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中川 俊廣 院長の独自取材記事

中川胃腸科外科

(名古屋市港区/名古屋競馬場前駅)

最終更新日:2020/04/01

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名古屋市港区の西の端、海抜ゼロメートル地帯が広がる南陽地区。1982年、地元の要請に応え17床の有床診療所として開設された「中川胃腸科外科」は、開業以来地域医療に貢献してきた。中川俊廣院長は、専門の消化器外科に加えて、内科・一般外科も含めた総合診療を受け持ち、その責務を35年にわたって果たしてきた。パリッと糊の効いた白衣に身を包み、古き良きかかりつけ医の使命感を感じさせ、70歳を超えていまなお現役。0歳児から100歳を超える高齢者まで、3代、4代続く家族のかかりつけ医として地域の人々の健康を見守る中川先生に話を聞いた。
(取材日2017年5月24日)

地域のニーズに応え、ともに歩んできた35年

この診療所を開いた経緯を教えてください。

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三重県立大学(現・三重大学)の医局に籍を置き、四日市や津の病院の外科に勤務していた1980年代の初め、そろそろ独り立ちしようと考えていた私は、この港区の南陽地区に診療所が欲しいという地元のニーズを受けて、開業を決めました。何もない田んぼのど真ん中でした。入院設備も必要だということで最初は17床のベッドもあり、外科手術も行っていました。現在は無床診療所となり、ベッドは内視鏡検査などの患者さんが使用しています。「どんな患者さんも診察する」がモットーの総合診療所として、0歳から104歳まで多くの患者さんたちを診てきました。開院を待ち望まれる方が多くいたようで、1日に360人もの患者さんたちが来院したこともありました。近隣にだいぶ医療機関は増えましたが、昨年でも1日平均120人の患者さんたちが来院されています。また、かかりつけの患者さんを往診することも時々あります。

もとは消化器外科のご専門ですね。

はい。それもあって胃・大腸の内視鏡検査・処置は得意としていまして、がん検診などに積極的に取り組んできました。胃カメラでは年間250〜400例ほど施行しており、経鼻用も口腔用もやっています。私は父と伯父を胃がんで亡くしたこともあり、特に胃がんの原因に深い関わりがあるといわれるピロリ菌の治療には早くから力を入れてきました。近年ようやく保険適用となり標準的な治療方法が定まりましたが、当初は、自分自身の経験に基づき、それぞれの患者さんに合わせた治療を行うことにやりがいを感じていましたね。大腸カメラについては、毎週木曜日の午後に検査枠を設けており、これまでに500例以上施行しています。2cmまでのポリープが見つかった場合には検査時に切除も行います。

大腸カメラの検査というのは患者さんにも負担がかかり、大変ではないですか?

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前日からの食事制限や下剤の服用など確かに大変ですね。同時に、医師の側も非常に緊張する難しい検査なんですよ。一般的に重大事故も多い。当院でも一度だけ、体調に大きな変化が出てしまった患者がいました。検査を終え、後日わかったのですが、その方はステロイドを服用していたために、検査時の麻酔薬が合わなかったようです。経緯をきちんと説明してご理解いただき、今もご家族で通われています。こうした事故が起こらないよう、当院ではベテラン看護師を3人付け、心モニターやAEDなど心肺蘇生用の設備も用意した上で、検査に臨んでいます。もちろん、既往症や薬歴などにも従来以上の注意を払うようになりました。また超音波検査は、博士論文のときからの専門分野で、診察室ですぐに行えるようにしています。腹痛(急性腹症)の際に、内科・外科療法のどちらが適切か判断する際に役立てています。

憧れの船医となりアフリカへ。3ヵ月の船旅で得たもの

先生はなぜ医師になられたのですか?

