夏目 英雄 院長の独自取材記事
夏目整形外科
(多治見市/多治見駅)
最終更新日:2025/02/19
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多治見市錦町、神社の向かいに「夏目整形外科」がある。40年を超える歴史の中で、地域の住民はもちろん、広く東濃エリアで体の痛みに苦しむ人と向き合ってきた。夏目英雄院長は“できるだけ早く痛みを取ること”を診療方針とし、経験に基づくブロック注射を積極的に行う。「長年悩んできて病状に対して深刻になってしまっている患者さんに、痛みが改善するかもしれないと希望を持ってほしいんです」と力を込める。早急に改善をめざす方針と、実際の治療、さらに患者を尊重する姿勢について、夏目院長に聞いた。
(取材日2025年2月6日)
慢性的な痛みに対処する選択肢を
40年以上の歴史あるクリニックだそうですね。
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当クリニックは、1983年に父が開業しました。そのためか私も自然に医師の道を志し、手先が比較的器用だったこともあって、将来を見据えて整形外科医をめざしました。整形外科の医師になってみると、患者さんが普段の生活へ戻るために役立てることは大きなやりがいです。2013年から当クリニックに勤め始め、2016年に継承しました。父の代から長年通ってくださる方も多く、信頼をいただいていると感じています。その声に応えながら、さらに“痛みが取れなくて困っている”もっとたくさんの方にも、当クリニックを知っていただきたいですね。
院長は勤務医時代にどのようなことを学ばれましたか。
NTT西日本東海病院での勤務医時代はとにかくよく勉強をしました。上司が勉強熱心な方で、かなり影響を受けましたね。同院では患者さんの症状に対して、毎回検討会議を開くのですが、その症状に対しての治療方法を必ず文献を調べて発表するように教わりました。単純に教えられたとおりの治療を行うのではなく、調べて納得する治療を見つける大切さ、患者さんと真摯に向き合う姿勢が身についたように思います。またそこで現在の柱となるブロック注射についても学んだことで、できる限り手術に頼らない方向で治療を進めていました。症例によっては手術が必要な場合もありますが、極力ブロック注射での治療の道を探り、診療していましたね。
痛みを取るための治療に、力を入れているんですね。
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慢性的な痛みを抱えている患者さんは、治療を諦めていることも多いです。もう良くなることはないのだと、悲観している方さえいます。でもそれほど深刻にならずとも、状態を良くするための手段はあるかもしれないと知ってほしいんですよね。痛みの原因を突き止め、それに対して薬だけでなく、必要な注射などを駆使すれば、うまく対処できるケースは多々あります。内服薬が合わない、リハビリテーションを重ねても改善へ向かわないときには、ぜひ当クリニックにも一度ご相談いただきたいです。その場でできる限り原因を突き止め、ある程度の結果につなげることをめざしています。
経験と技術を生かしたブロック注射
痛みを取るための、ブロック注射について教えてください。
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当クリニックの柱となる治療は痛みを和らげるために行う、ブロック注射です。一言でブロック注射といっても関節内の注射から、神経周辺、腱鞘内、筋付着部とさまざまです。患者さんの訴えを注意深く聞き、体に触れ、時には動かしながら、痛みの原因を突き止めて注射を打ちます。この注射によって痛みの緩和につながらなかった場合は、打つ場所が適切でないということ。痛みの原因となる場所を正確に診断するためにも、意味があると思っています。だから、その場で症状の変化を確かめ、もしくは1、2週間程度様子を見て、そのフィードバックをもとに今後の治療を進めています。症状にもよりますが、基本的には一度で治療が完結するような診療をめざしています。
ブロック注射は、最終手段の一歩手前だと思っていました。
ブロック注射は局所麻酔やステロイドなどの薬剤を、痛む部位の神経付近に注射するものです。エックス線を見ながら深部まで打つものだけでなく、盲目的手法と呼ばれる目視と指の感覚で行うものもあり、当クリニックでは後者の手法を使うことが多いです。打つ場所が非常に重要で、「ここが痛いなら、この場所に打つ」という場所をピンポイントで探り当てるには経験が必要です。私は医師になりたての頃から父に注射治療の必要性を教えられ、勤務医時代から積極的に注射での治療を経験して注射の手技を磨きました。ブロック注射は、手術を検討している方にも有用で、適切に行うことで痛みを和らげることがめざせるだけでなく、手術を回避できる可能性も期待できます。皆さんが思っている以上に役立つ選択肢ですし、もっと活用されて良いと思っています。
腰、膝、首などの他にも注射治療は行えますか。
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股関節、手首、足の甲などの痛みにも、関節ブロック注射を行うことがあります。こうした部位の場合、患部にきちんと作用する位置を見極め、正確に注射する必要があります。そこで注射位置を見定めるために、超音波診断装置を使用して行っています。症状や原因の確認のためのエックス線撮影に加えて、必要があれば超音波診断装置も使うことで、体のさまざまな場所への注射をより精密なものにできていると思います。
どんな話にも耳を傾け、どんな症状にも力を尽くしたい
骨密度の検査と骨粗しょう症の治療にも注力されているそうですね。
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当クリニックには前腕骨密度検査装置を備えており、座ったまま手を乗せて15秒ほどで検査ができますよ。寝転がって大腿の付け根の骨や、腰の骨で測定して検査する方式の設備もありますが、腕を乗せるだけなので、それよりもかなり簡単だと思います。骨粗しょう症と診断されれば、内服薬だけでなく、注射製剤による治療も可能です。高齢化が進む中で、さらに必要とされる治療になっていくでしょう。女性は40代、男性は70代になったら、まずは検査をしてみるのが良いと思います。年1回の検査や治療によって、健康寿命を延ばしていけたら良いですよね。
高齢の方の慢性疾患以外ではどんな症状を診ていますか。
年齢を問わず、どんな症状の方でもいらしていただいて構いません。私はスキー、スノーボード、ダイビング、テニス、ゴルフ、ボルダリングなど、さまざまなスポーツに親しんできたので、スポーツ外傷にも積極的に対応していますよ。学生時代には、野球やバスケットボールもしており、例えば野球なら「今はボールボーイまでにしておこうね」など、競技に合わせて患者さんの気持ちに寄り添えると思います。また、転倒や日常生活でのケガも診ています。私自身、アキレス腱を断裂した経験があるのですが、手術治療を選択しました。しかしながら術後に感染を起こし傷痕が残った経験もあるので、保存的治療をお勧めしています。アキレス腱治療に於いては私自身の経験から自信を持って治療を行っております。こうした実体験をもとに、患者さんに最適だと考える治療法やリハビリ方法をわかりやすく説明しています。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
最後に読者へメッセージをお願いします。
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診療の際は、患者さんの声にしっかりと耳を傾けるように心がけています。例えば膝の痛みを主訴とする方が、本題ではないところで「実は首もたまに痛む」と言ったとしても、その言葉を聞き逃さず、どちらも良い治療の選択肢が見つかるようにしたいんです。症状についてうまく話せなかったり、繰り返しになってしまったりすることもあると思いますが、ふとした一言が診療方針に影響を与えることもあります。体のこと、家庭のこと、日々の生活のこと……。総合的にお聞きして、患者さんに一番合った治療ができればと考えていますので、些細なことでもまずはご相談ください。