杉野 太郎 院長の独自取材記事
まじま眼科
(名古屋市名東区/藤が丘駅)
最終更新日:2023/06/22
藤が丘駅から徒歩2分という便利な立地にある「まじま眼科」。院長を務める杉野太郎先生は、落ち着いた穏やかな語り口で患者に安心感を与えてくれる。実家は尾張旭で76年の歴史がある眼科医院。そこで育った杉野院長は「眼科の医師になることは自然な流れでした」と言う。患者の立場を考えた診療を心がけ、近隣の医療施設とも連携を取り、安心して治療を受けられるようにしている。子どもの近視や遠視について相談される機会も多く、近年はオルソケラトロジーというナイトコンタクトレンズを用いた治療も行う。また、周辺の学校では校医として目の健康について検査や指導を行うなど、地域に寄り添った活動も行っている。「当たり前のことを普通に行う、普通の眼科なんですよ」と笑う杉野院長に、治療方針や眼科の医師としての思いなどを聞いた。
(取材日2016年3月9日/情報更新日2023年6月15日)
藤が丘で約25年、地域に密着した医療を
この場所で開院されたきっかけをお聞かせください。
私の祖父が1947年に尾張旭市で「馬嶋眼科医院」を開業し、その後、私の母が院長となりました。ですから実家が眼科医院なんです。今では母は引退して、私のいとこが院長、私の妹が副院長を務めています。私は藤田保健衛生大学卒業後、同大学病院で眼科助手として臨床・研究に携わった後、縁あってこの藤が丘の地に開業することになりました。私が来る前には他の先生が開業していたのですがコンタクトレンズ処方が多く、一般眼科を含めた診療としては私が開業してからのほうが長いですね。大学病院時代からずっと通ってくださっている方も含め年配の方も最近は多くいらっしゃいますが、藤が丘は転勤族の方も多く働く世代の方が多いため、小中学生くらいのお子さんも多いですね。患者さんの年齢層は幅広いと思います。
子どもの頃から眼科の医師になろうと考えていたのですか?
生まれてみたら祖父と母が眼科医師、親戚も眼科医師が多いという環境でしたからね(笑)。母方は医師が多い家系でした。私個人としては幼い頃から医師になるよう「母に上手に言いくるめられた」と思っているのですが(笑)、こんなことを言ったら怒られるかもしれませんね。けれど、子どもの頃から眼科で診療をしている母を見て育ったこと、あとは親戚にも医師が多かったのでいろいろな話を聞くことができたこと、そういったことが重なって、子どもの頃から「自分は眼科の医師になるんだろうな」と思っていました。私にとって自然な流れだったのかもしれませんね。
眼科の世界では知る人ぞ知る家系とお聞きしました。
その昔「馬島流眼科」というのがあったそうです。14世紀中頃のまだ目を診ること自体が発達していない時代に、初代の馬島清眼という僧侶がお寺兼眼科医院を開き、白内障やさまざまな眼病の治療を行っていたと聞いています。そのお寺が今も海部郡大治町にある「明眼院(みょうげんいん)」で、眼科発祥の地とされているんですよ。その後も馬島流眼科は代々継承されていき、結果、私の親戚には眼科の医師が多いというわけです。私は分家の端くれですから、少しは馬島の血が流れているのかもしれませんが、私自身にはまったく気負いはないですね(笑)。ただ、眼科治療では歴史がありますし、いつの時代も地域に根差した、患者さんの立場に立った治療を行ってきたのだと思います。患者さんに寄り添うことのできる温かい眼科医院でありたいという思いは、もちろん私にもありますよ。
小児の近視・遠視や大人の眼疾患まで幅広い症状に対応
どういった症状の方が多く来られますか?
土日も診療していますので、平日お仕事のある方やお子さん連れの方が多くいらっしゃいますね。場所柄さまざまな目の病気の方がいらっしゃいますが、お子さんの近視や遠視に関する相談も多いです。最近のお子さんは小さい頃からゲームやスマートフォンをよく使うので、遠くを見る機会が少なくなってしまい、早いうちから近視になってしまいます。最近では遠視のお子さんの受診も多いですね。遠視は学校の視力検査だと良好なことも多いので見逃されがちなのですが、頭痛がするといって小児科で診ても原因がわからず、医療機関を受診して初めて強い遠視が原因とわかるケースもあります。強い遠視は放置しておくと弱視になってしまう場合もあるので、早期発見が大切です。当院では視力検査や屈折検査などを行い、その結果と十分にお話を聞いた上で、治療方針を考えていきます。お子さんに「目が見えにくい」という症状があったら、早めに検査に来てください。
大人の方の眼鏡処方で注意すべき点はありますか?
