心疾患やうつ病と症状が似ている
甲状腺疾患の検査法と治療法
糖尿病・甲状腺 やまだ内科
(名古屋市中区/栄駅)
最終更新日:2026/06/15
- 保険診療
首の真ん中、喉仏のすぐ下にある臓器、甲状腺。重さは15~20g、大きさが4~5cmほどで、 チョウが羽を広げたような形で気管に張りついている。日常生活を送る上で、その存在を意識することは少ないが、甲状腺ホルモンを分泌して全身の新陳代謝や体温、心拍などを調節する役割を担っている重要な器官だ。甲状腺疾患は多岐にわたり、漠然とした体調不良として自覚されたり、他のさまざまな病気による症状と似ていることから、診断されにくく、気づかれにくいという特徴がある。そこで、今回は甲状腺疾患を専門とする「糖尿病・甲状腺 やまだ内科」の山田努院長に、甲状腺疾患の特徴や治療法など詳しく話を聞いた。
(取材日2026年6月4日)
目次
継続的な治療で甲状腺ホルモンの正常化をめざし、変わらぬ日常生活を
- Q甲状腺疾患とはどのような病気ですか?
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A
▲甲状腺疾患の病気や症状はさまざま、専門の医師に相談を
甲状腺の働きが異常を来したり、働きは正常でも腫瘍ができたりする疾患です。腫瘍とはしこりや腫れがある状態で、良性の腫瘍と悪性の甲状腺がんに分けられます。甲状腺異常の中でも、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になってしまう病気と、不足してしまう病気があります。過剰になる病気の代表例はバセドウ病で、不足する病気の代表例は橋本病(慢性甲状腺炎)です。甲状腺の腫れに自ら気づくこともありますが多くは自覚症状が乏しく、健康診断の触診で指摘されたり、肺がん検診の一環でCTを撮影した結果、発覚したりする場合もあります。ほかには動脈硬化を診るために頸動脈エコーを実施して、たまたま甲状腺の異常が見つかるケースもあります。
- Qどんな症状がありますか?
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A
▲気になる症状があれば積極的に検査を受けることが大切
甲状腺ホルモンが過剰になれば、代謝が活発になるため動悸や息切れ、手足の震えなどが起こります。食欲は亢進するものの、体重は減少していくという特徴もあります。一方で、甲状腺ホルモンが不足すると代謝が悪くなるため、体がむくんだり体重が増えたり、人によっては脱毛が起こることもあります。ホルモンの過不足どちらの場合も倦怠感があること、女性の中には月経不順になる人もいることが、共通点です。多くの症状は心疾患や更年期障害、うつ病などと似ていることも発見まで時間がかかる要因の一つです。普段と食生活を変えていないのに体重が大きく増減したり、倦怠感がひどい場合、甲状腺疾患の疑いも。積極的に検査を受けてください。
- Q甲状腺疾患にかかりやすいのはどんな人でしょう? 治りますか?
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A
▲症状によって適切な対応が必要、患者に寄り添った診療を行う
男性と比べて女性のほうがかかりやすいといわれています。家族の中に甲状腺疾患の人がいる場合も発症のリスクは高くなります。年齢層では20代から50代くらいで発症する人が多く、ストレスも影響していると考えられています。バセドウ病を発症しても抗体が下がれば薬が不要となる、いわゆる寛解状態になる可能性があります。一方で甲状腺機能低下症の場合、一度甲状腺が壊れてしまうとそれが回復することはほとんど無いため一生にわたり薬の服用を継続していくことになります。症状が安定してきたからと薬の服用を自己判断でやめてしまう人がいますが、悪化すると心不全を起こしたり重症化することも。薬の服用を継続していくことが大切です。
- Q予防や対策、発症した場合の、日常生活での注意点は?
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A
▲甲状腺疾患の専門的な知識を持つ山田努院長
自己免疫疾患のため体質的に避けられない部分はありますが、発症しても薬で甲状腺ホルモンのコントロールが図れていれば、日常生活での大きな制限はありません。ただし海藻類に多く含まれるヨウ素を過剰摂取すると甲状腺ホルモンに影響が出ることもあるため適量を心がけてください。急性期には活発な運動も避けたほうが安心です。バセドウ病では喫煙が再発率を高めたり、眼球突出などの目の症状を悪化されたりすることが報告されているため禁煙も必要です。妊娠する可能性がある女性は特に治療の中断は禁物。甲状腺ホルモンの影響で流産しやすくなったり胎児の発育に影響が出たりする可能性も。妊娠が判明した場合も早めに医師へ相談しましょう。
- Q検査法や治療法について教えてください。
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A
▲検査結果をもとにわかりやすい説明を心がける
自己抗体と甲状腺ホルモンの値を測るため採血をします。甲状腺ホルモンの値が高いと心房細動といった不整脈の可能性もあり、その場合は心電図も使用。超音波検査で腫瘍が見つかった場合は細胞診を行い悪性かどうかの診断、腫瘍が大きい場合はCT撮影を行うことも。バセドウ病の治療では甲状腺ホルモンを抑える薬による治療が基本です。肝機能悪化や皮膚のかゆみ、まれに白血球が下がるなどの副作用が出ることもあり、当院では導入時に2週に1度の通院をお願いしています。副作用等で薬の治療が難しい場合は手術療法やアイソトープ治療を検討することも。甲状腺機能低下症の場合は基本的に甲状腺ホルモン薬の内服を一生続ける必要があります。

