病気の子どもを医療・保育の観点からケアする
病児・病後児保育室
Family Clinic みわた小児科
(名古屋市西区/浅間町駅)
最終更新日:2024/11/05


共働きで子育てをする父母にとって「子どもが熱を出したけれど仕事を休めない」と頭を抱える場面は、決して珍しいものではない。仕事に、家庭にと、日々奮闘する親たちの強い味方となるのが、「病児・病後児保育」という名古屋市のデイケア事業だ。名古屋市西区の「Family Clinic みわた小児科」では、病児・病後児保育施設LaLaLu(ララルー)を併設。長年この地域の親子の健康を支えてきた三輪田博介先生と息子の三輪田俊介院長、経験豊富な保育士たちが、病気の子どもを預けることに不安を覚える親の心情に寄り添い、責任を持って子どもたちのケアにあたっている。今回の取材では、同院が取り組む病児・病後児保育の特徴や、体調が万全ではない子どもを預かる上での心がけなどを詳しく聞いた。
(取材日2020年6月22日/情報更新日2024年10月30日)
目次
「私たちは働くお父さん、お母さんの味方」という思いを貫く。困ったときは無理をせず、助けを求めてほしい
- Q病児・病後児保育の体制についてお聞かせください。
-
A
▲子育て・働き世代を応援する病児保育
【博介先生】「LaLaLu」では、私が朝7時半からお預かりするお子さんを診察し、容体が変わった場合にはこちらの判断で処置することをあらかじめ承諾いただいています。当然ですが、預かるからにはきちんと責任を持ちたいですからね。当初は、単に病気の子を預かるのを目的に、この施設を立ち上げましたが、お母さんたちから「ここができたおかげで、安心して働きに出られます」との声をいただき、正直驚きました。いざというときのセーフティーネットとして安心感を与える、そういう役割もあったのだと気づかされ、私自身思わぬ喜びをもらいました。医療の立場から働く親御さんを支えることで、世の中の役に立てると思うとうれしいです。
- Q病気のお子さんを預かるのは大変ではないですか?
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A
▲細かく気を配り、責任を持って子どもを診てくれる
【保育士・S.Mさん】確かに緊張感はあります。一つの判断ミスで万が一のことが起こるとも考えられますので、いつも細かく気を配り、何か異変を感じたらすぐに医院側に連絡を入れます。先生や看護師さんからの指導もあり、私たち保育士もある程度の応急処置には応じられますが、連絡すればすぐに先生も看護師さんも来てくれるので、とても心強いです。体調を崩したお子さんは心も不安定ですので、様子の変化には注意を払いつつ、できる限り不安感をなくせるように心がけています。実際は甘やかし放題かもしれません(笑)。ただ、お友達に意地悪をするなど絶対にしてはいけないことをしたら、病児とはいえちゃんと叱っています。
- Q子どもと接する際、どのような点に心配りをされていますか?
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A
▲「その日のその子」に合った過ごし方を考えている
【保育士・C.Yさん】まずは、お預かりするその日のお子さん自身を詳しく知ることです。通常保育と違って私たちは毎日その子の様子を見られるわけではありません。以前にお預かりしてからしばらくしていたら、お子さんの心身も成長していますし、常に一緒なんてことはないんですね。ですから午前中のうちに体調や機嫌など、「その日のその子」をしっかり把握するようにしています。言葉にできない不安な気持ちも、じっくり見ていると表情に表れているんです。そういった変化を見逃さないのが大事ですね。そうやってつぶさにお子さんを見てあげて、職員同士と話し合いながら、「その日のその子」に合った過ごし方を考えるのを心がけています。
- Q親御さんとの関わり合いで気をつけていることは何ですか?
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A
▲保護者が安心して働けるよう送り出している
【保育士・M.Tさん】お預かり時はすぐに「いってらっしゃい」と親御さんをお見送りするようにしています。離れがたい気持ちでいっぱいでしょうが、離れ際がすっきりしないと親御さんもお子さんも気持ちを切り替えられなくなってしまいますからね。 【保育士・K.Sさん】私自身3児の子育て中なので、お預けする際の親御さんの不安感はすごくわかります。その心に寄り添い、安心してお仕事に向かえるように送り出すのも大事な役割だと思っています。 【保育士・N.Tさん】お迎え時には、1日をどう過ごしていたかを細かくお伝えしています。離れていた時間の不安を少しでも晴らして、笑顔で帰ってもらえたらうれしいんです。
- Q子どもたちはどう過ごしているのでしょうか?
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A
▲優しく温かいスタッフが迎えてくれる
【保育士・S.Mさん】受け入れの後、熱が高い子や、眠い子はそのまま寝かせます。そうじゃない子たちはそれぞれ好きなことをしていますよ。中には、いつもと違う環境の影響で、熱が高くてもはしゃいでしまう子もいるので、そういう場合は「寝ながらDVD観ようね」というふうに、なるべく横になるように誘導しています。水分は頻繁に摂取させるようにしていますが、おやつやお弁当は食欲に応じて無理のない範囲でという感じですね。お弁当の後はお昼寝の時間なのですが、この時間だけは、どんなに眠くなくても元気でも絶対に横になるという時間です。楽しく過ごしてもらいつつ、無理をさせないように気をつけています。