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土井 清孝 院長の独自取材記事

あさみ耳鼻咽喉科医院

(名古屋市北区/黒川駅)

最終更新日:2021/10/12

土井清孝院長 あさみ耳鼻咽喉科医院 main

地下鉄黒川駅から徒歩3分の住宅街、開業から今年で21年目を迎えたのが「あさみ耳鼻咽喉科医院」だ。同院は昼の休診時間のうちに、午後の診察を受けるための順番待ちがすでに始まっていることも珍しくないという。評判の飲食店ではよくある光景だが、クリニックでは珍しい光景だろう。院長の土井清孝先生は「時間がかかりますがご理解ください」と言う。待たせることは心苦しいけれど、じっくり話を聞いて最善の治療をしたい、その方針は譲れないという信念が伝わる誠実なドクターだ。そんな院長が進取の姿勢や徹底した処置へのこだわりなど、静かに語ってくれた。

(取材日2016年6月9日)

徹底した処置は患者の協力があってこそ

こちらの病院は土井先生ご自身が開業されたのですか。

土井清孝院長 あさみ耳鼻咽喉科医院1

そうです。僕自身が建てた医院で、「あさみ」は僕の旧姓なんです。名古屋は地元で、名古屋大学で博士を取りました。地元ですから患者さんには同級生や知人などもいて、今でも「あさみ先生」と呼ばれてしまうことがありますね。一般の患者さんはクチコミの方が多いようで、遠方から来院される方もいます。ここは西区と北区の境ですが、港区から来られる方もみえますし、豊橋や尾鷲から来院される方もいらっしゃいます。患者さんの年齢は0歳から100歳まで、午前中は急患の方や高齢の方、午後は幼稚園状態という感じです。季節によって疾患の傾向もあって、春先は花粉症、秋冬はインフルエンザですね。初夏から秋まではめまいやメニエール病、突発性難聴などが多いのですが、僕が博士を取ったのもその方面の研究でした。

診療方針を教えてください。

僕のポリシーとして、問診は長いです。診察は患者さんとの会話から始まり、できるだけ何度も通わないで済む治療ができるようにお話をしています。例えばアレルギー性鼻炎なら、月1回の通院と処方でコントロールできるようにしていきます。また、一人ひとりじっくり話を聞くため、お待たせする時間が長くなりますので、受付のほうで順番や待ち時間を把握するようにしています。実はこの地域には耳鼻咽喉科は多いんですが、すでに他院にかかってから来られる方も多く、より一層丁寧にご説明する必要があると考えています。そして、こちらの方針を押し付けるのではなく、「こういう治療はどうですか」と提案し患者さん自身に選んでいただいています。

治療の特徴を簡単にご説明ください。

土井清孝院長 あさみ耳鼻咽喉科医院2

基本的に処置は徹底的に行います。すっきりしてお帰りいただきたいので、処置中に患者さんに不快感が避けられない時は、頑張って辛抱していただきます。子どもも大人も基本的に一緒ですが、中には泣いてしまう子どももいます。もちろん、乱暴にしているのではなく、ものすごく丁寧にしています。取れた耳垢を見ていただいたり、鼻がすっきりして呼吸が静かになったりすると、徹底した処置の良さがわかってもらえるはずです。耳鼻科の場合、すべて楽しく治療をするのは難しいものですから、子どもの場合は親御さんに理解し協力していただくしかないですが、この治療について納得されると次は1時間2時間待っても処置をしてほしいと希望されるんですね。アレルギー性鼻炎については鼻の中を電気凝固で焼く手術も行いますが、この処置は15分くらいでできてしまうので、当院の昼休みなどを利用して予約で行っています。 

鼻呼吸の気持ちよさを生まれて初めて知った患者

耳鼻科の場合、日頃の癖や習慣と病気の違いがわかりにくい場合もありますね。

土井清孝院長 あさみ耳鼻咽喉科医院3

僕は名古屋市の耳鼻咽喉科学校医会の会長なんですが、実は小学生は耳鼻咽喉科専門医の学校健診がないんです。それで、親御さんが「いつも口を開けているけど熱がないからいいか」と放置してしまい、来院されたときには鼻づまりがかなり進んで重くなっている場合が少なくありません。そして、鼻処置をすると本人も親御さんもわかるくらいに改善して「これが鼻で息をするということなのか」と感激されることもあります。鼻づまりは徐々におこると慣れてしまうんです。また別の患者さんに保母さんがいたのですが、子ども時代から鼻で呼吸したことがなかったそうなのです。検査の結果、鼻を焼く手術をしましたが、治療後は大変すっきりされて「以前は園児のおむつを替えていても臭くなかったのに、今では誰のおむつが汚れたか一番でわかるようになった」と言われたこともあります(笑)。他にも手術後に「鼻を取り換えたみたい」という感想はよくいただきますね。

