「仕事に行きたくない」は病気のサイン?
働く人のメンタル不調
藤が丘メンタルクリニック
(名古屋市名東区/藤が丘駅)
最終更新日:2025/04/15


- 保険診療
現代社会において、「仕事でストレスを感じて眠れない」「職場の人間関係に悩んでいる」といった経験は誰にもあるのではないだろうか。ただ、それが継続したり体の不調に現れたりなど日常生活に支障を来すようであれば精神科を受診することが望ましい。2025年5月に「藤ヶ丘メンタルクリニック」から改称して「藤が丘メンタルクリニック」となる同院。その新院長に就任予定の青木玲先生は、「仕事に行く時になると腹痛やめまい、嘔吐が起こる、どうしても行けなくて急に休む、といった場合は早急に受診を」と呼びかける。体の病気と同じく心の病気も早期治療が重要だと話し、これまで働き世代を中心に数多くの人の相談に乗ってきた青木先生に、働く人のメンタルケアや治療について聞いた。
(取材日2025年3月27日)
目次
業務過多や人間関係の悩みは早めに受診を。発達障害が隠れている場合もあり環境改善の必要も
- Q働く人のメンタルの不調にはどのようなものがありますか?
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A
▲仕事をする中で悩みを抱える患者に寄り添うクリニック
主訴として多いのはまず不眠のお悩みです。ほかに、意欲が湧かない、やる気が出ない、食欲がない、などと訴える患者さんが目立ちます。イライラしやすい、怒りっぽい、不安が大きいなどの症状もあります。中には「仕事に行くとなると腹痛、めまいがする」「会社に近づくと吐き気がする」といった訴えも。そうした状態が続くと次第に症状が重くなるリスクがあり、もし休職することになった場合、休職期間が長引き、その結果、復職しにくくなることも考えられます。ぜひ早めに受診していただきたいと思います。
- Qどのタイミングで受診したら良いのでしょうか?
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A
▲迷ったら早期に受診をすることが解決への近道になり得る
働き世代は多忙で受診を先送りにしがちです。また「様子を見よう」と我慢してしまう方もおられます。私がこれまで働き世代の方への診療で患者さんにお伝えしてきたのは「夜眠れないために昼間、仕事に集中できないと感じたら受診してください」ということです。ほかにも、昼食を食べる気力がなくて昼寝をする、仕事だけでなく趣味活動もする気が起きない、といった場合も受診のタイミングでしょう。「仕事に行きたくない気持ちが強すぎて体が動かない」「突発的に休んでしまった」というときは、たとえ1日だけでも、そのような症状があれば、受診していただきたいです。
- Q働き世代に多いのはどのような病気でしょうか?
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A
▲院長は多くの働き世代のメンタル不調に寄り添ってきた経験がある
発症のきっかけはさまざまですが、適応障害あるいはうつ病です。不眠や食欲不振、無気力などさまざまな症状が重なっている方が多いです。中には発達障害が隠れていて、「優先順位がつけられない」「マルチタスクが苦手」といった特性ゆえに考えがまとまらなくなり、うつの症状が出るケースもあります。発達障害といっても、注意欠如多動症(ADHD)のようにすぐに他のことに目がいってしまい集中して物事を考えられなかったり、自閉スペクトラム症(ASD)のようにコミュニケーションが苦手で人間関係がうまくいかなかったり、こだわりすぎて仕事が終わらずご自身を追い詰めてしまうなど原因、症状を慎重に鑑別して診断する必要があります。
- Qどのような治療を受けることになるのでしょうか?
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A
▲静かで落ち着いた雰囲気で丁寧なカウンセリングが受けられる
食事や睡眠などの生活改善指導や、職場環境改善のアドバイス、場合によっては心理検査で発達障害の可能性を検討して生活しやすい環境を一緒にめざすなど、さまざまです。考えがまとまらない時や、誰にも話せないつらい思いを抱えている時など、心理士によるカウンセリングを行い、認知行動療法を行うこともあります。また、お薬を使った治療では抗うつ薬だけでなく、漢方薬による治療も行っています。漢方薬は血の巡りを良くするよう図るなど体質の改善が期待でき、他の薬と併用することもあります。うつ病の診断基準を満たしても、すべての方に同じ治療法を行うわけではなく、お一人お一人の症状や性格に合わせて治療を進めます。
- Q日常できるメンタルケアはありますか?
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A
▲改善に向けたさまざまな親身なアドバイスがもらえる
ストレスは誰でもたまるものですが、大事なのはそれを吐き出すこと。同僚、友人、家族など相談できる相手を見つけていただければと思います。もう一つ大事なのは運動ですね。体を動かすことはストレスの発散につながります。症状に改善の兆しが見えてきたら、1日30分でもいいので散歩をすると良いでしょう。そして、勤務先にもし産業医がいれば早めに相談することをお勧めします。産業医は企業と社員さんの健康をつなぐ役割を担っています。ご自身が言いにくい場合でも、産業医が間に入って困り事を伝えたり提案してくれたりなど、職場環境や業務の改善が図れると思います。