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久米 明人 院長の独自取材記事

久米クリニック

(名古屋市瑞穂区/瑞穂運動場東駅)

最終更新日:2019/08/28

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瑞穂運動場東駅から徒歩約7分。開業から50年あまりの歴史ある医院「久米クリニック」。院長は神経内科専門医の久米明人先生。内科・小児科医の父から代替わりし、ちょうど12年になる。アメリカでの勤務が長かった先生は、自身のクリニックでもその時の経験を生かした診療を展開。中でも特筆すべきは、ミネソタのメイヨー・クリニックをベースに仕上げた内装だ。部屋の間取りから椅子の配置まで、細部にわたって計算された設計には感嘆せざるを得ない。この他、個人医院としては珍しい新薬治験や専門外の診療も実践。すべては“医療を通して人の役に立ちたい”という熱意の表れだろう。そんな先生の熱い思いを感じるインタビューとなった。
(取材日2016年4月6日)

アメリカの病院を参考にした3段階内装

病院というより個人宅のような親しみやすい空間ですね。

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アメリカに勤めていた頃訪れた、ミネソタのメイヨー・クリニックを参考にしています。同州のロチェスターという町には大きなビルが建ち並んでいますが、その8割はメイヨー・クリニックというすごい所なんです。外観はホテルのようなゴージャスな造りで受け付けやロビーもセレブ感たっぷりですが、フロアを上がっていくと印象はがらりと変わります。床は暖色系のリノリウムで、診察室は個人宅のようにこぢんまりと落ち着いた空間になっています。外側の豪華さからは考えられないような狭さですが、これは医療を提供する側から見れば、非常に理にかなった造りなんです。外側は入りやすくするために大きく構え、プライベートな話をする空間はリラックスできるよう極力狭くしてあるわけです。当クリニックもそれを参考に、内部に入るほど小さくソフトになっていく3段階内装を心がけました。

モダンな外観ですが、これは開業当時のままなのでしょうか。

塗装を多少やり直した程度で、あとはほとんど変わっていません。患者さんの中には、色を塗り変えたことすら気づかない人もいるくらいです(笑)。建物自体は近所に住んでいた有名な建築家が手がけたものですが、当時としてはかなりモダンな様式だったようです。せっかくなので外観はそのまま残し、内部を診療方針に沿ってリフォームしたんです。最大の特徴は高い天井と、視点が抜ける箇所を作ったこと。人間は視点が抜けると圧迫感がなくなり、ほっとするからです。診察室の椅子はご家族とともに問診できるよう、長椅子を置きました。いずれも患者さんの心理的要素を十分考慮した上での設計です。

壁にもさまざまな証書が飾られていますね。

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これは患者さんというより、どちらかと言えばスタッフのためのものです。例えばこちらは、新薬の治験を行う上で何の問題もなかったことを証明する査察証ですが、この結果は私一人の力ではなく、みんなの協力があって初めて成し得たことだと、それをわかってもらいたくて飾ってあります。日々の診察から治験まで、スタッフが一丸となって取り組んでくれるからこそ成り立っているのだという、私自身の気持ちの表れでもあります。

新薬の治験を毎週クリニック内で実施

治験を個人クリニックで行っている所は珍しいのではないでしょうか。

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治験の協力は開業当初からの私の夢でした。欧米と比べて日本では治験の実施がなかなか進まず、新薬の認可がスムーズに下りない状況にあります。しかし、新しい薬を待っている患者さんは世の中に大勢いるんです。一人でも多くの人を救えるのなら、手間も時間も惜しまず提供したいというのが私の考えです。場所も製薬会社のスタッフが気持ち良く実施できるよう、専用の部屋を用意してあります。製薬会社から派遣されるスタッフは大学院卒の豊富な知識と見解を持った人たちなので、丁重に扱うのは当然だと私は思います。言葉は違っても、患者と病気は世界共通です。そのことを常に念頭に置くため、国際共同治験のシンボルであるロゼッタストーンを治験を行う部屋に飾っております。

