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杉野 茂生 院長の独自取材記事

平針団地診療所

(名古屋市天白区/平針駅)

最終更新日:2022/04/22

杉野茂生院長 平針団地診療所 main

平針駅から車で10分ほどの場所にある「平針団地診療所」。1966年の開業以来、50年以上の長きにわたり地域の患者を支えてきた。2014年に3代目である杉野茂生院長がその基盤を継承。「病気を予防するため、患者さんの生活をマネジメントするのは開業医の役目です」と語る。専門である循環器内科のほか、勤務医時代の豊富な経験から内科と小児科も手がけ、予防に重きを置いた診療で地域医療を支える杉野院長。丁寧な問診で患者のバックボーンを把握し、生活に寄り添った食事や運動のアドバイスも行う。時折見せる笑顔は温かく、地域の患者を思う誠実な人柄が伝わってくるようだ。自身も健康のために走ることを欠かさないという杉野院長に、病気の予防で大切なことや診療時の心がけなど、多くの話を聞いた。

(取材日2020年8月27日)

日常生活に寄り添った体調管理で、病気を予防する

どのような訴えで来られる患者さんが多いですか?

杉野茂生院長 平針団地診療所1

風邪や腹痛などの一般的な内科の症状で来られる方もいますが、血圧やコレステロール値が高いといった慢性状態の方が多いですね。あと最近は、健康診断で異常があって来られる方も多いです。例えば健康診断を受けて異常があると、要観察、要受診、要精査といったように段階によって項目が分かれているので、「どうしたらいいですか?」と結果を持って来てくださる方や、「職場の近くで薬をもらっていたけれど、こちらでもらえますか?」と来られる方もいます。そこで相談に乗って、家族歴や日常生活を聞き取っていきます。

家族歴も把握されるのですか?

そうですね。家族歴は慢性疾患において重要な情報です。例えばご両親が高血圧だということがわかると患者さん自身も同じ体質を持っていらっしゃる可能性が高くなりますので気をつける必要がありますし、おじいちゃんが脳梗塞や心筋梗塞を患っていたと聞けば、早めに検査したほうがいいとお話ししますし、家系にいる人の多くが50歳すぎにがんを患っていたということであれば、がんをしっかり調べたほうがいいとお勧めします。患者さん自身のリスクを知るという意味において、家族歴は重点的に聞いていますね。リスクのある病気は予防をする必要がありますし、病気になりそうな方をマネジメントしていくのは開業医である私の務めだと考えています。

丁寧に問診されているのですね。聞き取りはどういった流れで行っているのですか?

杉野茂生院長 平針団地診療所2

自覚症状があるかをまず確認します。健康診断で異常があって来られた方は、自覚症状がないことがほとんどですね。あとは、普段の生活について伺います。食事は朝昼夜きちんと食べているか、夜ご飯の量や寝る何時間前に食べているか、運動習慣はあるかといったことは聞きますね。それらを踏まえて、例えば運動する時間がなければ、エレベーターを使っていたら階段を使いましょうとか、バスで通われていたら2駅前で降りて歩きましょうとお話しします。寝る前におまんじゅうがどうしても食べたくなる方でしたら、血糖値が上がりにくいタンパク質のもので我慢しましょうとかですね。運動でいえば1日に30分以上の速足のウォーキングといった指標もありますが、できる範囲でいいと思います。大切なのは継続することです。

健康診断は受けて終わりにせず、異常があれば受診を

自覚症状がない方が多いとお聞きすると、健康診断を受けることの大切さをあらためて感じます。

杉野茂生院長 平針団地診療所3

健康診断は病気のもとになるようなものを見つける機会ですので、大切ですね。そして、受けるだけでなく異常があれば医療機関を受診するということも重要です。結果が送られてきてもスルーされる方は多いんですね。総合病院の循環器内科で診療していた時も、例えば心筋梗塞で来られた方で、健康診断に引っかかっても一回も受診したことがないという方がいました。気になっても忙しくて受診する時間がない方もいると思います。病気が見つかるのが怖くて病院に行かないという方もいます。ですが、受診をためらっていたために病気が進行してしまうこともあります。まだ小さいお子さんがいる方も多いでしょうし、若くして大病をされるのはつらいと思います。気になることがあれば、すぐに相談していただきたいですね。

患者さんとお話されるときに、心がけていることはありますか?

