早期発見がその後を分ける大腸がん
リスクから目を逸らさず検査を
ほんあつ胃腸科・内科クリニック
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日:2023/07/14
- 保険診療
がんの中でも亡くなる人の多いがんが大腸がんで、女性ではがん死亡数の第1位となっている。「症状が出づらく、検診の受診率も低い大腸がんは、末期でようやく見つかるケースが多いです。ただし、早期に見つけて治療すれば、比較的予後を良好に過ごすことが望めます」と話すのは、本厚木駅南口に2023年5月にオープンした「ほんあつ胃腸科・内科クリニック」の新井英二院長。家族を消化器の病気で亡くした経験から、消化器腫瘍を専門に早期発見の重要性を啓蒙し続けている。そんな新井院長に、改めて大腸がんの早期発見について、知っておくべきことを聞いた。
(取材日2023年7月3日)
目次
症状が出づらく末期になるまで見つけづらい大腸がんは、がんの中でも死亡数の多いがん
- Q大腸がんとはどのような病気なのでしょうか。
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A
大腸の粘膜に発生する悪性腫瘍の総称が大腸がんで、良性のポリープががん化するものと、正常な粘膜からじかに発生するものがあります。40歳くらいから増加し始め、年齢を重ねるほど罹患率が高くなります。罹患率の男女比では男性に多いといえますが、女性ではがんの死亡数の中でナンバーワンとなっており油断できません。肉を好み、野菜をあまり食べない食生活の人が大腸がんになりやすい傾向があり、運動不足や肥満、過度の飲酒や喫煙もリスクを上げると指摘されています。また、長い間便秘の状態が続くことも大腸がんのリスクを上げるとされており、特に便秘になりがちな女性では注意が必要です。
- Qとても恐ろしい病気なんですね。
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A
大腸がんは初期では自覚できる症状がほとんどなく、一般健診の検査項目では発見しづらい病気です。便潜血によりリスクを指摘することはできますが、それのみで大腸がんを鑑別することは難しく、診断には内視鏡検査が必要となります。大腸がんは比較的進行がゆっくりながんですが、進行すると粘膜の表面に発生したがんが腸壁から侵入し、リンパ節や肝臓、肺など別の臓器に転移します。死亡率自体は決して高いがんではありませんが、多くの方がかかることもあり、がん全体の中でも男女ともに死亡者数が多いがんとなっています。早期に発見すれば、内視鏡で切除することもめざせます。まずは検査を受けて早期発見に努めることが大切なのです。
- Q早期発見のためにはどのようなことができますか。
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A
まずは定期的に便潜血検査を受けましょう。排出された便をスティックで採取して提出するだけの非侵襲的な検査です。職場などでの健康診断に含まれていることもありますが、有料オプションとなっている場合や、自治体検診などご自身での申し込みが必要となるケースもあります。いずれにしても負担の少ない検査なので、40歳を過ぎたら年に1度は受けることをお勧めします。血便や便秘と下痢を繰り返す、便が細い、残った感じがあるなどの便の異常、腹痛や嘔吐といった症状がある場合には、早めにクリニックを受診しましょう。
- Qもし検査で陽性と出た場合はどうすれば良いのでしょうか。
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A
便潜血によるスクリーニング検査で陽性となった場合でも、すぐに大腸がんと診断されるわけではありません。ただし、大腸がんの可能性はある状態ですので、早めに消化器内科を受診しましょう。便潜血で陽性反応が一度でもあれば、大腸内視鏡検査を勧められることと思います。内視鏡検査を不安に思う方もいるかもしれませんが、便潜血検査を繰り返しても、それ以上詳しい病態が掴めることはありません。大腸内部の様子を知るためには、内視鏡検査やCT検査、バリウムによるエックス線検査などを受けるしかないのです。
- Q早期発見・早期治療のために取り組んでいることはありますか。
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A
肛門からスコープを挿入する大腸内視鏡検査を受ける心理的・身体的ハードルが、決して低くないことは理解できます。それでも、大腸内部を観察し、必要に応じて大腸ポリープを除去することも望める大腸内視鏡検査は、必要性の高い検査です。当院では新鋭の機器を導入し、経験に基づくノウハウで、できる限り苦痛の少ない検査を心がけています。大腸がんは早期に発見し根治切除がめざせれば、その後の生存率は高いレベルでの維持が期待できます。技術の進歩により、小さな大腸ポリープであれば、患者さんの負担も少なく済むでしょう。また一度検査を受けて問題がないことを確認できれば、その後数年は安心してお過ごしいただけると思います。