診療の際、大事にしていることや心がけていることはありますか。

患者さんに対しては、真摯な態度で向き合うことですね。どんな方にもできるだけ丁寧語で話しますが、相手がそれを求めていないと思ったら、気さくな雰囲気で会話をするなど、患者さんに合わせてお話しやすいように心がけています。それと、安心されることや理解していただくことを大切にしているので、ご自身の耳の中を画像で見てもらうということもしています。これも患者さんからの「見たい」というご希望があって取り入れたものですが、僕自身も何でも取り入れてみたいと思うほうなんですね。とにかく導入してみて、本当に良いものだけを最終的に残していくという具合です。

印象に残った患者さんはいますか。

土井清孝院長 あさみ耳鼻咽喉科医院4

開業当初のことですが、すごく頑張って鼻の処置をさせてくれる子どもの患者さんがいました。鼻風邪をひくたびに1回通院されて、処置後はお薬を出して帰宅してもらうことを数箇月おきに繰り返されていました。ある時このお母さんから「うちの子、薬は要りません」と言われたんですね。薬嫌いということではなくて、「ここで1回鼻の掃除をしてもらうと治っちゃうんです。実は薬は今まで飲んでいません。」とおっしゃいました。誰にでも当てはまるケースではありませんが、徹底した処置の大切さを教えてくれた患者さんでした。それ以来、お子さんが泣いてしまっても、処置はきちんと徹底してやります。当院に通われる患者さんは、ある意味この治療方針に効果を感じ、納得した上で覚悟をもっていらっしゃるわけですし、クチコミの場合も同様ではないかと思います。

患者から「教えられたこと」を治療に生かしたい

先生ご自身の医師としてのスタンスを教えてください。

土井清孝院長 あさみ耳鼻咽喉科医院5

患者さんを診察し疑問をもったことを勉強して深めたり、新しい医療情報も興味をもって取り入れ、診療内容を時代に合ったものにしていくことが私の医療のスタンスです。例えば、インフルエンザの最初の特効薬で知られるアマンタジンはもともとパーキンソン病で使われてきた薬ですが、インフルエンザの高熱を下げるという新しい情報がありました。インフルエンザのキットも治療薬もまだ発売されていない時代でした。坐薬を入れても熱が40℃から下がらない子が来院し、診察して中耳炎も扁桃炎もなくインフルエンザを疑いました。すぐに小児科を紹介し、僕が直接先生に電話を入れて相談し、アマンタジンを処方してもらったことがありました。結果的に熱はすぐに下がり、お母さんから大変喜ばれたことがあります。このことをきっかけに、この後のインフルエンザ検査・治療も積極的に扱うようになりました。これからも少しずつ進化していきたいですね。

この仕事を志したのはどんな理由でしょうか。

家族も親戚にも医師はいませんでしたが、高校生の時に授業で水俣病のことを知り、強い関心をもちました。医学部進学は、周囲からは「無理」と言われていましたが、高校時代の先生だけはそうじゃなかった。生物の先生でしたが「それは素晴らしいことだ」と言ってくれたんです。それで、医師をめざしてもいいのかなと自分を肯定できたのですが、それが3年生のことだったので少し遅くて、1年浪人して医学部に進みました。

読者へメッセージをお願いします。

土井清孝院長 あさみ耳鼻咽喉科医院6

当院では皆さんのお話を良く聞かせてもらいますし、処置は徹底的にやります。そうするとどうしても時間がかかりますし、慣れないと治療中に不快感があるかもしれませんが、できるだけ痛くないようにしていますので、ご理解いただければと思います。そして、ご相談にはご自身の医療のこと以外でも、できる限りお答えするようにしています。わからないことは調べてお返事することもありますし、それによって僕自身の知識も広まるので、ありがたいんですね。ある意味「おせっかい」なのかもしれませんが、こと医療においては、良い意味で患者さんと踏み込んだ関係になりたいです。

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