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池庭 誠 院長の独自取材記事

池庭医院

(多治見市/多治見駅)

最終更新日:2024/09/05

池庭誠院長 池庭医院 main

多治見市で親子3代にわたり診療を続ける「池庭医院」。2015年より院長を務める池庭誠先生は、勤務医時代に糖尿病と内分泌内科の領域を中心に研鑽を積み、日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を持つ。多くの診療経験を生かし、糖尿病や甲状腺の治療をはじめ、高齢者から子どもに至るまで幅広く患者に対応している。また、先代院長の頃から漢方での治療を積極的に取り入れ、症状が幅広い新型コロナウイルス感染症の後遺症の診療にも役立てている。診療以外の活動も積極的に行う池庭院長。「子どもが生まれてから、将来の医療や社会についての「あるべき姿」をより考えるようになりました」と話す。取材を通して、池庭院長の患者と子どもたちの幸福を願う気持ちが伝わってきた。日々の診療から診療以外の活動、患者への思いなどを語ってもらった。

(取材日2024年4月1日)

悩める症状に対し、漢方でアプローチ

どのような患者さんがいらっしゃいますか? 最近増えている症状があれば教えてください。

池庭誠院長 池庭医院1

新型コロナウイルス感染症の後遺症と思われる症状で悩まれている方が増えています。例えば、咳や発熱が1ヵ月以上おさまらない、倦怠感が長く続く、食欲が戻らない、考えがまとまらず仕事にならないなどです。特に働き盛りの世代の方や女性の方が多く、これらの症状が原因で就労はおろか日常生活までもが困難な方もいらっしゃいます。感染症法上の「5類」扱いとなり、政府の対策本部が解散となった今も、新型コロナウイルス感染症やその後遺症でお困りの方は増え続けており、当院は発熱者の外来診療も実施しておりますが、引き続き国としても「検査・診断・治療」という一連の対応が必要だと強く感じています。適切な治療を行い、症状の緩和をめざして力を尽くしていきたいです。当院では、長引く症状に対する治療の一つとして、漢方薬を処方しています。漢方薬による治療は、今後も有用な手段として活用していきたいと考えています。

以前から多くの漢方薬を取り扱われているそうですね。

先代院長が熱心に取り組んでいましたが、その頃から処方していて、現在は100種類以上の漢方薬を取り扱っています。たくさんの種類があり、患者さんに合わせて処方するので、さまざまな症状に対応することができるんです。東洋医学では患者さんの状態を見極めることを「証(しょう)を見る」といいます。患者さんがお困りの症状と根本的に抱えている体質を診て、処方する漢方薬を決めるのです。治療と体質改善の両面にアプローチできるような漢方薬を処方できるよう心がけています。最近はインターネットなどで情報収集ができるので、患者さんも漢方薬に関する知識が豊富な方が多く、種類を指定されることもあります。それぞれのご要望をお聞きしながら、場合によっては他の漢方薬をご提案します。

患者さんの要望も取り入れながら漢方を処方されているのですね。診察時に心がけていることはありますか?

池庭誠院長 池庭医院2

漢方は同じ症状でも、同じ患者さんでも、状態によって使い方が違います。その人に本当に合った漢方薬を処方するためには、まずその人を深く知ることが大切なんです。そのため、症状や疾患だけではなく、患者さんの背景も含めて診るように心がけています。また、お互いにとって意外な漢方薬が症状の緩和につながることもありますので、治療を重ねる中で患者さんと一緒に答えを探すことも大切です。患者さんと信頼関係を築けるよう、なんでも相談しやすいような雰囲気をつくることにも尽力しています。

糖尿病と内分泌内科の知識を生かし、幅広い症状に対応

糖尿病の治療で通院されている方が多いとお聞きしました。

池庭誠院長 池庭医院3

糖尿病専門医として、糖尿病治療にお悩みの患者さんや、糖尿病を中心に派生した病気に悩む方、高血圧症などのいわゆる生活習慣病の治療を希望される方を中心に診療しています。糖尿病や生活習慣病の治療においては、どんなに治療方法を検討してもデータとしてなかなか改善しないことがあります。その理由としては、それぞれの患者さんが強いられている生活スタイルや、さまざまな要因による日々のストレスなどが考えられます。例えば、「職場の人間関係」や「夜勤などの不定期な就労環境」で悩んでいる方に糖尿病の治療薬を処方しても、そのストレスが原因で血糖値がなかなか下がらないこともあり得ます。そのように原因がわかっていたとしても、そのストレスそのものを改善することはなかなかに難しいことが多いです。医師としてもどかしさを感じますが、寄り添いながら二人三脚で治療を進めるように心がけています。

