身体的負担の少ない経鼻内視鏡検査で
胃がんの早期発見を
医療法人社団北三会 中央内科クリニック
(横須賀市/横須賀中央駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
胃がんは、胃壁の内側の粘膜にできる悪性腫瘍。進行すると胃壁の中にまで侵入していき、その度合いによって早期がんと進行がんに分けられる。早期発見すれば治癒も期待できるとされるが、早期胃がんの多くは無症状で気がつきにくいため定期的な検査が重要だ。特に早期の場合、病変部のわずかな隆起や変色でしか認識できないことが多く、発見には内視鏡検査が推奨される。「経鼻内視鏡検査は、従来の経口内視鏡検査と比べ不快感や痛みが少ない検査です」と話すのは、長年、内視鏡検査・治療に携わってきた「中央内科クリニック」の松岡幹雄院長。患者負担の少ない経鼻内視鏡検査とはどのようなものなのか。定期的に受けるべき検査だからこそ知っておきたい経鼻内視鏡検査の流れを聞いた。
(取材日2015年12月28日/再取材日2021年5月17日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q胃内視鏡検査の目的について教えてください。
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A
胃がんを早期発見する上で、有用な手段の一つが内視鏡検査です。胃がんは早期発見できれば、内視鏡での治療も可能なので、切除を避け胃の機能を残す治療を選択できます。特に胃がんの主な原因となるピロリ菌を除去した後は、胃のちょっとした色調の変化や粘膜のへこみなど、他の検査では判別しづらい部分から早期胃がんの発見に至ることが多いので、内視鏡検査が適しているといえます。ピロリ菌除去後も胃がんのリスクがゼロになるわけではないので、早い段階で胃がんを発見するためにも年に1度の定期的な内視鏡検査をお勧めします。
- Q経鼻内視鏡の特徴を教えてください。
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A
挿入時にスコープが舌根部に触れない経鼻内視鏡検査では、経口内視鏡検査のような不快感や痛みがほとんどありません。経口も経鼻も検査精度はほぼ変わらないですし、マスクを着用したまま検査ができるので、唾液の飛散も経口よりずっと少なくなります。また、喉に麻酔をかける必要がないので誤飲の恐れもないでしょう。経鼻内視鏡検査は鼻の局所麻酔で行いますから、例えば「息を吸ってください」「声を出してください」など、患者さんの協力を得ることでより精密な検査ができます。保険適用の検査で、自己負担額には個人差がありますが、経口内視鏡検査より高いということはありません。
- Q内視鏡検査で大切なことは何でしょう?
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A
内視鏡検査に関しては、経験を積んだ医師のもとで受けることをお勧めします。医師が経験を積むためには、自身が撮った写真だけでなく、他の医師の写真も含めいろいろな症例を見ることが大切です。横須賀市の内視鏡検診では、検査を行った医師だけでなく、二次読影といって医師会の他の医師によるダブルチェックが行われます。他の人が見ることを意識した写真を撮ることで、クリアな写真を撮る技術も向上しますし、読影の経験を多く積むことで画像を見極める目が養われていきます。早期胃がんの発見には、ちょっとした変化を見逃さないことがとても重要ですから、内視鏡検査に精通した医師のもとで検査しましょう。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診
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検査に先駆けて、必ず一度は来院し、胃がんリスクや検査の必要性、経口内視鏡、経鼻内視鏡それぞれの検査の特徴や検査時の注意点についてなどの説明を受ける。経鼻内視鏡検査を受けるにあたっては、アレルギー性鼻炎や花粉症、耳鼻科疾患の有無なども確認。検査前日22時より固形物の絶食が必要だが、検査当日の朝であっても水は飲むことができる。
- 2検査準備
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胃の中をきれいにするための消泡剤を飲み、横になって数回寝返りを打つことで胃壁に薬をまんべんなく接触させる。その後、鼻腔を広げる薬、局所麻酔薬をそれぞれスプレー。局所麻酔ゼリーを塗布した経鼻スティックを鼻腔に入れて検査を待つ。鼻の局所麻酔のみなので、医師や看護師との会話も可能。
- 3内視鏡挿入
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麻酔薬の作用が最大になる15分後に検査開始。横向きに寝て、目の前のモニターにリアルタイムで映し出される映像を見ながら、スコープを挿入される。細くしなやかなスコープを用いて、内視鏡が舌の根元に触れないようにすることで、吐き気を催しにくい検査が可能に。鼻からスコープを挿入するので、マスクをしたまま検査を受けることができる。
- 4内視鏡検査
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スコープを入れている時間は約5~6分。必要があれば生検用の組織採取も同時に行われる。検査中は目を閉じると力が入り痛みが出ることがあるので、目を開いて、自身の内部映像を確認しながら体をリラックスさせていく。検査中は、会話が可能で、気になることがあればその場で確認することもできる。体を動かさず、唾液を飲まないよう注意。
- 5診断
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検査は1時間弱で終了。検査によって得られた静止画はUSBメモリーに保存され、診察室のモニターで見ることができる。食道、胃、十二指腸など各部位の状態と、炎症がある部位などの説明を受ける。検査後は鼻を強くかまないよう注意。検査後すぐの食事が可能だが、生検用の組織採取をした場合に限って、検査後2時間は食事をしないこと。