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松岡 幹雄 院長の独自取材記事

医療法人社団北三会 中央内科クリニック

(横須賀市/横須賀中央駅)

最終更新日:2021/10/12

松岡幹雄院長 医療法人社団北三会 中央内科クリニック main

横須賀中央駅の東口を出てすぐのビル内にある「中央内科クリニック」。消化器内科の医師として横須賀市内で30年以上のキャリアを積み重ねてきた松岡幹雄院長が、2007年に開院したクリニックだ。特に内視鏡検査に力を入れており、ベテランドクターとしての経験に加え、穏やかな物腰と丁寧な説明で地域住民からの信頼も厚い。クリニックでの診療だけでなく、医師会の中心人物として横須賀市の「胃がんリスク検診」導入にも尽力。患者一人ひとり、そして地域全体の健康を守るため、日々の診療と活動に余念のない松岡院長に話を聞いた。

(取材日2021年5月17日)

内視鏡検査に注力するベテランドクター

どのような患者さんが多くいらっしゃいますか?

松岡幹雄院長 医療法人社団北三会 中央内科クリニック1

基本的にはご高齢で、生活習慣病を持つ方が多くいらっしゃいます。また、立地が駅前ということで、仕事帰りに「風邪や腹痛の症状があるので診てください」と言って来院される方もいらっしゃいます。内視鏡を希望して来院される方や他医院の先生からのご紹介で来られる方も多いですね。ここでは内視鏡の手術は行っていませんが、食道・胃・十二指腸など上部消化管の内視鏡検査を行っています。検査の際に胃がんのリスクを高めるピロリ菌の有無をチェックして、ピロリ菌がいれば除菌し、ピロリ菌がいなくなったという判定を行った後は、経過観察をしっかり行っていきます。手術が必要と判断すれば、医療連携している横須賀共済病院や市立うわまち病院で手術ができるように紹介しています。

先生が医師をめざされたきっかけと消化器内科をご専門に選ばれた理由を教えてください。

父と兄が医師だったことから、私も自然と医師をめざすようになりました。国家試験を受ける頃には、内科医師になろうという思いがすでにありましたね。医師としての1年目は大学病院に残り、内科医師としてスタートしました。2年目に勤務した横須賀共済病院の上司は、内視鏡診断を得意としていました。その姿を間近で見て、一緒に診療を行っていくうちに、内視鏡を用いた診断と治療の腕を磨きたいと考えるようになりました。内視鏡を使うことで胃の中を直接目で見ることができ、組織を取ってきたり、また胃潰瘍で出血しているのを止めるための処置もできる。診断と治療が同時にできるという点に大きな魅力を感じていました。

そこから長年、内視鏡治療に注力されてきたのですね。

松岡幹雄院長 医療法人社団北三会 中央内科クリニック2

内視鏡を使った止血治療により、出血性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍で開腹手術をする患者がかなり減りました。内視鏡のおかげで手術しなくて済んだ患者さんからはとても感謝され、それが大きなモチベーションになりましたね。自分としても、治療することができて良かったなと思います。出血を止めるための内視鏡治療の方法を大学病院などで勉強して、それを病院に持ち帰り導入していきましたので、当時勤務していた病院ではまだ私しかできない治療もありました。そういったことが、責任を持って内視鏡治療に取り組むことにつながったとのだと思います。今でも時間がある時はオンラインで勉強会に参加し、新しい知識と技術の取得に取り組んでいます。

発見率を高めるため「胃がんリスク検診」導入に尽力

先生は横須賀市の「胃がんリスク検診」にご尽力されたと伺っています。

松岡幹雄院長 医療法人社団北三会 中央内科クリニック3

横須賀市では2001年までバリウム検査による胃がん検診、2011年までは胃の萎縮の程度を診る血液検査かバリウム検査を行っていましたが、バリウム検査では胃がんがあまり発見できていないという状況にありました。私はその状況について危惧していましたので、横須賀市に対して「胃がんリスク検診」の導入を働きかけました。胃がんリスク検診は、血液検査で胃がんをはじめ胃の病気のなりやすさのリスクを層別化し、リスクが高い人には内視鏡による精密検査を行うというものです。胃がんのリスク検診に関わる先生方へ直接会いに出向き、横須賀市での講演依頼をお願いしたり、年間100件以上のバリウム検査を行っていた病院にはリスク検診の有用性をご説明しご理解いただきました。2011年には医師会と行政によるワーキンググループでバリウム検査の全廃と胃がんリスク検診の推進で話をまとめ、2012年導入に至りました。

胃がんリスク検診を導入されようと思われたのはなぜですか?

