産前産後のうつや更年期の不調など
女性のメンタルヘルスについて
藤が丘メンタルクリニック
(名古屋市名東区/藤が丘駅)
最終更新日:2025/04/16


- 保険診療
産前・産後のうつ症状、更年期の不調など、女性の心身の変化に伴うメンタル不調について一般的にも知られるようになってきた。体の不調は婦人科の領域だが、精神科でもメンタル面のサポートが受けられる。2025年5月に「藤が丘メンタルクリニック」に改称する同院。新院長に就任予定の青木玲先生は、大学病院で産婦人科と連携し女性患者の診察にあたった経験を持つ。同院でも今後そうした女性患者を受け入れる方針で「どんなことでも相談してください」とほほ笑む。また現在大学病院産婦人科で勤務し、理事として新院長を支える青木羽衣先生と密にコミュニケーションを取りながら診療にあたる。玲先生は1児の父で、患者と子育ての話をすることも。「体も心もつらいとき、婦人科だけでなく精神科の受診も選択肢の一つとしていただければ」と話す。
(取材日2025年3月27日)
目次
体の不調で婦人科に通いつつも、心がつらいときは精神科でのメンタルケアも選択肢の一つに
- Q女性のメンタルの不調としてどのようなものがありますか?
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A
▲玲先生は産婦人科医と相談しながら女性のメンタルケアに取り組む
月経が始まる前に不快な症状が起こる月経前症候群(PMS)や、40~50代にかけての更年期障害が挙げられます。大学病院にいた頃は、産婦人科からの紹介で、いわゆる産前・産後うつの患者さんも多く診てきました。こうしたメンタル不調では、気分の落ち込みやイライラのほか、身体的にも不眠、食欲不振などさまざまなつらさが伴います。特に産前産後は初めての妊娠や育児に対する不安、また睡眠不足で不調が出やすく、自然に良くなる場合も多いのですが、長引くとうつ病になることもあります。女性の患者さんの場合、産婦人科と連携して治療にあたることもあります。
- Qなぜ女性ならではの不調は起きやすいのでしょうか?
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A
▲女性ならではのメンタルの不調にも寄り添う
うつ病はじめ精神疾患の患者さんは比較的女性のほうが多いと思います。一つは、女性ホルモンの影響が大きいといえるでしょう。月経周期や、思春期から妊娠、出産、更年期、老年期に至るホルモンバランスの変動が体調や精神に大きく影響することが考えられます。もう一つは、女性ならではの環境の変化が大きいと思います。結婚して環境が変わり人間関係が変わることもあり、人によっては家に引きこもりがちになることも。また妊娠、出産は身体的にも精神的にも大きなライフイベントです。育児や介護はいまだ女性が担うことが多いですね。それらのことがさまざまなかたちで女性の心や体に影響するのではないでしょうか。
- Qどのような治療となりますか?
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A
▲婦人科的な原因でメンタル不調につながることもあるそう
産婦人科からの紹介の場合は、体の病気がすでに除外されているか、もしくはホルモン治療などが行われていることがありますので、精神科では心のお悩みに向き合います。症状や体質に応じて漢方薬をお出しすることもあります。産婦人科の紹介ではなく先に精神科を受診された場合は、血液検査により内科の病気がないかを調べます。病気があれば産婦人科や内科と協力して治療を進めることになります。症状によっては心理士によるカウンセリングを行うことが有益です。
- Q診療の際、気をつけておられることはありますか?
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A
▲相談しやすい雰囲気づくりに取り組んでいる
私が男性のため話しにくいこともあるかもしれませんので、話しやすい雰囲気作りと診療に必要なことを中心にお聞きするよう配慮し、診療に必要なことも言葉を選んでお聞きするようにしています。中には、思いがあふれて涙する方や、自分は来たくないのに家族に言われて渋々受診したという方など患者さんの事情や背景はさまざま。男女限らずですが、診察室で初めてお会いする時は患者さんの表情にも気をつけています。場合によっては子育て中の方とは子どもの話をすることもありますね。患者さんの状態に合わせた適切なコミュニケーションを心がけています。
- Q予防のため日常生活で取り入れると良い習慣はありますか?
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A
▲さまざまな視点からの、適切なアドバイスが受けられる
どんな病気の予防でも大事なことですが、適度な運動をする、きちんとした睡眠リズムをつくる、といったことは習慣に取り入れていただきたいですね。また、人と話してストレスを吐き出すことが大事ですので、そうした友人や家族がいることが望ましいと思います。また、女性は月経周期を把握しておくと、ご自身の体調の変化や心身の不調の傾向がつかみやすいかもしれません。「こういう時はこうなりやすい」とご自身で知っておくと、少しでも心が落ち着くことにつながると思います。