繰り返す咳、長引く咳
もしかしたら「隠れ喘息」かも
医療法人社団 さくまこどもクリニック
(藤沢市/湘南台駅)
最終更新日:2025/12/19
- 保険診療
「風邪をひく度に咳が出る」「風邪の後に咳が長く続く」など、子どもが風邪をひく度に、こうした状態に気がかりを覚える保護者もいるだろう。「繰り返す咳や長引く咳は、『隠れ喘息』によるものの可能性があります。わかりやすい症状は見られないものの、丁寧に診察すると気管支に慢性的な炎症が見られるのが隠れ喘息。近年、この状態にあるお子さんが増えているようです」と話すのは、藤沢市湘南台の「さくまこどもクリニック」で診療する佐久間秀哉院長。隠れ喘息は従来の喘息のように発作を伴わないため見逃されていることも多く、治療を受けないまま成長してしまう子が多い現状を危惧しているという。しっかりと見極め、適切な治療を受けさえすれば、治癒も期待できるという隠れ喘息。気になる詳細を佐久間院長に聞いた。
(取材日2023年10月12日/情報更新日2025年12月10日)
目次
繰り返す咳や長引く咳の症状は、見落とされがちな「隠れ喘息」の可能性も。気になることがあれば受診を
- Qそもそも「隠れ喘息」とはどのような病気なのでしょうか?
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A
▲広々とした待合室にはかわいらしいキッズスペースがある
隠れ喘息とは、喘鳴や呼吸困難を伴う発作といった目に見えてわかる症状はほとんど出ませんが、長引く咳が主な症状の喘息のことです。胸の音がきれいなため、一般的なクリニックでは「喘息ではない」と診断されてしまうケースが少なくありません。そんな隠れ喘息は風邪をひくといったきっかけで咳が長引いたり、急にひどい症状が出たりしてしまいます。通常の喘息と同様、隠れ喘息もきちんと治療を行えば治癒を望める病気です。呼吸音が正常でも気管支に炎症がないとは限りませんので、咳が長引く、または一度よくなった咳がすぐに再発するなどあれば相談してください。
- Q隠れ喘息のサインについて、具体的に教えてください。
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A
▲子どもだけでなく、大人も発症する喘息
咳だけが長引く場合、また、家系的に喘息持ちの可能性がある場合は隠れ喘息の可能性が高いと思われます。隠れ喘息はアレルギーを専門とする医師でも見落とすことがある病気ですので、通常の診察方法とは違った見方をしないとわかりません。ちなみに隠れ喘息についてはまだ十分に把握されておらず、未治療だと将来どのようなリスクがあるかのエビデンスはありません。ですがしっかり治療すると気管支の構造が変わってしまうリモデリングを防ぐことが期待できます。大人になってから喘息の症状が出る方の中には、幼少期に隠れ喘息だった可能性もあります。さらに喘息はCOPDの発症にも関わるという指摘もあります。
- Qこちらでは隠れ喘息を見落とさないようにどのような工夫を?
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A
▲資料などを用いて、丁寧に説明を行う
呼吸時に風車などを利用して深く呼吸をした時の音を聴き、気管支の状態を確認します。風車を使っても音がしない場合は、気管支拡張剤を吸入してもらいます。深い呼吸をしてもらったり、気管支が炎症を起こしたりしていると、ヒューヒュー、ゼロゼロとした音が出てきます。こうした症状は深く呼吸をしない通常の聴診ではまったく音はせず、肺音はきれいということで喘息ではないと診断されてしまいます。喘息とは呼吸音がヒューヒュー、ゼーゼーするものと思われがちなので、一般的な聴診では見落とされることが少なくないのです。これを隠れ喘息と呼んでいます。
- Q隠れ喘息の検査・治療の流れを教えてください。
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A
▲適切な吸入薬の選択と吸入補助具の使用が大切
呼吸機能検査にはさまざまなものがあります。しかし、毎回受診時に行うことはできません。この方法だと毎回気管支の状態を把握することができます。治療は基本的に、まずは炎症をしっかり抑える目的で、短期間だけステロイドの内服薬を用います。その後は抗ロイコトリエン剤、気管支拡張剤、去痰剤を使用します。また吸入薬を使うこともありますが、幼いお子さんでは十分に吸いきれないことも多いため、当院ではスペーサーの併用をお勧めしています。喘息の治療は気管支の状態を正常化することです。最終的には気管支がリモデリングしないように治療することが重要なのです。
- Q隠れ喘息に関して気をつけるべきことはありますか。
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A
▲専門的な知識を持つ医師に相談してほしいと語る佐久間院長
喘息はアレルギーが要因として指摘されることもありますが、これまで診療してきた中で感じることは、アレルギーは増悪因子ではあっても発症因子ではないのではないかということ。どんなに環境を整備しても、感染によって喘息が増悪することもよくあります。しかし喘息がダニやホコリ、ペットを飼うことなどでさらに治りにくくなることがあります。また喘息が起こっている状態に気づかずに、アレルギーの負荷試験を受けるのはたいへん危険です。咳がなくなったから治療が終わるのではなく、日常の気管支の状態を把握し、常に良い状態を保ち将来気管支がリモデリングを起こさないよう適切な治療を続けることが大切です。

