胃がキリキリしたり下痢が続くなど
胃腸トラブルで受診すべき検査
天白宮田クリニック
(名古屋市天白区/塩釜口駅)
最終更新日:2025/06/20


- 保険診療
公的な検診でも内視鏡検査が可能な自治体が増えてきたため、胃や大腸の内視鏡検査を受けた経験がある人も少なくないだろう。身近になってきた内視鏡検査だが、管を体の中に入れる検査はできれば受けたくないと思う人は多いかもしれない。そこで併せて知ってもらいたいのが、大腸CT検査という選択肢。痛みが心配で内視鏡検査を受ける決心がつかない人や、腹部の手術歴から大腸カメラが入りにくい人などが受けているようだ。大規模病院には普及している新しい検査機器だが、最近は設置するクリニックも増えてきたという。消化器内科を専門とする「天白宮田クリニック」の宮田雅弘院長に、内視鏡検査と大腸CT検査について話を聞いた。
(取材日2021年7月13日)
目次
胃と大腸の内視鏡検査に加え、大腸CT検査という選択肢も提供
- Q胃の内視鏡検査について教えてください。
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A
▲消化器内視鏡専門の医師による検査が受けられる
胃の内視鏡検査で胃がんや逆流性食道炎、慢性胃炎などが見つかることがあります。また胃の状態を見ることで、ピロリ菌の発見につなげることもできます。ピロリ菌がいる人は胃がんになる確率が高いため、早めに除菌治療を受けましょう。胃がんは、慢性胃炎からがん化することが多く、小さくてもがんがあり得るため、われわれ医師が入念に観察し、小さな病変を見つけることが重要です。自覚症状がなく検診目的で来られた方や、バリウム検査の再検査で来られた方の中にも小さながんが見つかることもあります。胃がんは、自覚症状が出てからでは治療も大変ですし、手遅れの状態になっていることもありますので、早期発見のためにも検診が重要です。
- Q大腸内視鏡検査について教えてください。
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A
▲鎮静麻酔を使用し苦痛の少ない検査をめざしている
大腸内視鏡検査を受けるのは、繰り返す下痢や便秘、血便、腹痛などの症状の方、検便で再検査が必要とされた方です。大腸ポリープは大腸がんの原因になりますが、ポリープを見つけてその場で取ることができるのが大腸内視鏡検査の大きなメリットです。患者さんの大腸の状態を見ての判断ですが、ポリープができやすい人は翌年も検査することをお勧めしていますし、そうでない人もポリープ治療後は3年に1度は検査することが望ましいですね。若い方で、潰瘍性大腸炎やクローン病が見つかることもありますが、精神的ストレスが原因で調子が悪いだけだと思っていた、というケースが多い印象です。
- Q大腸CT検査について教えてください。
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A
▲内視鏡検査以外の選択肢も用意している
大腸CT検査は、お尻から管で炭酸ガスを入れ、腸管を膨らませてから2回撮影をします。炭酸ガス注入に抵抗のある方もおられるかもしれませんが、管は1cm以下の細いものですし、所要時間も約10分なので、内視鏡検査よりも楽に受けることができるでしょう。使用する下剤も内視鏡検査時より少なくて済みますし、腹部全体を撮影するため、大腸以外の情報も把握できるというメリットもあります。ただ、組織の採取ができないため、異常が見つかった場合にはその場で処置はできません。その場合はあらためて大腸内視鏡検査を受けていただくことになります。
- Q内視鏡検査より大腸CT検査を勧めるのはどんなケースですか?
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A
▲大腸CT検査で使用する管は細く負担が少ないものを使用している
若い方はがんが見つかる確率が低いので、大腸内視鏡に抵抗がある場合はまず大腸CT検査で異常がないかを確認するという選択でもよいでしょう。中高年からはがんの確率が上がりますし、ポリープが見つかることも多くなってくるので、当院では、50歳以上で便潜血が陽性の方にはどちらかというと内視鏡検査をお勧めしています。大腸CT検査だと病変が見つかれば再度内視鏡検査を行うため、病変が見つかる可能性が高い場合は、最初から内視鏡検査をするほうが患者さんの負担も少なくて済むからです。以上も踏まえどちらの検査を施行するかは最終的に患者さんの希望を考慮した上で決めるようにしています。
- Qどの検査をしたらいいのか判断できない場合は?
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A
▲適切な検査を受けられるよう患者の話に丁寧に耳を傾ける
患者さんにとっても、「痛いのは嫌だけど、病気があるなら見つけてほしい」というのが、第一の希望でしょう。当院ではそういった患者さんの希望も加味した上で判断し、検査を勧めています。例えば便潜血で陽性の場合、30代の方なら痔の可能性もあります。しかしこれが50代以上であれば、ポリープが見つかる可能性が高いので内視鏡検査を勧めます。まずは検査を受けることが第一歩。大腸がんは女性のがん死亡者数1位ですが、その要因の一つには、検査方法が内視鏡だからということがあると思います。内視鏡検査は苦痛で恥ずかしいという理由から検査を怠って手遅れにならないよう、負担の少ない大腸CT検査という選択肢も用意しています。