ご専門である神経内科の症状と治療について、詳しく教えてください。

神経内科では脳と末梢神経、脊髄、筋肉の異常を対象としています。症状は手足のしびれや麻痺、頭痛など。有名なところでパーキンソン病、最近多いのは認知症ですね。治療は投薬が主体ですが、認知症のように現段階で完治する療法がない病気は、病気があっても健康に暮らすことを目標に、生活全般のケアを中心に行っていく方がベターです。その際最も大切なのは、患者さんの尊厳を守ること、失敗をさせないこと。失敗したことで自分を責めてうつ状態に追い込まれるケースも多々あるからです。例えば、認知症を患うとトイレがきちんとできなくなります。このとき失敗しないように周囲が用具を準備したり設備を整えてあげて、きちんとできる体制を作ってあげます。“こうすれば自分はできる”という自信を植え付けるだけでその後の生活は大きく変わります。認知症は薬より、明るく健康な生活ができるよう、まわりがサポートしてあげることが最適な治療法でしょう。

他の症状に関してはいかがでしょうか。

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変性疾患や中枢性疾患といった重いものから軽い症状までさまざまです。頭痛やちょっとしたしびれなど、医者にかかるまでもない一過性の症状で訪れる方も数多くいます。しかし、ご本人からすれば心配でしょうし、医師の診断があれば早目に改善することも可能です。神経内科というと皆さん二の足を踏んでしまうようですが、そこはもっと気軽に考えてもらって結構です。悩んでストレスを抱えてしまうくらいなら、一度相談にいらしてください。

在宅医療で寝たきりの患者にも専門医療を

患者層や主訴症状など、開業当初から今日まで変化はありましたか?

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私が開業した頃は神経内科自体があまり知られておらず、患者さんもメンタル面を期待して来る人の方が多いくらいでした。残念ながら精神科の専門ではありませんので、当初は精神科の友人医師からアドバイスを受けながら診察に当たっていました。さらに、父の代が小児科だったため、子どもの急な発熱に備えて夜中の診療にも対応していたんです。今はこの分野もしっかり浸透し、パーキンソン病や認知症など神経内科本来の症状で受診する患者さんが増えていますから、今後は自身の専門を主軸に診察形態を徐々に変えていきたいと思っています。

神経内科を専門に選んだ理由をお聞かせください。

実は、最初は外科志望だったんです。ところが研修医時代に肺結核に感染しまして、1年間療養を余儀なくされてしまいました。入院と自宅療養を経た後、現場に復帰したのですが、その頃は体が弱っていてとても外科をこなす体力はなかったんです。それで内科を選択することにしたのですが、当時はちょうどMRIなどの新技術がどんどん出始めて、内科の診断はいずれ機械にとって代わられるだろうと囁かれていた時期でした。そうなったら困るぞ、と危惧しましてね。いろいろ考えて、脳なら科学的に未知の部分が多いし複雑なので、機械ではわからない部分も多く、興味が湧いたので神経内科を選ぶことになったんです。

今後の展望について、お話いただけますでしょうか。

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国の医療政策方針に則って、在宅医療に注力していくつもりです。神経疾患はもちろん、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など、難病で寝たきりの人を対象に神経内科医としての見解に基づいた専門医療を提供してまいります。それと、これは神経内科に関係ないことですが、最近新機種のCTを導入したので、当クリニックでもより精度の高い診断が可能となっています。今後はこうした機器を駆使して、がん治療にも貢献していきたいですね。手術は大きな病院でやらざるを得ませんが、化学療法に関しては町のクリニックでも十分対応できる時代がすぐそこまで来ていると思うんです。将来的には他のクリニックや専門医院と連携しながら、そうした部分でも地域の皆さんの役に立ちたい。その目標を達成するためなら、どんな努力も惜しみません。

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