片山 文彦 院長、片山 大河 先生、片山 大地 先生の独自取材記事
小児科内科落合医院
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日:2024/09/20
厚木市温水、小田急線の本厚木駅からバスで15分ほどの住宅街にある「小児科内科落合医院」。1970年の開院以来、50年以上にわたり地域の人々の健康を守ってきた歴史あるクリニックだ。先代の院長からの診療モットーは、「体を診るだけでなく、心を診ることができる医師をめざす」。その想いは現在、片山文彦院長と長男の大河先生、次男の大地先生に引き継がれ、赤ちゃんから高齢者まで幅広い患者の笑顔を、心の通う医療で守っている。窓からは季節の花々をあしらった美しい花時計が眺められる居心地の良い院内で、文彦院長と大河先生、大地先生に、かかりつけ医としての真摯な思いを聞いた。
(取材日2024年7月23日)
体だけでなく心も診る医療で50年を超え地域に根差す
たいへん歴史のあるクリニックだと伺いました。
【文彦院長】初代院長である私の義父・落合豊が開院したのが1970年で、50年以上にわたり地域医療に貢献してきました。2005年に現在の建物が完成し、2代目院長として私が「体を診るだけでなく、心を診ることができる医師をめざす」という義父の思いとともに当院を引き継ぎました。私の専門は小児科ですが、循環器内科を専門とする大河先生も迎えて赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで、3世代にわたる患者さんたちのかかりつけ医として病気への不安を取り除き、皆さんの健康を守りたいという思いで幅広い診療に対応しています。新たに大地先生も加わり、より診療体制を充実させることができました。
現在の診療体制について教えてください。
【文彦院長】非常勤で診療してくださる先生方もいらっしゃり、ほとんどすべての診療日で医師2人の体制を取れています。
【大河先生】私は普段は大学病院に勤務し急性心不全や不整脈、急性心筋梗塞や狭心症などの心疾患を多く診ています。現在は火曜のみ当院での診療を担当し、専門である心疾患や、そのリスクも高めてしまう高血圧症や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群といった方を診させていただいています。
【大地先生】いずれは当院に戻るつもりで小児科を専門に選びました。以前から月に数回の診療を担当してきましたが、この度本格的に当院に軸足を移し、小児診療を担うこととなりました。
ご家族で診療するにあたり、あらためて感じていらっしゃることはありますか?
【大地先生】スムーズに医療チームに加われたのは家族ならではの気安さがあったからこそかもしれません。現在は、長く地域の皆さんとの信頼関係を築いてきた父の背中の大きさをあらためて実感しているところです。また、乳児健診で心雑音があった際など、循環器の専門家である大河先生に相談できるのは心強いです。まずは「院長先生のほうが良かったのに」と言われないように頑張ります。
【文彦院長】若く、馬力も十分な2人には、好きなことをどんどんやっていってほしいと思っています。それが結果として医院の発展につながれば、これ以上のことはありません。
【大河先生】大地先生とは専門が異なることもあり、意見がぶつかるようなこともないですね。本音を言い合えるのは良いことだと思っています。家族だからといってなれ合いになるのは避けなければいけませんね。
地域の健康を支えるため、一次予防、二次予防にも注力
診療方針を教えてください。
【文彦院長】「体だけでなく心を診る」というのが先代からのモットーですが、加えて病気になる前からアプローチする「予防する医療」が大切だと考えています。
【大河先生】大学病院で重症化した患者さんを診る度に「もう少し早く見つけられていれば」と悔しく思うことがあります。患者さんからすると手術などで病気を治療してくれる医師のほうがありがたいと感じるのかもしれませんが、地域に根差してその健康意識を高め、病気を早期に発見・治療して重症化を避ける一次予防も大切な医療です。当院では、管理栄養士による食事指導を含めた生活習慣改善のアドバイスを提供し、質の高い検査と丁寧な問診で病気の早期発見に努めています。
【大地先生】共働きが増え、受診の負担が大きくなるなど、子育てを取り巻く状況は変化してきています。予防意識を向上させれば、不必要な受診で大切な時間を無駄にすることを避けられますね。
患者さんの予防意識向上のために取り組んでいることはありますか?
【大地先生】SNSでの情報発信を始めました。診察室で親御さんから「ネットに書いてあったのですが」と言われることがありますが、正しい情報もあれば大幅に間違っているものもあります。医療に関わる情報の正誤判断は、一般の方には難しいところもあるでしょう。判断がつかない場合は小児科で医師にご相談いただきたいところですが、忙しくてそれも難しいという方に対しては、SNSでの発信が有効と考えました。また、オンライン診療も開始しています。
【文彦院長】医師はただ病院で患者を待っていればよいというのは昔のスタイルで、積極的に情報を発信することも必要な時代なのかもしれません。
ニーズに合わせた対応が求められる時代ということでしょうか。
【大河先生】それはありますね。当院にも「心臓の専門だと聞いてきた」とおっしゃる方がいるように、医師もそれぞれの専門を提示して患者さんに選んでいただく時代であることを感じています。これまでの広く診られる地域医療に加えて、地域医療でも専門性が求められていると思います。
時代とともに変化を続け、常に求められるクリニックに
在宅医療にも対応しているそうですね。
【大河先生】通院が困難になっても最後まで責任を持って診させていただけるよう、在宅医療にも注力しています。在宅医療のいいところは、クリニックの診療ではわからない患者さんの住環境や家庭での様子がわかること。患者さんが家でご家族のサポートをどのように受けているかなどを把握できれば、よりパーソナリティーに配慮したきめ細かな診療が可能になります。
【文彦院長】医療的ケア児のショートステイ事業所も院内に併設しました。利用を希望される方はご相談ください。
【大地先生】発熱や発疹で登校、登園ができないお子さんを日中預かる日帰り入院は、新型コロナウイルスの流行を機に休止としましたが、いずれ再開できればと模索中です。
今後の展望を教えてください。
【文彦院長】いずれは循環器を軸とする内科を大河先生、小児科を大地先生に担ってもらう予定です。互いを尊重しながらサポートし合い、常により良い医療の提供をめざして切磋琢磨してほしいです。大地先生は新生児からの発達分野での経験を豊富に持っていますし、小児の発達を専門とする先生にも診療をお願いしています。
【大河先生】温故知新、「古きをたずねて新しきを知る」を大切に、先代や現院長が紡いだ伝統を守りながら、時代のニーズにも応える医療で地域に貢献していきたいと考えています。
【大地先生】時代とともに柔軟に変化しながら、患者さんに求められるクリニックであり続けたいですね。
読者に向けてメッセージをお願いします。
【大河先生】当院のようなクリニックは、最初にかかる医療の窓口のようなものだと考えています。「何科を受診すれば良いかわからない」といった際にも、気軽にご相談いただければと思います。
【大地先生】オンラインを含む診療はもちろん、情報発信なども通して、親御さんが子育てを楽しめるようサポートしていきたいと考えています。お困り事、気がかりなどはどんどんご共有いただき、一緒に解決策を探っていきたいですね。
【文彦院長】最近は、以前幼かった患者さんがお子さんを連れて来院される姿も見られ、うれしく拝見しています。いくつになっても家族で通い続けられる、世代をまたいでのホームドクターであり続けられるのが当院の大きなメリットです。ぜひ、長くお付き合いをいただければと存じます。