛知県へ戻り、安城市や江南市の総合病院、そして再び岡崎市民病院の循環器内科に勤務し、診療と若手教育に従事しました。現在も週に1回、岡崎市民病院で研修医の指導を行っています。

なぜ総合診療と、渡航者を対象とした診療に興味がおありだったのですか?

総合診療については、いずれ開業医の立場になったときのために、1つの臓器に限らず総合的になんでも診て診断ができる能力を身につけたかったからです。渡航者を対象とした診療も、総合診療の分野に含まれるものです。それともう1つ、私が旅行好きで世界に興味があったから、ということも理由でしょうか(笑)。総合診療と渡航医学、その2つの分野が一度に学べるのが、国立国際医療研究センターだったのです。総合診療科では、原因が特定できず、地域の診療所や他科から紹介されてこられた患者さんを診察し、渡航者外来では、輸入感染症であるマラリアやデング熱・腸チフス等の患者さんを何十人も診たり、ベトナムの医療機関での研修をさせていただきました。医師として、多くの貴重な経験ができたと思います。

輸入感染症とはどのようなものですか? また地域で診ることはありますか?

岩瀬敬佑院長 岩瀬医院4

輸入感染症は、国内で発症する感染症とは違い、主に海外で感染した渡航者が国内に菌やウイルスを持ち込み、日本で発症してしまうものです。このところ、麻疹(はしか)や風疹の流行がありますが、これも海外で感染した人が入国し、発端になることが多いのです。これからの時代、輸入感染症も考えた視点を持つことは、日常的な診療の場でも重要になってくるのではないかと思っています。この地域は大きな企業の工場もあり、外国の方、特にブラジルの方が多いのです。新型コロナウイルスの流行もありましたが、それも経て、海外への往来が身近になった現在、輸入感染症の対策は、地域においてもしっかり取り組むべきことの一つと思います。

どんな患者も受け入れ、専門医療機関へ迅速に紹介

先生はなぜ最初に循環器内科を専門にされたのでしょうか?

岩瀬敬佑院長 岩瀬医院5

将来的に、当院を継ぐなら内科を専門にするのがいいだろうと思っていたのですが、各科を研修する中で、循環器内科にいると、結局、全部の臓器を診る必要に迫られるのです。例えば心臓の悪い患者さんでも、各臓器をそれぞれの専門の先生に診てもらうのですが、最終的に入院については循環器で診てください、という事が多かった(笑)。それで基本的にどの臓器でも診られるようになるには循環器内科だと思い、専門に決めました。この時も総合診療的なことを考えていたのだと思います。テレビの番組で、患者さんの症状からいろいろ多角的に推測し、病名を探っていくものがありますが、私もそんな診断学が好きで、やりがいを感じます。

先生が普段、大切にされていることはどんなことですか?

普通のことではありますが、話をよくお聞きすることを最も大切にしています。患者さんがここに来られるまでどんな症状だったのか経過を知ることが大事であり、お話を聞く時間は長いほうだと思います。総合診療の世界では、診察する前の問診で7割が決まる、といわれており、あとの3割で違う可能性を考えて検査し調べていく。開業医は、患者さんのご家族や生活背景なども含めて診ることが大切であり、そんなところにも町の診療所の意味があるのだろうと思っています。お子さんの場合は、血管が細くて複数回採血ができないことを考慮したり、また症状によっては容体の急変も考え、迅速に病院に紹介するように心がけています。

今後の展望についてお聞かせください。

岩瀬敬佑院長 岩瀬医院6

病院と違って、町の診療所にはまだ病気がわからない「まっさらな状態」の方が来られます。お話をよく聞いて、検査が必要なのか、専門機関に行ったほうがいいのか、適切に判断することも重要な役割になりますね。ある意味「なんでも屋さん」ですが、地域にある診療所としてそこの部分はしっかりとやっていく所存です。岡崎市は、病院、診療所、医師会の連携が強く、検査については、岡崎市医師会が運営する公衆衛生センターなどに依頼をしています。MRI、CTともに複数台あり、先進の機器がそろっていますので、そうした地域のインフラを有効に使っていきたいですね。検査の予約は、診療中にパソコンで行うことができます。当院には祖父の代から来られていて、お年を重ねて通院が難しくなる方も増えてきました。現在は施設等への往診が主体ですが、今後は地域で困っている方々をサポートできる体制を少しずつ整え、訪問診療にも力を入れていきたいです。

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