山本 篤志 院長の独自取材記事
山本眼科医院
(平塚市/平塚駅)
最終更新日:2024/11/20

平塚の地で60年以上にわたり診療を続けてきた「山本眼科医院」。網膜疾患の分野で研鑽を積んできた山本篤志院長を中心に、数人の医師が在籍。多様な眼科診療に対応している。白内障や緑内障など自覚症状に乏しい目の病気は多く、患者は自分の見えづらさに気づかないこともよくあるそうだ。「しかし治療によって視力の回復が望めたら、以前より食事や外出も楽しめるなど生活の質は向上するでしょう」と大らかな笑顔で語る院長。高齢者に多い白内障の治療にも力を入れ、症状や患者の希望に合わせて単焦点や多焦点、また乱視矯正用のレンズにも対応している。平塚の地域医療に貢献するため、今もなお努力を続ける山本院長に話を聞いた。
(取材日2023年12月21日)
地元である平塚で一人ひとりの目の悩みに向き合う
平塚の地で60年以上診療されていると伺いました。

当院は私の親戚が戦後間もなく開院した眼科医院がルーツで、以来60年以上も平塚駅近くで診療を続け、地域の皆さんにも親しまれてきました。1980年に私の父が院長として当院を承継し、2019年にさらに私が引き継いで院長に就任しました。担当日は減りましたが、父は今も当院で診療を続けています。これまでの診療方針や患者さんへの接し方などを大切にしながら、医療の進歩に合わせて時代に即した医療を提供する眼科医院として進化し続けていきたいと考えてます。
診療面ではどんな特色があるのでしょうか?
当院は私の他に、常勤の医師、大学病院から来ている非常勤の医師、また先代院長である父も週1日診療を行っており、多様な眼科診療に対応しています。私自身は大学病院で長年診てきた網膜疾患が専門で、眼球内部の大部分を占める硝子体や、網膜中心部にある黄斑の病気、網膜剥離などの外科治療を得意としています。加齢黄斑変性症の患者さんも多く診療し、高齢の方に多い白内障の診療経験も豊富です。さらに当院全体では白内障、網膜硝子体、緑内障、眼瞼下垂症、角膜屈折矯正手術といった手術に力を入れています。白内障や網膜硝子体の手術は日帰りでも可能です。
診療の際に大切にしていることを教えてください。

患者さんがご自分に合った診療計画や治療法を選ぶ参考となるよう、症状を丁寧に説明した上で、医師としてどの治療法を勧めるかの助言まで行うようにしています。診察室には大きなモニターを設置し、これに患者さんの目の状態を示す画像、眼底・眼圧の検査結果、白内障になった水晶体の様子、OCTで網膜の断面図を写した画像など、さまざまなデータを組み合わせて提示します。例えば、黄斑変性症なら網膜の断面図が凹凸していて、外部からの光をうまく受け止められないなど、画像・映像を使って説明すると症状の進み具合や治療経過も一目瞭然です。そうして納得した上で治療を受けられれば、その後の通院も熱心にしてくださったりと、結果として経過が良好に進んでいけることが多いと考えます。
単焦点や多焦点、乱視用レンズにも対応する白内障手術
特に力を入れている治療は何でしょうか?

当院では白内障の治療に力を入れており、2023年1月から12月の1年間で1200件の白内障手術を行いました。白内障の主な要因は加齢で、程度の差はあっても誰もがかかる恐れのある病気なんです。濁った水晶体を眼内レンズに置き換えることをめざすのが白内障の手術。発症しても視力に影響が出ないこともありますし、何も不便がなければ手術を受ける必要はないでしょう。ですが、80歳を超えての手術にはリスクもあることを知ってほしいと思います。なぜなら年齢を重ねると合併症が起こりやすくなるからです。また水晶体が硬くなったり、水晶体を支えているチン小帯が弱って切れてしまうこともあるんですよ。視力に影響が出始めたら、目も体も元気なうちに手術を受けることをお勧めします。「目がかすんで見えにくくなった」と感じたら、一度検査にいらしてください。
白内障治療で使う眼内レンズについて教えてください。
保険が適用される単焦点レンズと、自由診療となる多焦点レンズがあり、多焦点レンズではコンピューター制御のレーザーによる手術にも対応しています。多焦点レンズには長所も多いのですが、自由診療ですので料金は高額です。患者さんが何に重きを置くかによって、自由にお選びいただければと思います。また乱視を許容範囲内にするためには、単焦点・多焦点ともに乱視矯正用のレンズが有用です。緻密な前眼部計測を行い、乱視の度合いに合わせてレンズを選びます。検査が少し増えて手術時間が3分ほど長引きますが、せっかく手術を受けるのですから、乱視の方にも眼鏡のいらないクリアな視界を取り戻すことをめざしていただきたいですね。
そのほか注意すべき病気などはありますか?

