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森 和彦 院長の独自取材記事

八王子整形外科

(名古屋市中川区/高畑駅)

最終更新日:2021/10/12

森和彦院長 八王子整形外科 main

高畑駅2番出口から大通り沿いを歩くこと10分、バス停「八王子町」前にある「八王子整形外科」。院長の森和彦先生は、勤務医の経験、大学の医局での研究、さらに脊髄に関する専門的な知識と技術のトレーニングなど、豊かな経験を持つベテラン医師だ。1995年に開業。「できるだけ患者のニーズに応えること」「正しい情報で患者が最良の選択ができるよう導くこと」を第一に考えて診療にあたっているという。同院では職員の定着率も非常に高く、患者との距離も近い印象だ。患者と職員のニーズに応えて、すぐ近くに「八王子デイサービス」も運営している。森先生に、子どものスポーツと障害、診察する上で心がけていることなど詳しく聞いた。

(取材日2016年5月12日)

経験豊富な脊髄のスペシャリスト

この場所で開業するまでの経緯を教えてください。

森和彦院長 八王子整形外科1

40歳くらいのとき、勤務医としてこのまま行くか変化を求めるか悩みました。そして、開業というのも一つの方法だと思ったんです。不動産屋に行くと、その不動産屋が「そろそろ引退したいから、ここを売ってもいいよ」と言うじゃないですか。東京に長くいたので、地名も東京の八王子とだぶって、「これも何かの縁かな」と思ったというのもあり、この場所での開業を決意しました。僕は関西の出身ですが、灘中学校・灘高校に進んだあと、東京で一人暮らしをしたかったので慶應義塾大学の医学部に入りました。当時、灘高は同級生の半分以上が東大か医学部へ行くような学校でしたが、大学でまた同じ仲間と4年間というよりは、新しい環境でチャレンジしたかったし、人を相手にする仕事がしたいと思い、医学部を選びました。

経歴をお伺いします。

大学を卒業後、最初に勤務したのは、新宿歌舞伎町にある都立大久保病院です。それから浜松や富山で勤務した後、自分の研究と臨床をするため大学に戻りました。その後、東京の立川にある、特に脊髄損傷の分野に関する研究で知られる村山医療センターで専門的なトレーニングを受けました。そこは、まだ脊髄の専門医師が少なかった当時、脊髄の専門医師だけで15人もいるような「脊髄のセンター」ともいうべき病院でした。ここでの経験が一番勉強になったと思います。その後、さらに勤務医として働き、1995年に当クリニックを開業しました。

開業医の立場で、一番大切だと思うことは何でしょうか?

森和彦院長 八王子整形外科2

基本的に整形外科の患者さんは皆、どこかが痛いんです。まず患者さんの痛みの原因を特定して、できるだけ短期にその痛みをとってあげること。とれない場合には、その理由を説明する。その場で整復して直るなら、すぐに行う。また、手術した方がいいものは、そちらの方向に誘導する。それが私たちの仕事です。その振り分けをきちんとできることが、開業医として一番大切なことではないでしょうか。また、今の時代はリスクの話をしなくてはいけないと決められています。でも、リスクを重く見過ぎるあまり、良くなるチャンスを逃している患者さんが多いのも事実です。そこを、できるだけいい選択ができるようにしてあげるのも、大事なことだと思います。

患者の背景を知ると、治らない理由が見えてくる

大学では、どのような研究をされたのでしょうか?

森和彦院長 八王子整形外科3

大学では「脊髄の電気診断」という研究をしました。脊髄の機能と術中のモニタリングといって、神経が、ある程度電気的に病変のある部位を示すことができる、それを利用して診断ができないかという研究です。画像ではわからない病変を電気的に識別したり、患者さんの身体機能が落ちていないことを電気的に担保しながら手術を進めることが目的の研究です。画像と電気診断ではまったく違う結果が出る場合がありますが、そのとき画像だけを優先してしまうと、「顔つきだけ見て犯人だと決める」、というような状況になってしまいかねません。見た目はOKだが中身は大丈夫なのか? そんな本質を見るための一つの診断方法が、電気診断というやり方なのです。

子どものスポーツと障害をどのようにお考えでしょうか?