患者さんに何かを伝えるときは、患者さんが嫌な気持ちにならないようにと心がけています。例えば検査をして大きな病気が見つかったら、結果をお話ししなければいけませんよね。病気が見つかったこと自体は、どう頑張っても患者さんにとって嫌な内容には違いないんです。けれどストレートにそのまま伝えては、さらに嫌な思いをさせてしまう。ですので、患者さんの気持ちを考えながら、これから治療していこうと思っていただけるようにお話しすることを心がけています。ただ、受け取り方というのは本当に人それぞれで、良かれと思って選択した言葉がその患者さんにとっては違ったということもあるため、試行錯誤しながらですね。医療をしっかり提供するのは当たり前のことですから、その上で患者さんといかに信頼関係を築いていくか、このことはずっと考えています。

ところで、先生が医師になったきっかけは何だったのでしょう。

杉野茂生院長 平針団地診療所4

幼い頃から父の後ろ姿をずっと見ていましたので、小学校の時には医師という仕事を意識していました。「なりたい」のではなく、「なるんだ」と言ったほうが当時の気持ちに近いと思います。東邦大学医学部を卒業後は地元に戻り、春日井市民病院に勤務しました。大学の病院で勤めるという選択肢もありましたが、現場で患者さんとより多く接する機会を持ちたいと思ったんです。研修医の2年目で循環器内科に専門を決めました。検査やカメラが扱え、中には難しい処置をすることもあって、やりがいを感じたからです。そういった意味では、外科にも興味がありましたね。その後はトヨタ記念病院、名古屋記念病院で研鑽を積み、2014年にこの診療所を継承しました。

診断の精度を重視し、超音波診断装置を検査に活用

超音波診断装置を導入されていると伺いました。検査ではどういったことをされていますか?

杉野茂生院長 平針団地診療所5

超音波診断装置を導入していますので、各種エコー検査をしています。心エコーや、頸部エコー、腹部エコーなど、一通りのことはしていますね。例えば心臓であれば動悸がする、胸の音を聞いて心雑音がある、健康診断で心電図に異常があったときなどの場合に検査します。心臓に関して言えば、エコーで見つかる病気は多いですからね。心臓は私の専門である循環器内科の領域なので、気になることがあればエコーで検査をしています。病気が見つかった場合は、一般の開業医で治療できるものであればここで診療しますし、高度な医療が必要な場合は速やかに専門の医療機関を紹介します。また、病院での治療が終わってクリニックでの経過観察になった場合も、病院と連携して引き続き私のほうで診療していきます。

院内処方もされているのですか?

はい。採用していない薬を処方する場合はどうしても院外処方になってしますが、基本的にはほとんど院内処方です。昔からずっと院内で処方していたのでその流れを継いだというのもありますが、長く通ってくださっている方は高齢の方が多いので、例えば歩行器の方に薬局に取りに行ってくださいというのは心苦しいですし、何よりご本人が大変です。患者さんの負担を減らすという目的もあって、院内処方にしています。また、働きに出ている若い方ですと職場の近くの薬局で薬を受け取りたいという方もいます。処方箋は発行されてから4日以内に薬を取りに行けばいいので、そういった方には希望の薬局にファクスで処方箋を送って対応しています。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

杉野茂生院長 平針団地診療所6

この辺りの地域の皆さんは、健康への意識が高いと感じています。ご自身で実践されている健康管理と並行して、食事や運動にも気を配っていただきたいですね。特に働き世帯の方はタンパク質は取れていても野菜が不足していることが多いので、バランス良く食べて運動してください。健康診断はしっかり受けて、結果に異常があればいつでも相談に乗ります。通院してくださっている方で健康診断の結果を毎回持ってきてくださる方もいらっしゃいますよ。病気を予防し末永く健康でいるために、患者さんと二人三脚で体調管理をしていきたいです。夜も8時まで診療していますので、仕事帰りにも寄りやすいかと思います。話しやすい雰囲気を大切にしていますので、気になることがあれば気軽に相談に来てください。

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