丹羽 敬 院長の独自取材記事
丹羽眼科医院
(名古屋市中村区/中村公園駅)
最終更新日:2024/12/24

名古屋市営地下鉄東山線の中村公園駅から徒歩7分ほどのところに、1973年の開業から50年を超えた眼科医院がある。父子2代にわたって地域に根づいた診療を続ける「丹羽眼科医院」だ。院長の丹羽敬先生は名古屋大学医学部附属病院などで研鑽を積んだ後、2010年から丹羽眼科医院に勤務し、2018年4月に父である丹羽巽先生から、院長を引き継いだ。丹羽院長は「かかりつけ医として患者に接する」をモットーに、眼科以外の相談にも応じるほか、近隣の学校の校医も務め、幅広い立場から地域の健康づくりに貢献。得意とする日帰りの白内障手術のほかに、校医の立場からスマートフォンが子どもたちの目に与える影響などにも関心を寄せる丹羽院長に、さまざまな話を聞いた。
(取材日2021年10月28日/更新日2024年4月15日)
父から院長を引き継ぎ、父子2代で地域に貢献
お父さまから院長を引き継いだそうですね。

当院は父が1973年に開業しました。開業前からこの近くに住んでいて、中でも眼科医院の少ない地域を選んだそうです。その当時私は3歳で、眼科医院に併設して建てた家に引っ越して、4歳の誕生日を迎えたことを覚えています。私は大学卒業後、勤務医として働いていましたが、2010年に建物を新しくしたのを機に、こちらでの診療に本腰を入れるようになり、2018年4月に父に代わって院長になりました。白内障などの手術は私がすべて担当していますが、父は現在も副院長として診療をしています。昔から通っている患者さんの中には、通常の診療は父に診てもらい、少し変わった症状があると私のほうで担当という分担もしています。
患者さんは昔なじみの方が多いのですか?
この周辺は古くから住んでいる方が多いので、父の代から通っている方もいらっしゃいますが、最近は川を越えた大治町という地域からの患者さんも増えています。当院は大通りに面しているので、建て替えの際に通りを走る車から見て目立つように工夫をしました。大通りには最寄りの中村公園駅から大治に向かうバスも走っていますので、その影響で新しい患者さんが増えているのだと思います。大治から来る方は若い人が多く、インターネットなどでいろいろと調べてから来られる方が多いです。
こちらの医院に勤務するまでの経歴を教えてください。

大学卒業後は研修医を経て、名古屋大学の大学院へ入りました。外来診療をしながら、網膜電図といって網膜が光を受けた時の反応を心電図のように記録する検査の研究をしていました。病気によって網膜電図がどのように変化するかを調べるものです。大学院修了後は総合病院や大学病院で勤務しました。10年ほど前からは、当院よりも規模の大きな他の眼科医院でも診療をしています。規模が大きいので症例も多く、新しい技術を学ぶこともできるので、院長就任後も継続して働かせてもらっています。医療の世界は日進月歩ですので、常に勉強を続けて新しい技術を取り入れたいと思っています。
かかりつけ医をめざし、患者の全身に気を配る
診療で心がけていることを教えてください。

丁寧な説明をするということです。患者さん自身に目の状況を理解してもらわなければ、適切な治療に結びつかないと思うので、現在の目がどういう状態かを説明した上で治療方針を伝えるようにしています。術前の説明として患者さんに冊子を読んでもらったり、DVDを見てもらったりする医院もあると思いますが、当院では毎週水曜日の午前中を術前検査と説明の日にして、私が直接話をしています。直接説明をすることで、通院を始めてまだ日の浅い患者さんでもお互いの人となりを知ることができますよね。また、患者さんに対してはかかりつけ医として接するように心がけています。
かかりつけ医として接するというのは、具体的にどのようなことですか?
眼科だからといって目だけを診察するのではなく、患者さんの全身を気にかけています。例えば、糖尿病のように目に症状が出る病気もありますので、気になる患者さんには生活習慣に関するアドバイスをします。また、検査の際に息遣いがおかしいと感じたら、呼吸器内科の受診を勧めることもあります。私がそのような姿勢でいるので、眼科以外の質問をする患者さんも増えてきました。専門ではなくても医学全般の知識はありますので、症状に応じてどのような医療機関を受診すべきかをお伝えしています。めざす姿は、昔ながらの「地域のお医者さん」になります。
白内障の手術を多く執刀されています。

当院では日帰り手術が可能ですので、毎週白内障手術を行っています。2010年に医院を建て替えた際に、検査や手術に必要な機器は一通りそろえました。ただ、患者さんの意向を尊重するようにしていますので、白内障の方に手術を強要するようなことはありません。その方の生活にはどのくらいの視力が必要かを考えながら、最適な治療法を提案するようにしていますが、運転をする方には厳しい姿勢で手術を勧めることもあります。実は2019年8月に、高齢の患者さんがアクセルとブレーキを踏み間違えて当院に突っ込むという事故がありました。その方は9月に白内障の手術を予定していたのですが、もっと早くに手術をしていれば事故を防げたかもしれません。私には2人の子どもがいますので、親の立場としても視力に不安のある状態で運転をすることは控えてほしいと思っています。
若年層のスマートフォンとの付き合い方をアドバイス
最近、気になる症状はありますか?

私は近隣の小中高校で校医をしていますが、スマートフォンを使う子どもが増えたことで近視の患者が若年化していると感じています。近視だけではありません。人間の目は遠くを見るときは真っすぐですが、近いところを見ると視線が斜めになります。手元にあるスマホの画面ばかりを見ていると、視線が内側に寄った状態で固まってしまう内斜視や、目のピント調節機能が利かなくなり老眼のような症状が出ることもあります。20代で「近くが見えづらい」という方に検査をしたら老眼と同じ状況になっていたということもありました。
スマホが目に与える影響を緩和する方法はありますか?
現在はスマホが友達付き合いの主なツールになっていて、使用を禁止するのは難しいと思います。長時間の使用を避けたり、明るいところで使ったりするようにアドバイスをしています。暗いところで明るい画面を見ることは目に負担が大きいので、寝る前に布団の中でスマホを使うことはお勧めしません。ゲームなどのやりすぎなどを防ぐためにも、自室ではなく家族のいるリビングで使うと、自然と使用時間を短くすることができるかもしれません。
最後に、今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

患者さんの期待を裏切らない治療をしたいと思っています。最近はインターネットで症状や治療について調べてから来院される方も多いので、知識を持った方の質問にもしっかり答えられるよう、日進月歩の技術の進歩に遅れないよう勉強を続けていきたいです。患者さんの困っていることやわからないことにはしっかりと説明をして、良い結果が得られるような治療を行っていきたいと考えていますので、気になる症状があれば気兼ねなく受診してください。