進行しても失明するケースが少ない白内障とは違い、治療が遅れると失明の可能性も高まる病気が緑内障です。緑内障は視神経が弱って物が見えにくくなる病気で、見えにくさは視野の周辺部から始まります。それが10数年かけて広がり、視野の中心部まで見えにくくなる末期にようやく自覚できるため、患者さんが気づく頃には手遅れのことが多いです。早期発見には定期的に眼科で検診を受けていただくことが何よりです。また働き盛り世代に多いのがドライアイで、目がかすむ・疲れやすい、何かを集中して見ていると頭痛がするといった症状は、この病気を疑ったほうがいいかもしれません。幸いそうした症状の改善を図り、必要な涙の成分を補うための点眼薬も出ていますので、こちらも早めの受診をお勧めします。
気づきにくい目の病気。違和感があれば気軽に相談を
他科との連携についてもお聞かせください。

例えば、眼科で糖尿病網膜症が疑われる患者さんが見つかれば内科で検査をお願いしたり、視力が落ちて転倒した患者さんは整形外科をご紹介したりと、医療モール内でも連携を図るようにしています。この医療モールは数年前に立ち上げたのですが、公園のように地域の皆さんが集まれて、心安らぐ空間にしたいという思いから「パーク」と名づけました。この場所が地域の医療拠点となれればうれしいですね。
先生が眼科の医師をめざされたのは、やはり先代院長の影響でしょうか?
はい。私の父は白内障や緑内障が専門で、早くから入院設備を整えて手術を行うなど先駆的な取り組みをしていました。また家に戻っても手術のビデオを見て勉強するなど、医療に真剣に向き合う姿も印象的で、私も自然と眼科の医師をめざすようになったんです。日本大学医学部卒業後は付属の板橋病院や駿河台にある大学病院の眼科で経験を積み、大学院修了後は網膜疾患の治療に関する研究にも携わりました。充実していましたが、父の後を継ぐことを考えて当院を手伝いはじめ、2016年から当院の常勤になったんです。父の専門性の高い技術はもちろん、患者さんやスタッフに優しいことも尊敬できる部分です。早くから手術に力を入れていた先見性を私も見習って、高度な眼科診療までカバーできるよう努力しています。
最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。

白内障や緑内障、各種の網膜疾患は自覚症状に乏しく、気づかないうちに症状が進んでいることがあります。特に片方の目で病気が進行している場合、両目で見ているとなかなかわかりませんから、時には片目で遠くから近くまで見てみるなど、セルフチェックをしてはいかがでしょうか。また、高齢のご家族が「最近よくつまずく」「外出することが減った」「趣味だった読書や手芸を避ける」といった状況なら、白内障などで周囲が見づらいのかもしれません。以前とは生活ぶりが変わったとご家族が感じるときは、眼科の受診を勧めていただくといいでしょう。もちろんこうした異常がなくても、50歳以降は年1回くらいのペースで眼科検診を受けていただくと、白内障や緑内障の早期発見につながると思います。ご自身はもちろんご家族のことでも、目のお悩みがあればお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは多焦点眼内レンズでの白内障手術/30万円~、有水晶体眼内レンズ/35万円~、乱視矯正用レンズでの白内障手術/32万円~
※詳細はクリニックへお問い合わせください。