以前からリスク検診は良いと思っていましたし、バリウム検査による胃がんの発見が0件という年もあり、行政としてもどうすべきか悩んでいた時でしたので「今、行動するしかない」という思いでした。1回目の検診でリスクが低いとされた人は5年後に再度検診を受けることができるので、2017年からは最初の検査でリスクが低かった方の再検査も始まっています。横須賀市は「胃がんリスク検診」を導入して以降、全国でも胃がんと早期胃がんの発見率が高い自治体となっています。また、胃がんを1件見つけるコストを比べると、バリウム検診は胃がんリスク検診と内視鏡検査を合わせた場合の数十倍ですから医療費削減にもつながっています。2016年からは国が内視鏡検診を始めましたが、リスクのまったくない人も検査を受けることになるので、リスクのある人だけが内視鏡検査を受ける「胃がんリスク検診」はとても効率の良い方法だと考えています。

胃がんの主な原因は何なのですか?

松岡幹雄院長 医療法人社団北三会 中央内科クリニック4

日本人の胃がんの99%以上はピロリ菌が関係しているとされています。ピロリ菌に感染すると慢性胃炎になり胃がんへと進行する可能性が高い。つまり、胃がんはピロリ菌による感染症ともいえます。ピロリ菌は5歳ぐらいまでに感染することがほとんどで、感染後、胃はずっと攻撃され続けます。そのことから、若いうちにピロリ菌を除菌するほうが良いといわれています。そこで、横須賀市では、中学2年生を対象に公費でピロリ菌の検査を行っています。一次検査は尿検査、2次検査では精度の高い吐く息によって調べるUBT検査(尿素呼気試験)を行い、陽性の場合は小児に適応される薬を使った一次除菌、そこで効果が出なかった場合は高校1年時に別の薬で2次除菌を行います。保健所と教育委員会のご理解をいただくのは大変でしたが、ご協力を得ることができ2020年に導入が実現しました。

横須賀市における胃がん死亡数ゼロをめざして

先生が診療の際に心がけていることは何でしょう?

松岡幹雄院長 医療法人社団北三会 中央内科クリニック5

きちんと説明してあげることですね。初診で来院された患者さんで、「くしゃみ鼻水が出るので風邪を引きました」と自分で診断して来られる方もいらっしゃいます。そういう場合も、もちろん風邪の可能性はありますが、例えばインフルエンザかもしれないし、花粉症などのアレルギー性鼻炎かもしれないので、きちんとそういった可能性もご説明し、診断していくことが大切だと考えています。

今後の展望についてお聞かせください。

横須賀市が日本で最初に、胃がんで亡くなる方が0となるよう、信じて頑張っていきたいです。胃がんになることを0にするのは難しいですが、早期で見つかれば、多くの場合内視鏡で治療ができます。そうすれば胃を切らずに済みますから、手術の前後で、食生活が変わるということもありません。大きな計画なので、いつ達成できるかはわかりませんし、結果が出るのはまだ何年か先だと思いますが、一緒にやっていこうと協力してくださる若い先生方もいますので本当に心強いですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

松岡幹雄院長 医療法人社団北三会 中央内科クリニック6

内視鏡での検診を怖がらずに受けてもらいたいと思います。鼻から通す内視鏡検査は思ったより楽ですし、体への負担も少ない検査です。もし鼻からの内視鏡をやったことがある方が近くにいたら、経験談を聞いてみてほしいですね。胃がんは早期に発見できたら多くの場合内視鏡の治療で済みます。ピロリ菌がいなくなっても、決して胃がんのリスクが0になるわけではありませんし、直接目で見ないと診断できないようながんもありますから、ピロリ菌を退治した後も1年に1回は定期的に内視鏡検査を受けることが大切です。また、先ほどもお話したようにピロリ菌は家族内感染がほとんどですから、患者さんには親が陽性なら子ども、子どもが陽性なら親も調べたほうが良いとアドバイスしています。横須賀には内視鏡を得意とする医師がたくさんいますので、ぜひ定期的な検診を受けてもらいたいと思います。

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