倉橋 忠司 院長、倉橋 直仁 副院長の独自取材記事
倉橋クリニック
(大垣市/大垣駅)
最終更新日:2024/10/15
大垣駅より車で約10分の場所に位置する「倉橋クリニック」。倉橋忠司院長の父が約60年前に開院し、子どもから高齢者まで多くの患者が通院する、地域に根差したクリニックだ。洗練された院内は天井が高く、リラックスして過ごすことができるだろう。昨年5月には忠司院長の息子である倉橋直仁先生が副院長に就任。幅広い医療を提供してきた忠司院長と、麻酔科を専門とする直仁副院長の医師2人体制となったことで、さらに地域の多彩なニーズに応えている。また、かかりつけ医として「診断」に重きを置き、必要であればより専門性の高い病院へ紹介するなど、患者に適した医療の提供に努めている。昔ながらの人情味あふれる忠司院長と、先進的な医療に重きを置く直仁副院長。そんな2人にクリニックの特徴や診療時の心がけなどについて話を聞いた。
(取材日2024年1月16日)
半世紀以上にわたり地域の健康を支えてきたクリニック
貴院の歴史を教えてください。
【忠司院長】当院は60年ほど前に父が開院しました。父は外科医でしたが、いわゆる昔ながらの町医者で、幅広い診療を行っていましたね。約20年前に父が亡くなり、私が後を継ぎました。私も外科の医師ですが、よろず屋のようにいろいろな病気に対応できるよう心がけてきました。私の年齢的なことを感じ取ってくれたのか、昨年4月に息子である副院長が戻ってきてくれました。親子3代にわたって当院を継承できることをうれしく思います。
【直仁副院長】私はいろいろな病院で麻酔科を専門として、集中治療にも関わってきましたが、やはり「育ててくれた地域に貢献したい」という想いは常にありました。当院は代々、幅広い医療を提供してきましたので、私も受け継いでいきたいですね。
幅広い診療の中でも注力している分野は?
【忠司院長】この地域は高齢の方が多いので、QOL(生活の質)を守るために、骨粗しょう症の検査に注力しています。また、近頃は副院長が加わったこともあり、心臓超音波検査に対応しています。異常があった際には、循環器を専門とする医師への紹介もスムーズにできるようになりました。
【直仁副院長】麻酔科が専門の私は痛みの緩和を図るためのペインクリニックにも対応しています。また、医療の窓口となる一次医療機関として、病気の診断に注力しています。まずは適切な診断ができないと、最適な医療は提供できないですからね。CT装置や超音波装置など検査機器を充実させることで、さまざまな病気に対する高精度の診断をめざしています。
すてきな建物ですね。
【直仁副院長】老朽化していましたので、昨年5月にリニューアルしました。悩みを抱える患者さんが、少しでもリラックスできる空間にしたかったので「自然」をコンセプトとしています。閉塞感をなくすために、待合は広く、天井は高くしたことに加え、太陽光を最大限採り入れたかったので、大きな窓ガラスを採用しました。椅子などのインテリアはアースカラーで統一し、樹木などのオブジェを設置しています。患者さんに自然を感じていただけたらうれしいですね。もちろんプライバシーに配慮した同線も意識しましたので、安心して受診ください。
【忠司院長】リニューアルに関しては、すべて副院長に任せました。大きな窓ガラスは、実は波がモチーフになっています。
「見て」患者の体調を把握するのがかかりつけ医
医師をめざしたきっかけを教えてください。
【忠司院長】父が医師で、私は3人兄弟の長男でしたので、自然と医療の道へ進みました。外科の医師になったのも父が外科医で、その背中を見ていたからでしょう。当時はそんな考え方が当たり前でしたからね。長男の責任を感じながら育った記憶があります。父には「親父じゃないと手術は嫌だ」といった、熱狂的なファンがいましたので、当初は2代目のプレッシャーを感じながらの診療でした。
【直仁副院長】私も物心ついた頃から、医師以外の道を考えたことはありません。ただ、私は外科医になろうとは思いませんでした。性分に合っていないからでしょうかね。しかし、地域の患者さんをサポートする、祖父や父のような医師になりたいという想いは、いつも心の片隅にありました。
医師としてのモットーは?
