松井 聡 院長の独自取材記事
まついファミリアクリニック
(岐阜市/岐阜駅)
最終更新日:2026/01/20
岐阜環状線にほど近い場所にある「まついファミリアクリニック」は、地域で40年間親しまれた「まつい小児科・小児外科医院」を2020年にリニューアルし生まれた。現在は松井聡院長と、前院長の松井順五名誉院長の親子で診療にあたる。この地で小児医療を長年続けてきた順五先生と、基幹病院に勤務していた聡院長。2人の経験を生かし、家族全員が安心して受診できるクリニックをめざしている。勤務医時代には消化器外科の専門的な医療だけでなく、外傷の救急患者や生活習慣病の合併症を持つ患者などの総合的な医療を続けてきた聡院長。開業医となってからも小児医療やアレルギー治療など、さまざまな医療について勉強を重ね、幅広い診療を通して地域医療に力を注いでいる。今回、そんな聡院長にクリニックの診療内容などについて聞いた。
(取材日2025年6月13日)
消化器外科の経験を生かした幅広い診療
どんな患者さんや病気が多いですか?

長く父が地域で小児医療を行ってきたこともあり、患者さんの約6割は小児で、症状は発熱や下痢、嘔吐、ケガ、便秘、アトピー性皮膚炎、夜尿症などさまざまです。小児科以外では、風邪をはじめ糖尿病や高血圧といった生活習慣病など一般内科にも対応しています。また、慢性的な関節痛、腰痛、指を切った、物が刺さった、背中のしこりが膿んでいるといった一般外傷なども含め、幅広く診療することも可能です。私は消化器外科が専門なので、内臓疾患はもちろん、切れ痔やイボ痔、肛門周囲の切開処置も対応しています。専門の垣根を越えて幅広く診られるのが当院の特徴ですね。
肛門も治療されているのですね。
痔や肛門周囲の膿瘍などの保存治療を行っています。外科手術が必要な痔核(イボ痔)や裂肛(切れ痔)、ヘルニアの場合は、触診や肛門鏡を使ってきちんと診断をつけて病院をご紹介しています。基本的には薬物療法ですが、小さい痔核であれば切除も可能。イボ痔が進行した場合には、ALTA療法による内痔核硬化療法も行っています。ALTA療法は、痔核に注射をすることでイボをへこませて、切らずに治療するための方法。薬物療法は、座薬や軟膏、内服薬などさまざまな形で対応していますので、市販薬で対処している方は一度相談してほしいですね。
在宅医療にも対応されていると聞きました。

専任の医師が多く在籍しているような在宅専門クリニックではないので、訪問診療をかけもちすることはできませんが、地域の高齢化もあり、「最期は自宅で過ごしたい」という時に手助けができればと思い、在宅医療を行っています。「長期入院に疲れてどうしても自宅に戻りたい」といった、住み慣れた場所での療養を希望する方は多いのではないでしょうか。病院または高齢者施設から在宅への希望や、がん末期の緩和ケアなど、地域の在宅医療と連携しながら進めています。胃ろうや経静脈栄養の点滴チューブの交換、人工呼吸器などの管理、腹水や胸水を取ることも可能です。勤務医の頃、がん患者さんを数多く診る中で、抗がん剤治療などで苦しい思いをしていた方も目の当たりにしてきました。がん治療途中のサポートや終末期の緩和ケアなども行っていきたいと思っています。
小児科を軸に生活習慣病などの内科疾患にも注力
小児の患者さんが多いということですが、どんな病気が多いですか?

