出産時の不安を充実のサポートで解消
感動ある出産の実現をめざす
あさもとクリニック産婦人科
(名古屋市昭和区/桜山駅)
最終更新日:2021/10/12
子どもを授かった女性は、新しい命が誕生するその日を心待ちにする一方で、無事に子どもを産むことができるのだろうか、といった不安に悩むこともあるだろう。とりわけ出産時に襲う陣痛に対して恐怖を感じ、無痛分娩など痛みを軽減できる方法を選択する妊婦も多いという。今回は麻酔科を専門に研鑽を積んだ後、産婦人科の医師として長年にわたり数多くの分娩に立ち会ってきた「あさもとクリニック産婦人科」の朝元健次院長に、出産と切っても切り離せない“痛み”に関連する悩みや疑問に答えてもらうとともに、同院のモットーである「感動ある出産」をめざすための、同院の体制について解説してもらった。
(取材日2018年6月13日)
目次
出産までの10ヵ月間は“産む準備”をするために不可欠な時間。不安を乗り越え、喜びのある出産を迎える
- Q出産の痛みに自分が耐えられるか不安があります。
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A
確かに陣痛は、それまでに経験した痛みを凌駕するものであるといわれています。ただ、そんな痛みが突然襲ってくるのではなく、ある程度段階を踏んで強まっていくので、耐えることのできるお母さんも比較的多いんです。しかし一方で、陣痛によって気を失ってしまったり、パニックに陥ってしまったりする方もいらっしゃいます。そうなると、分娩をサポートする私たちの声も届かなくなり、お母さんの負担が大きくなってしまいますので、無痛分娩など痛みを軽減できる方法を用意しておくことも大切なことと思います。しかしそれ以上に大切なことがあります。それは、妊娠期間中に痛みをはじめとした、出産に関する恐怖を取り除いておくことです。
- Q恐怖を取り除くことで、痛みの感じ方も変わってくるのですか?
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A
痛みは恐怖によって倍増するといわれています。裏を返せば、恐怖を乗り越えられれば、痛みも軽減できるということです。「怖い」と感じることは、決して悪いことではありません。むしろ恐怖を克服するための、学びのきっかけとなります。出産を迎えるまでの10ヵ月間、お母さん自身が出産について学んでいくことで恐怖を乗り越え、覚悟が決まります。「出産は怖いものではない」と。これが一番大切なことなんです。当院の母親教室をはじめとした取り組みも、いわば恐怖を乗り越えるためのアプローチの一つです。一方で、痛みの恐怖がぬぐえないこともあるでしょう。その場合の、恐怖を乗り越える一つの方法に、無痛分娩があると考えています。
- Q無痛分娩とはどういったものなのでしょうか?
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A
無痛分娩とは、麻酔によって陣痛の痛みを軽減させるもので、当院では硬膜外麻酔という方法を用いて、子宮を支配する神経を遮断し、痛みを抑えます。無痛分娩でポイントとなるのが、痛みを軽減させつつも陣痛は弱めない、ということ。基本的に痛みをつかさどる神経と運動をつかさどる神経は別で、無痛分娩では痛みの神経に対してアプローチできるよう、麻酔の濃度や量をコントロールしていきます。陣痛が弱まってしまった場合には、陣痛促進剤を使用することもあります。無痛分娩に限らず、分娩では患者さんの状況によって薬剤の使用を要する場面などもあるため、状況に応じて迅速な対応ができる体制を整えることも重要です。
- Q分娩時における貴院の対応体制の特徴について教えてください。
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A
特筆するのは、経験豊富なスタッフが多いということでしょうか。分娩時にどのようなことが起こり、どんな状態だと危険か、といったことを熟知しているので、私にとってもとても心強い存在です。例えば痛みによって興奮し、血圧が上がっていた患者さんに対して麻酔を行うと、痛みが軽減されて落ち着きを取り戻し、血圧も下がっていくのですが、その際血圧が下がり過ぎ、危険な状態に陥る場合もあるんです。麻酔薬を投与した後に起こった反応が正常なのかどうかの判断は、医師一人で把握しきれるものではありません。時に緊急の判断を要する場面もあるため、現場に慣れたスタッフがいることは、安全な出産を行う上で不可欠だと感じています。
- Q無痛分娩を行うかは、いつ頃までに決めれば良いのでしょうか?
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A
当院では基本的にいつでも大丈夫です。極端な話、お産が始まってから無痛分娩を希望される方もいらっしゃいますよ。陣痛が強く、経過も順調な方であれば問題なく選択していただけるかと思います。ただ、陣痛が弱い場合は、痛みに苦しんでいる状態であっても麻酔の使用は控えたほうがいいということがあります。陣痛が止まってしまうと、それこそ帝王切開を選択しなければいけなくなりますから。また、無痛分娩は痛みが完全になくなるわけではなく、「無痛分娩“だから”痛くない」ということではありません。無痛分娩であっても痛みを乗り越える努力は必要ですし、準備をきちんと行うことで、本当に苦痛の少ない出産を迎えられることとなります。