朝日 憲治 院長、朝日 知子 副院長の独自取材記事
朝日クリニック
(名古屋市名東区/上社駅)
最終更新日:2025/04/09

名東区香南、落ち着いた住宅街にある「朝日クリニック」は、子どもから高齢者まで対応する地域のホームドクターだ。診療科目は幅広く、内科や小児科、皮膚科、外科など、朝日憲治院長と妻の朝日知子副院長がそれぞれの専門性を生かしながら診療を行っている。中でも、憲治院長が注力するのは痔の治療。切らないALTA療法を導入し、それを目当てに遠方から通う患者も多いそうだ。「高齢化が進む患者ニーズに応えていきたいです」と優しい口調で話す知子副院長。在宅療養支援診療所として登録する同院では、訪問診療や介護機関との連携など、患者の高齢化に合わせて柔軟に対応をしている。開業からもうすぐ30年。公私ともに良きパートナーとして歩んできた憲治院長と朝日知子副院長に、同院の歴史や特徴、今後の展望などを話してもらった。
(取材日2024年8月21日)
幅広い診療に対応、頼れる地域のホームドクター
たくさんの科目を標榜されていますが、役割分担はどうされていますか。

【憲治院長】当院では2人の専門性を生かしながら幅広いお悩みに対応したいと、内科、小児科、皮膚科、外科の他に、胃腸内科、糖尿病内科、内分泌内科、肛門内科、肛門外科、整形外科、リハビリテーション科を標榜しています。内科・小児科は2人で診つつ、胃の内視鏡検査や超音波検査など検査全般は私が担当。整形外科疾患、痔の治療も私が行っています。
【知子副院長】私は内科一般。特に内分泌内科や小児科などです。まずは受付で担当医師を決めるのですが、患者さんの話を聞く中でより合うほうにバトンタッチしたり、患者さんの希望によっては2人で診たりするなどして、臨機応変に対応しています。2人で相談できるのは、患者さんにも私たちにとっても心強いですね。
開業からもうすぐ30年とのことですが、開業までのご経緯を教えてください。
【憲治院長】私は外科を専門としていまして、一番長く勤務していた土岐市立総合病院では主に手術を担っていました。開業は若い頃から視野に入れていて、この場所も私の父が「いつか開業した時に」と準備してくれていた土地なんです。
【知子副院長】上の子どもが小学生になったことが、私の中では開業のきっかけだったと思います。以前は私も勤務医として外で働いていましたので、子どもが下校後、家で一人になるのが心配で。子育てと仕事との両立で悩む私を見て、院長が「助けてあげたい」と思ってくれたのでしょう。自宅と合わせてクリニックをここに建てることにしました。そうしたら開業前、クリニックを建てている時に地域の人から声をかけられたんです。「近くにクリニックが少なくて困っている」って。皆さん、当院の完成を心待ちにしてくれていたみたいで、開業当初から、子どもからご年配の方までさまざまな患者さんが来院してくださいました。
現在、どのような患者さんがいらっしゃっていますか?

【知子副院長】やはり、一番多いのは開業当初から通っている患者さんだと思います。「ホームドクター」として地域に根差した診療を30年近く続けていますので、開業当初は子どもだった方が大人になり、親子2世代3世代、ご家族皆さんで通われている患者さんもいらっしゃいますよ。
【憲治院長】がん検診や特定健診の方もよくいらっしゃっています。当院では胃内視鏡検査は経鼻内視鏡を取り入れたりと設備導入も整え、健康診断では婦人科以外の項目は検査可能です。また、当院は医師2人体制なので、通常の診察も健診も、じっくり対応することができるのもメリットではないでしょうか。
痔の治療法として切らないALTA療法を導入
痔の治療について詳しくお聞かせください。