糖尿病専門医として、幅広い症状に対応されているそうですね。

糖尿病の合併症はさまざまです。神経障害や網膜症、腎症のほか、脳梗塞や心筋梗塞、下肢の壊疽なども起こします。さらに認知症やがん、骨折の原因などにもなったりします。それぞれに配慮しながら総合的に診療をしています。また当院は糖尿病内科の他に、甲状腺、内分泌疾患の診療も行っており、ホルモンのスクリーニング検査も実施しています。冒頭に申し上げた新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に対しては、そうした検査をした上で診断をつけています。新型コロナウイルス感染症はその高熱により免疫系の他の病気が引き起こされることもあります。例えば1型糖尿病を発症する可能性もありますので、糖尿病内科、内分泌内科と東洋医学の知識を生かしながら、さまざまな患者さんに対応しています。

診療以外の活動にも積極的に参加されているそうですね。

池庭誠院長 池庭医院4

2022年2月末から岐阜県保険医協会の副会長を務め、2024年2月からは全国保険医団体連合会の理事に就任致しました。すべての方にとって「生きやすい社会」づくりをめざす活動に従事しています。勤務医時代、糖尿病の治療を続けたいけれど、金銭的な負担が大きくて治療を自己中断され、残念な経過をたどられた患者さんがいらっしゃいました。なぜそのような状況が生まれたのか、医療や雇用などの社会構造にも目を向けないといけないと強く感じています。最近日本弁護士連合会が「人権としての医療アクセス権」という言葉を提唱しました。「お金が理由で医療にたどり着けない」ということは人権侵害であり、あってはならないことだと思います。患者さんや他の医師にもぜひ関心を持っていただきたいと思い、インターネットを通して社会システムや医療制度の現状や問題点について情報発信をしています。

患者の幸福と未来のために、社会システムに目を向ける

情報発信にも力を入れていらっしゃるんですね。

池庭誠院長 池庭医院5

社会システムや制度を良い方向に変えていくことで、「みんなが生きやすい社会」になってほしい。そういった願いから、社会の仕組みや制度に目を向けるようになりました。子どもが生まれてから、よりその願いが強くなりましたね。10年後、20年後、30年後の未来のために、子どもたちにより良い環境を残すために、諦めずに自分の力を出しきって社会を良くしていきたいと考えています。

池庭先生の強い思いが伝わってきました。ところで、先生が医師をめざしたきっかけは何ですか?

正直なところ、社会問題にも興味があったので政治家もいいなと思った時期もありました。でも、私の家は代々医師の家系なので「自分が後を継がなくては」という使命感から、結局は医学部へ進学しました。開業医として地域医療に貢献する祖父と父の姿も見てきましたので、大学卒業後は生まれ育ったこの地域のために働きたいと考えました。糖尿病を専門にしたきっかけは、研修医時代に熱意ある先生に出会ったことです。糖尿病は患者さんと深く関係性を築くことが求められる分野なので、そういった面も面白そうだなと思いました。糖尿病を専門とする医師は東濃圏域に少なく、クリニックを継いだ当初は可児市と土岐市の総合病院で非常勤医師として勤めながらの診療で本当に忙しい日々でしたし、今は今で患者さんが増えてもっと忙しく過ごしています。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

池庭誠院長 池庭医院6

祖父が開業して60年以上、私が院長に就任してから10年が経過しました。ここまでよく地域に根づいたなと感じています。父の代から通われている方が多くいらっしゃいますが、近年はウェブサイトを見て、可児市や中津川市などの遠方にお住まいの方や、近隣に住む外国籍の方の受診なども増えています。逆紹介を頂くケースも増えました。「困っている人の役に立ちたい」という気持ちは、医師になった頃から変わりません。どんな方でも、どんな症状でも、お困りのことがあれば当院にお越しいただければと思います。

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