花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が増えています。私自身も子どもの頃、アトピー性皮膚炎や鼻炎でつらい思いをしたので、できるだけ力になりたいと思い、いろいろと勉強をしました。当院の患者さんの中にも「皮膚科や耳鼻科で治療を受けているのになかなか改善しない」というお母さんのお声をよく耳にします。私としては、もう少し踏み込んだ治療でなんとかして差し上げたいという思いから、お薬だけの対処療法ではなく、舌下免疫療法などの積極的な治療も取り入れました。検査方法も、指先に細い針を刺すだけで41項目のアレルゲンに対する検査ができるので、お子さんへの負担が少なく効率が良い検査ができます。また、負担が少ないという意味では、紫外線による治療も行っています。
紫外線を利用した治療というのは、どんなものですか?
紫外線を利用したエキシマライト療法では、特定の波長の紫外線をスポット照射する機器を使います。アトピー性皮膚炎の治療の基本は、免疫とかゆみを抑えて皮膚をかかないようにし、清潔に保つこと。軟膏にマキシマライト療法を併用することもできます。アトピー性皮膚炎のお子さんの皮下には、かゆみを伝達するような神経が発達していますので、それを紫外線でたたくことでかゆみの緩和をめざします。また、免疫の異常な働きによって起こる炎症の抑制にもつながります。軟膏以外にも注射や内服薬など治療法はいろいろありますが、エキシマライト療法はスポットで治療するため、注射や内服薬などと比べると比較的副作用も少ないのです。発がんリスクを気にされる方もいらっしゃいますが、線量に関してはそういったことが起こらないようにコントロールされていますので、ご安心ください。
子どもだけでなく高齢者の病気も診ていらっしゃいますね。

高齢者の方は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を抱える患者さんが多く、そういった方にもかかりつけ医としてしっかりと対応していきたいと考えています。例えば糖尿病では、血液検査の開始10分未満でHbA1Cと血糖値を把握できるシステムを備えていますし、内服治療の他、食事指導なども行っています。お子さんの診察のついでに、親御さん、おじいちゃんあばあちゃんの気になる症状も一緒に診ることができるよう、日々いろんな領域の勉強を重ねています。また、ちょっとした切り傷や粉瘤の外科的処置をはじめ、イボ、うおのめ、巻き爪、水虫なども対応可能ですし、腰や膝痛に対する関節注射やブロック注射も可能です。奥美濃の病院で、スキーヤーの骨折や脱臼に多く対応してきた経験もありますから、脱臼や突き指などもお任せください。
感染症の検査体制も充実し、早期に診断
感染症の患者さんにはどのように対応していますか?

新型コロナウイルス感染症の流行の中でのリニューアルオープンとなり、当院も大変でした。5類感染症に移行して1年が経過しましたが、感染症がなくなるわけではないですから、発熱患者さんは別室で対応しています。さらに流行時の経験を踏まえ、検査体制も充実させました。PCR検査では発症早期でも検査が可能なNEAR法という検査方法も採用し、マイコプラズマ肺炎や百日咳など15項目の感染症の判別ができる機器を使っています。NEAR検査は、鼻の手前だけをぬぐって検査できる上、PCR検査よりも結果が早く出るのも利点ですね。鼻の奥に痛みを伴う鼻腔検査が苦手な方には、喉をカメラで診てインフルエンザかどうかの判別の補助を行う検査機器も用意しています。専用の内視鏡カメラで喉を映すだけで、AIの解析により数十秒で結果が出るため、発症12時間以内でインフルエンザの早期診断ができます。
患者さんとはどんな思いで接していますか?
大学時代の教授が「患者さんが自分の家族だったらどうするか、患者さんの立場に立って一生懸命考えて手を尽くしなさい」と、常々おっしゃっていたことが心に残っています。親身になって診療するという姿勢を教わり、私もその言葉を胸に、患者さんに寄り添った診療を心がけています。患者さんに少しでも健康に関心を持っていただけたら良いなと思い、ブログなども書いています。
今春からクリニックの院長になられたとのことですが、先生がめざす医療についてお聞かせください。

病院と地域のクリニックの連携が成り立ってこそ、日本国民の健康が保たれると思っています。その人の状態に応じて適切な病院を紹介したり、必要であれば訪問診療をするなどしながら、地域とつながっていたいですね。社会的には医療費を抑制する方向へと進んでいますが、一般的な病気を地域の医療者が診ていく中で重大な病気を見つけ、急性期病院につなげるという形でこれまで成り立ってきました。なので、これからも一般的な病気を幅広く診て、患者さんに寄り添いながら診療を続けていきたいと思っています。家族のどんな病気も診る総合医療をめざし、ファミリアクリニックと名づけました。英語のファミリアという言葉には、「おなじみの」「親しみのある」「家族的な」という意味合いがあります。今後も地域でおなじみの気軽に相談できるクリニックをめざしていきます。

