子どもの風邪は何科にかかる?
耳鼻咽喉科と小児科の違いを検証
座間耳鼻咽喉科クリニック
(座間市/座間駅)
最終更新日:2023/10/12
- 保険診療
子どもが咳をしていたり、鼻水を垂らしていたりしたときに、耳鼻咽喉科と小児科のどちらを受診しようか迷う親も少なくないかもしれない。また、子どもの場合はとりあえず、どのようなことでも小児科に行けば良いと考えている人もいるだろう。「それは間違いとは言いきれませんが、耳鼻咽喉科であれば、耳や鼻、喉の診察に使う機器や器具がそろっていますので、より適切な診断や処置、治療をすることが望めます」と話すのが、「座間耳鼻咽喉科クリニック」の内藤永恵院長だ。そこで、内藤院長に耳鼻咽喉科を受診することのメリットや小児科との使い分けなどについて、詳しく教えてもらった。
(取材日2023年9月29日)
目次
病気の診断や薬の処方に加えて、適切な処置を受けることができるのも耳鼻咽喉科を受診するメリット
- Q子どもは、どのようなときに耳鼻咽喉科を受診すればいいですか?
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A
耳鼻咽喉科は、その名前のとおり耳や鼻、喉の病気を診る診療科です。それらは、小児科でも診ることはできるかもしれませんが、耳鼻咽喉科では診察や検査、処置をする機器や器具がそろっていますから、より適切な診断や治療につながると思います。子どもの受診理由で多いのは、鼻水が出ている、鼻が詰まっている、鼻が臭う、咳をしている、喉や耳を痛がっている、聞こえが悪そう……などがあります。意外と多いのは、異物を入れてしまったケースです。親御さんがちょっと目を離したすきに鼻にビーズを入れてしまったり、耳に綿棒を入れてしまったということがあります。これらの場合には、耳鼻咽喉科を受診したほうが良いでしょう。
- Q風邪のとき小児科と耳鼻咽喉科、どちらにかかるべきか迷います。
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A
難しいところがありますが、基本的に耳鼻咽喉科では、鼻水や鼻詰まり、咳などの症状の治療が中心で、腹痛や下痢などは小児科の範疇(はんちゅう)です。ただし、咳がひどい場合には気管支炎や喘息の可能性があり、重症化すると危険ですので、診察をした上で小児科に行ってもらうようにしています。一方で、耳鼻咽喉科であれば、鼻水が出ていたら吸引ができたり、喉が荒れていたら吸入で少し潤したりなど、症状を楽にするための治療ができます。まずは相談しやすいほうを受診していただいて、そちらの医師から耳鼻咽喉科や小児科を受診するよう勧められたら、指示に従っていただくのが良いのかと思います。
- Q子どもに多い中耳炎や副鼻腔炎も耳鼻咽喉科の専門分野ですね。
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A
中耳炎では、耳を痛がっている、聞こえが良くないなどの症状があります。耳鼻咽喉科では、内視鏡などで耳の中を詳細に診ることがことができますし、症状がひどいときは鼓膜切開をすることがありますが、専用の器具や技術が必要です。また、最初は中耳炎で痛みを感じていても、その後に痛みを感じない中耳炎に長引いてしまうことがあり、治療が中途半端だと難聴などの後遺症が残ることもあります。ですから、耳鼻咽喉科で最後までしっかり治療することが大切です。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の子どももたくさんいて、その2つが合併していることがあります。そういうことは専門家でないと気づきにくいですから、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。
- Q子どもは痛みに敏感ですが、どのようなことを心がけていますか?
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A
当院では、スタッフが優しく接してくれていて、「痛くないよ」「ちょっとだけ我慢しようね」など声かけをしてもらって、その間に必要な処置をしています。ただ、大人と違って子どもは、予測のつかない動きをすることがあります。怖がって急に動かれると器具で傷つけてしまう可能性がありますので、処置などをするときには優しく接しながらも、頭などはしっかりと押さえて、動かないようにすることも気をつけています。さらに、普段耳を触られることに慣れていない子どもは、耳を触っただけで騒ぐことがあります。親御さんが時々、耳の入り口を綿棒などできれいにしてあげていると、触られるのに慣れて、恐怖心も少なく受診できるでしょう。
- Q耳鼻咽喉科のかかりつけ医を持つメリットを教えてください。
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A
子どもは、年がら年中鼻水を垂らしていることがほとんどです。そのようなときに、鼻水が出ているから診てほしい。鼻を吸引してほしいというようなことでも相談していただいたら、お子さんも楽になりますし、何か病気があったら早期発見が望めます。加えて、最近のお子さんは鼻をすすることが多いですが、そうすると中耳炎になりやすいんですね。ですから、鼻はすすらせずにかむようにしてくださいと親御さんに話しています。こうしたちょっとしたことのアドバイスを受けられるのも良いことだと思います。当院で診察した結果、小児科に診てもらったほうが良いと判断した場合にはそう伝えますので、心配ならまずは受診してほしいと思います。