ちょうど開業した頃、自分の子がリトルリーグ(少年野球)をやっていた関係で、4年間ほどリトルリーグの仕事に携わっていました。そのとき、少年野球の指導者が意外とスポーツの障害に無知だったり、親が子どもに過剰に期待するあまり、子どもが無理をして障害を起こしているケースを目の当たりにしました。基本的に少し休めば治るはずのに、なかなか治らない子どもがいるのです。そういう子どもたちをよく観察してみると、「休んでいます」と言いながら、ボールは投げないかわりに腕立て伏せや筋トレ、素振りをしている。また、指導者が試合に勝つために上手な子を多用したり、中2や中3になって高校進学のため、推薦や特待を受けたいからと無理をしている子どもも多いことがわかってきました。障害が起きた背景を知ることが、とても重要ですね。

診察の際、特に心がけていらっしゃることはありますか?

森和彦院長 八王子整形外科4

リトルリーグの話に続くのですが、疾患そのものを診るのは当然のこととして、患者さんの置かれた状況、背景をよく見るように注意しています。なかなか治らない場合、何か治らない理由があるはずだということです。特に子どもの場合、親御さんの様子、頑張り過ぎていないかなど、よく見るようにしています。「休め」と言われても休めない性格や環境もあります。野球の特待生で高校に入った子どもなんかだと、自分が野球で入ったとわかっていますから、休むと立場が無くなると思って、肘が痛くても休めないんですね。ですから、患者さんに関する情報をできるだけ収集して、患者さんを多面的に診ることを心がけています。

患者、職員のニーズに可能な限り応えていく

うれしかったエピソードをお聞かせください。

森和彦院長 八王子整形外科5

約35年も前の話ですが、指の先が半分欠損してしまったお子さんが来まして、当時の医学では、ほとんど切断するしかないという症例でした。僕は、たまたま大学の抄読会で「アルミホイル療法」という文献を紹介したばかりだったんです。欠損部に薬を塗り、アルミホイルで覆う治療法で、傷の再生を促していきます。現在でいう湿潤療法のようなものなんですが。上の先生に「試してみたい」とお願いして、やってみました。治療が終わった後、不思議なことが起きたんです。当時、富山にいたので雪がたくさん降ったんですが、僕の車の上だけは雪が積もらないんです……。最初はちょっと気味が悪かったんですが、実は、そのお子さんは僕のアパートのご近所だったみたいで、なんと、ご家族が僕の車だと知って雪かきをしてくれていたんですよ! 

デイサービスも経営されていますね?

現在、当院にはパートも含めて7名の看護師がいますが、希望する働き方は、フルに働きたい人、短時間がいい人と色々です。また、患者さんも高齢化の時代なので、「先生のところに行きたいけど、送迎がないと行けない」という方もいらっしゃいます。そんな職員と患者さんのニーズに応える形で、隣にデイサービスを作りました。デイサービスができてからもう13年たちますが、ケアマネージャーの資格をとった職員も5人くらいいます。患者さんにも「顔見知りの看護師さんがいるので安心だ」と好評なんですよ。小さな医院ですが、職員の産休や育休も可能なように頑張っているせいか、長く勤めてくれる職員が多くて助かっています。

読者にメッセージをお願いいたします。

森和彦院長 八王子整形外科6

現代は、情報が豊富になり過ぎて、正しい情報を選び取るのが難しい時代です。また、自分が病気になると、見えなくなってしまうものも少なくありません。実話ですが「麻酔科の教授が肛門から出血して、大腸がんでもうダメだと悲観していたが、実はただの痔だった」というのがあります(笑)。人は自分が患者の立場になると、冷静ではいられません。誤った情報で突っ走ってしまったり、本来王道である治療を避けてしまったりすることがあるんですね。自己流の考えで結果的に悪くなったり、悲惨な目に遭わないよう、専門の医師の話をきちんと聞いて欲しいと思います。納得できるまで、セカンドオピニオン、サードオピニオンと、どんどん聞くことをお勧めします。

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