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中学の頃は獣医師になりたかったのです。学校に迷い込んだミミズクをクラスの仲間と飼っていたのですが、2週間ほどで死んでしまい、「動物を助ける獣医師になろう!」と。それが高校入学後、動物だけでなく人も助けられる医師をめざすようになりました。当時私は、日本の作家が書いたある旅行記に夢中になりましてね。旅行記の主人公のように、医師になったら一度は船医として船に乗りたいと考えていました。それが叶ったのが医局時代の1972年。貨客船に乗り、西アフリカへ3ヵ月の旅に出ました。航海中は発熱や腹痛の患者が数人出た程度、現地ではマラリア予防に努めるくらいで、医師としての重大な出番はありませんでしたが、途中、嵐や火災、衝突で3度も遭難しかけました。いずれも船長の適切な判断と、クルーたちの迅速な働きで沈没の危機を乗り越えることができ、病院・診療所を含め組織におけるトップの判断は重要だと、強く認識した経験でした。

そうした経緯もあって、公衆衛生に力を入れているのですね。

そうですね。小児医療の重要性も強く認識しており、予防接種には力を入れています。港区は名古屋市内16区のうち、予防注射の接種率が10年間最低なので、当院では同時多種接種を勧め、すべての子どもたちが、避けられる病気にかからなくて済むよう、準備・啓発を行っています。また、名古屋市の健診は、胃カメラ・大腸カメラのほか、肺がん検診や前立腺がん検診なども含め、ほとんど受けていただくことができます。

初期研修医を受け入れておられますね。

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はい。当院が連携している中部ろうさい病院や名古屋掖済会病院から研修医を受け入れています。これは2年間の初期研修のうちの「地域医療研修」の一環で、1人あたり1~2週間当院へ来て一緒に外来診療を行います。新しい知識を持つ研修医を教えることは、私にとっても教えられることが多くたいへん勉強になります。設備の発達した病院から来る若い先生たちは、当院のようなアナログ診療所に驚きますが、病院では出会わないような患者さんたちとのふれあいの中に、学ぶことも多いようです。

これからも、地域の健康のために

先生の診療のモットーを教えてください。

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「医は医なり 三原則」というものを定めています。1つ目は、患者さんに真心を持って接するという「医は意なり」、2つ目は、医療スタッフは、医学知識・技術を常に向上すべく努力することを謳った「医は医なり」、そして3つ目は「医は衣なり」。これは清潔、清楚な服装で患者さんに接するということ。この三原則を常に心がけています。これを診察室に掲げ、手帳にして職員全員にも持ってもらっています。

今後、力を入れていきたいことはどんなことですか?

「セカンドオピニオン」を専門とした外来を始めています。かかりつけの患者さんが対象ですが、病院で手術を勧められたが迷っている、といった相談に乗っています。患者さんは専門的なことを聞いてもわかりませんから、世の中の動向や、ほかにどんな選択肢があるのかなどをお話しします。また個々の患者さんの事情によってもベストな選択は異なります。貧困や精神的な問題を抱えている場合もあるし、家族がいない人もいる。そこを聞いて一緒に考えるのです。20年30年付き合っている患者さんだと、聞かなくても知っていることは多いですよ。あと最近は「健康」になるための情報にも皆さんとても敏感になっています。いろいろな健康法や健康食品がテレビで放映されると、飛びついてしまいがちですし、お金もたくさん使ってしまう。そんな中、私たちは常識的なことや、学会等できちんと検証が行われた情報を、皆さんにお伝えしたいと思っています。

現在73歳ということですが、健康維持の秘訣を教えていただけますか?

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私自身が健康でいるために気を付けているのは、やはり「DESC(デスク)」ですね。これは、Diet(食事は腹6分目程度)、Exercise(運動、ロコモティブ症候群を予防する体操を勧めています)、Sleep(睡眠は6~7時間)、Communication(相互の意思疎通)が、認知症の予防や高齢者のQOL改善に役立つと、私が提唱したものです。区役所などで一般向けに講演したりしまして、私自身も心がけているんですよ。私にとって地域の患者さんたちとのふれあいは最上の「C」ですね。何よりこの医院には長く働いてくれているベテランの職員がたくさんいますから、私もできるだけ長く現役で頑張りたいと思っているんです。

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