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沼口 諭 院長の独自取材記事

沼口医院

(大垣市/北大垣駅)

最終更新日:2023/06/29

沼口諭院長 沼口医院 main

北大垣駅から徒歩5分の場所にあるのが、先代が開業した当初から長きにわたり地域のかかりつけ医として患者を支えてきた「沼口医院」だ。「その人の生活、人生を守る医療を提供していきたい」とやわらかな口調で語る沼口諭院長。さまざまな職種のスタッフが連携し、チームが一体となって患者やその家族を支える地域包括ケアにも注力する同院。患者の話を傾聴し、病気だけでなくその背景にある生活や人生、思いにも寄り添う姿勢を重視している。訪問診療・緩和ケアにも積極的に取り組む院長に、ここ数年の変化、地域の中学校で行う命の授業、そして患者への強い想いなどについて話を聞いた。

(取材日2022年12月24日)

感染症対策が、ワクチン接種の意義にまでつながった

長い歴史ある医院ですが、ここ最近の変化などはありますか?

沼口諭院長 沼口医院1

やはり新型コロナウイルス感染症によるさまざまな影響でしょう。日常的な風邪症状や生活習慣病、循環器疾患などの患者さんに加え、発熱患者さんをどう診るのかという課題が浮き彫りになりました。試行錯誤の末、当院では外に専用の診察室を設けました。通常の外来患者さんとの接触は絶対に避けなければなりませんから、当初はいらっしゃったお車などで検査や診察を行っていたのですが、やはりお車では自由に診察できませんし、夜間になると照明も心もとなく、顔色の判断もしにくいでしょう。そういう状況で適切な診断ができるのだろうかと考え、専用の診察室を造りました。

発熱患者さんはウェブから問診票を記入し、予約を取るシステムを導入したそうですね。

2021年春から導入しました。患者さん、そして私を含めた当院のスタッフ、双方に大きなメリットがあると感じています。あらかじめ保険証の写しや症状、濃厚接触者などの詳しい内容を記載いただけるので、それをもとにカルテを作成できます。となると私たちも先んじて十分な準備ができ、診察や検査もスムーズに行えます。患者さんも予約の時間に来院できるので、待ち時間の削減にもつながります。また院内の診察室からすぐに移動できるよう専用の出入り口も確保しましたし、発熱患者さんの診察を行う際は必ず医療用ガウンを着用します。このように完全に通常の外来患者さんと発熱患者さんの動線を分けているので、皆さんも安心できると思いますし、これを機にキャッシュレス決済も導入しました。

変化によってもたらされたメリットも多いのですね。

沼口諭院長 沼口医院2

ほかにも「ワクチン接種」というものに対し、改めて考える機会にもなったのではないでしょうか。それは私たち医療側、患者さん側、いずれもです。風疹や日本脳炎ワクチンがなぜ必要なのか、そして子宮頸がんワクチンでは2023年4月からより効果が期待できる9価HPVワクチンの公費による定期接種が始まる予定です。子宮頸がんワクチンは日本では副反応で悪いイメージがついていますが、世界的に見ても明らかに接種率が低いため、女性の命ががんで脅かされる可能性が高い状態にあるのが日本です。もちろん副反応の問題はありますが、それを考慮した上で、命を守るという点においてワクチン接種にどんな価値があり、社会にどのような影響を与えるのか。これらの知識を、今後さらに丁寧に啓発していく必要があると考えるきっかけにもなったように感じています。

中学校で学ぶがん治療。健康や人生を考えるきっかけに

こちらの医院がある大垣市では、学生に対する啓発活動も行われているとか。

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中学生にがん教育を行う「いのちの授業」ですね。2022年度は市内すべての中学校で行われ、医師会の医師とがん患者さんが学校に伺い、どれほどの人ががんで亡くなっているのか、がんにならないためには生活習慣を見直すことが大切であること、そのためには健康診断を活用すること、胃がんの予防には原因であるピロリ菌の除去、子宮頸がん予防には子宮頸がんワクチンが大切であることなどを伝えます。生徒さんが自分事として受け止める瞬間は、がんにかかっている方の実体験を聞いたときでしょう。どんな生活をしていたか、告知されたときにどう思ったか、ワクチン接種に対してどう考えていたか……。そういう“生の声”を聞くことでワクチンに対するイメージが変わり、「子宮頸がんワクチンを受けたい」と思う生徒さんがいらっしゃったらうれしいですね。