【憲治院長】内痔核を切除せずに治療できるALTA療法を導入しています。名古屋市内ではちらほら導入している病院がありますが、名東区では少ないのではないかと思います。昔は痔が進行すると、腰椎麻酔をして切除するしか治療法がなかったのですが、10年くらい前にこの方法ができたのです。ALTA療法は入院の必要もなく、出血も少ない傾向にありますので、手術に比べて患者さんの負担も軽減されます。また、外痔核には使えない方法なので、患者さんの状態をしっかり確認して、手術との併用療法かALTA療法にするべきかを判断して、治療を進めています。軽い痔であれば、座薬や内服薬、便通を整えるよう図ることで改善が見込めるパターンがほとんどです。
女性だと痔の相談をためらう方もいるかと思いますが、実際はどうなのでしょうか。
【知子副院長】女性だと「女性医師に診てもらいたい」と希望される方が多いのですが、痔の治療は院長の専門なので「せっかく来てもらったので、専門の先生に診てもらったほうが良いですよ」と私からお話しさせてもらいます。専門の医師に診断してもらったほうが、治療もきちんと行えるので安心できますとお伝えすると、ほとんどの方が院長の診療に入ってくれます。
【憲治院長】痔の治療はためらわれがちですが、早めに受診してもらったほうが早く治すことにつながります。痛みや出血、ぽこっとふくらみができたなどの自覚症状がある方は、早めにご相談いただければと思います。他にも、肛門のおできは肛門周囲膿瘍の可能性もあり、場合によっては直腸がんの可能性もありますので、少しでも気になることがあれば来院してもらったほうが良いですね。
診療時に心がけていることはございますか?

【憲治院長】患者さんの訴えをしっかりと聞き出すことです。お子さんやご高齢の方など、うまく自分のことを話せない人には、考えられる病気を想像しながら「こんな症状がないですか?」と引き出してあげるようにしています。「患者さんを大事にしなくてはいけない」と、開業医になったことでさらにそんな気持ちが高まりました。
【知子副院長】一番はとにかく話をよく聞くことです。大きな病院では医師が忙しいので問診に多くの時間を割けない場合もありますから、開業医としてできることを考えています。家族や生活などの背景なども含め、全部聞いてから「そうですね、ではこうしてみましょうか」と提案することが多いですね。
看護師や介護サービス事業所と連携し高齢者をサポート
在宅療養支援診療所にも登録し、訪問診療も行っているのですね。

【知子副院長】私たちがここで開業した頃、40代、50代だった方もだんだんお年を召されて、いろいろな病気が出てきたり、足腰が動かなくなって通院ができなくなったりしますので、患者さんから訪問診療のご依頼があれば対応させていただいています。ただ、訪問診療を専門としているわけではないので、院長と2人で担当する曜日を振り分けて、昼の休憩時間や土曜日を中心に患者さんのご自宅に伺っています。在宅療養については、訪問看護ステーションやケアマネジャーなど介護分野とも密に連携を取りながら、その方がより良く過ごせるようにサポートしています。
日々の診療の中で印象に残るエピソードはございますか?
【知子副院長】エピソードではないですが、患者さんから「先生の顔を見るとホッとする」と、お聞きすることがあります。開業して30年近くたちますので、本当に長いお付き合いの方も多くて、そう言っていただけることが本当にうれしいです。合わせて当院では、専門分野の異なる2人の医師が対応していますので、「朝日クリニックに行ったらどちらかの先生が何とかしてくれるから行ってらっしゃい」と言われて来院される方もいるようです。患者さん同士やご近所の集まりで、そういった会話があるなら、「少しは地域に貢献できているのかな」とこちらもホッとしますね。
今後どのようなクリニックをめざしていきたいですか?

【憲治院長】地域のホームドクターとして、これからも何でも広く診せていただくことでしょうか。そして、地域の皆さんにとって「困った時には来るところ」でありたいです。
【知子副院長】最近は、専門性を強く打ち出し開業されるクリニックも増えてきたと思います。ただ、当院はそういったクリニックではなく、幅広く診療し、どんな病気の方がおみえになっても初期治療をしっかりと行うことに努めたいと思っています。そして、当院では手に負えない疾患の場合は適切な医療機関へとつなげていく、そういう役割を今後も担っていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃内視鏡検査/1万2000円~