【忠司院長】頼りにされ、信頼される医師であること。当院には長年お付き合いしてきた患者さんがたくさんいます。私の医療はアナログだと自覚していますので、副院長のデジタルな医療を加えて、患者さんのお悩みを解決してあげたいです。「私を見ると安心する」「癒やされる」と患者さんに言っていただけたらうれしいですね。この部分は副院長に伝授していきたいと思っています(笑)。
【直仁副院長】どんな患者さんでも見捨てません。勤務医時代の集中治療室では、心停止の場面を見るのが日常でした。ただし、心臓が止まっていると諦めてしまう人が多い。しかし、麻酔科の医師として、私にはまだできることがある。選択肢を探して対処すれば、命を救えることもあると信じてきました。麻酔科は病気の原因は取り除けませんが、死に限りなく近い方を、救えることもあるはずです。
診療の際に心がけていることは?
【忠司院長】一番大切にしているのは患者さんとの信頼関係。そのためには、コミュニケーションが重要ですので、聞く耳を持つように心がけています。また、患者さんの顔色を見るだけで、病気を見抜くのも医師の仕事。「貧血はないか?」「痩せてきたんじゃないか?」と観察するだけで病気を見つけられるよう努めています。
【直仁副院長】患者さんのお話をよく聞き、生活背景などを含めて、一つずつ解決していきたいと思っています。信頼関係が大切ですが、私はまだまだ半人前ですので、院長から学んでいる最中です。そして、患者さんの表情や歩き方だけで体調を把握するのが、かかりつけ医としての役割。患者さんのちょっとした変化を見逃さないように、しっかり観察しています。
適切な診断によって救える命があると信じて
スタッフはどんな方が多いですか?
【忠司院長】優しく、こまやかな配慮ができるスタッフばかりです。患者さんとのコミュニケーションも良好で、良い雰囲気をつくってくれています。リニューアルの際にはデジタル環境への移行があり、不満はあったかもしれませんが、嫌な顔一つせずに取り組んでくれました。長い付き合いの者も多く、普段はなかなか言えませんが感謝しかありません。
【直仁副院長】以前は紙のカルテで管理するなど昔ながらの体制でした。私が着任してからのデジタル化は相当なストレスだったと思います。しかし、受け身ではなく、能動的に取り組み、日々改善してくれたことに驚かされました。私自身、経営面は初心者なので不安がいっぱいでした。スタッフみんなに助けてもらい感謝しています。
今後の展望についても教えていただけますか?
【忠司院長】この町の一次医療機関として、さらに地域医療に貢献したいと考えています。例えば、適切な診断にこだわり、緊急手術が必要な患者さんを見極めることができれば、適切な医療機関につないで多くの命を救うことができるかもしれません。医師として、一人でも多くの命を支えられたらうれしいですね。
【直仁副院長】以前は生死を分ける局面に身を置いていたこともあり、「もっと、こうしておけば良かった」「他にできることはなかったのか」と疑問に思うことが多々ありました。当院に戻ってからは、さまざまな検査機器を新しく導入しましたので、早い段階で適切な医療につなげられるよう日々精進していきたいですね。
読者へのメッセージをお願いします。
【忠司院長】とっくに引退する予定でしたが、今も私を頼りにしてくれる患者さんがいらっしゃるのであれば、医師として全力で健康維持のサポートをさせていただきます。
【直仁副院長】痛みは不快なものであり、病院=痛みのイメージがあるのではないでしょうか。私は麻酔の専門家として、できるだけ苦痛を伴わない診療や手術をしていきたいと思っています。また、痛みの治療をしているものの長期間改善が見込めず、諦めている方も多く見られます。そのような方にも一歩進んだ治療ができる可能性がありますので、気軽に受診いただければ幸いです。