がんの知識に加え、ワクチン接種が自分の命を守ることにつながると理解する機会になると。

自分ががんになり得ることに加え、親御さん、祖父母などががんになることもありますよね。そういうときに自分に何ができるのか。例えば、終末期の緩和ケアのあり方や、闘病中に何がうれしかったのかなど、がん患者さんのリアルな声があることで、がんになった方に対する心構えなどを考えるようになり、がんを身近な課題として感じてくれると思います。がんは患者さん本人だけのものではなく、周囲のご家族にどう影響を及ぼすのか、そこで“自分”は何ができるのか。さまざまな人の生き方を自分なりに考える、大きなチャンスなのだと感じています。

年齢を問わず知識を伝えることが、自発的に考える種まきになるのですね。

沼口諭院長 沼口医院4

大垣市医師会では「わたしの想い」という冊子を配布しています。ホームページから誰でもダウンロードできるこの冊子には、かかりつけの医療機関などを記載できるほか、最期は病院・自宅・施設のいずれで迎えたいか、胃ろうを希望するかしないかなどの意思表明ができるものです。その中で私が最も大切だと考えている項目が「わたしが大切にしていることや大切なもの」です。家族かもしれないし、山登りなどの趣味など、お一人お一人に大切なものがあるでしょう。それがわかれば、例えば「あの食べ物を将来も食べたいなら、今の食生活を少し改めましょう」「山登りに行きたいなら、この時期までに実現しましょうね」と、治療計画とともに、症状などから逆算して具体的なアドバイスができるようになるんです。

患者の大切な想いをベースに、今後の医療を考えていく

患者さんの想いを聞くことで、その方にとっての最良の医療を提案できるとお考えなのですね。

沼口諭院長 沼口医院5

これをACP(アドバンス・ケア・プランニング)、人生会議と呼び、私が常に大切にしている傾聴の姿勢の一つの表れだと考えています。患者さんからいただいた情報をもとに、地域包括ケアというシステムを、患者さんのご希望に沿うように組み合わせていくのです。今後はそういう医療がとても重要になると考えています。当院には睡眠時無呼吸症候群など生活習慣病を抱えた方も多くいらっしゃいますが、治療をしなければどうなるのかもお伝えするよう心がけています。医療がその方の一生に貢献できるのはほんの一部でしかありません。しかし医療を活用しないとどうなるのか、例えば「一家の大黒柱であるなら、ご家族のためにも少しお酒を控えましょう」などと考えれば、健康診断、ワクチン接種、服薬の意義を知り、通院・治療のモチベーションにもつながるのではないでしょうか。

その人らしく生きつつ、命を大切にする方法を診察でもお話しされるのですね。

肝機能に不安があっても、すぐに断酒ができる方はほとんどおられません。どう折り合いをつけて、ストレスをため込まずに生活できるか。その提案や考え方を一緒に考えていきたいと考えています。現在は岩田先生という、緩和ケア・訪問診療などにも精通した麻酔を専門とする女性の先生にも来ていただいていて、発熱者専用の外来や訪問診療も2人で分担しながら対応しています。私一人ですべてのケアはできません。介護保険が必要となればケアマネジャーさんと連携するなど、チームで連携しながら治療を考えていくことが大事です。訪問診療もその中の一つで、今後もできる限り、看取りなどにも対応していきたいと考えています。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

沼口諭院長 沼口医院6

困ったときにしっかりと話を聞いてくれる、必要なときに、すぐ医療機関を紹介してくれる、そんなかかりつけ医を20代、30代から持つことはとても大切です。人生100年時代といわれていますが、加齢に伴う心身の衰えを防ぐためにも、若い頃から将来を見据え、積極的な健康づくりを意識していただけるように丁寧に対応していきたいですね。いずれやってくるであろう親御さん介護のこと、ご自分の健康のこと、ワクチン接種に対する疑問や不安など、何でも相談してください。医療は人生のほんの一部かもしれませんが、人生をより良くするためには欠かせないもの。ご自分のお体を大切にでき、何でも相談できるかかりつけ医をぜひ探してみてください。きっと人生が豊かになるはずです。

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