老眼の症状が出始める世代の眼鏡選びは大切です。コンタクトレンズを使っている方は、レンズを装着したまま使えるように老眼鏡を調整したり、遠近両用コンタクトレンズの処方なども行います。「最近近くが見えづらいな」と思っても、まだ老眼じゃないだろうと思い込んで無理をしていると眼精疲労の原因にもなります。疲れ目というのは毎日の蓄積なので、ピントが合わないままでいると、どんどん目は疲れてしまい、それが頭痛などを引き起こすことがあります。老眼になると、眼鏡をどう使ったらいいのかと迷うこともあると思いますが、正しい使い分けの説明やライフスタイルに応じた眼鏡処方も行いますので、安心して相談していただければと思います。
最近気になる疾患などはありますか?
会社の健診などで緑内障や加齢黄斑変性症の疑いなどを指摘されていらっしゃる方も多いですね。どちらも進行すると元には戻らず、日常生活にも支障が出る病気なので、早めの受診をお勧めします。また、糖尿病や高血圧などの内科疾患が気づかないうちに目にも影響を及ぼす場合があります。これらの疾患がある方は、年に数回は眼底検査を受けることをお勧めします。いずれの場合も、早期に発見できれば症状を抑えられる可能性も高まりますので、自覚症状が出る前に受診するようにしてください。
「当たり前のことを当たり前に」の気持ちで
診療にあたって大切にしていることは?
患者さんが病気について、きちんとわかるように説明することは常に心がけています。お子さんの視力低下の症状は、保護者の方にもきちんと理解しておいてほしいので、細かく説明しますね。「視力が悪いから眼鏡を作れば終わり」ではなく、何が原因で視力が下がっているのか、今後どのようなことに気をつけたらよいのかなど時間を割いて説明して理解していただくことが大切だと思っています。当院は小さな町医者なので、あらゆる治療ができるわけではありません。自分のところで診られるもの、高度な検査や治療が必要で大学病院などへの紹介を要するものを、きちんと交通整理することも町医者の大切な役目だと思っています。ですから、私は自分ができることをできる範囲できちんと行う。そして他の医療施設との連携も取って患者さんに安心していただく。そんな「当たり前のことを当たり前に誠実に行う」という姿勢を大切にしています。
お休みの日は何をして過ごされていますか?
土日も診療しているのでまとまった休みというのがなかなか取れないため、休めるときにしっかり休む。良い診療を行うためにもこれが基本ですね。あと、朝は犬の散歩に行くのですが、途中で患者さんに会うこともよくあって(笑)。コンビニに寄っても「いらっしゃいませ」じゃなくて「先生おはようございます」と言われて見たら、店員さんがうちの患者さんだったり。声をかけられてうれしいような恥ずかしいような感じです。でもこういうことが多くなると、やっと自分も「地元の目医者さん」になれたのかなと思いますね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
コロナ禍を経て、近年子どもの近視化がより低年齢化しているように思います。小さい頃からの目の使い方の習慣も影響します。保護者の方には自分のお子さんたちの目の状態に対して、正しい知識を持って対応してほしいと思い、詳しくお話をしています。またパソコン・スマホ全盛の現代、大人は疲れ目の方が非常に増えています。見えてはいても度が合っていない眼鏡やコンタクトレンズを使っていると、目には多大なストレスがかかります。見たい距離に度数がきちんと合っていると疲れ目は格段に楽になります。疲れ目くらいで眼科に行っていいの?と思わずに検査を受けましょう。40代から50代前半の方の中には近くが見えにくくなっても「まだ老眼じゃない」と頑張ってしまう方も多いのですが、無理をすると眼精疲労が日常化してしまいます。何か目が変だなと思ったら早めに受診していただきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/初期費用両眼11万5000円~、月額利用料(検査・診察料含む)/5500円