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久保 篤彦 理事長の独自取材記事

ナーブ・ケア・クリニック

(横須賀市/県立大学駅)

最終更新日:2024/02/05

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック main

京急本線・県立大学駅より徒歩1分の場所にある「ナーブ・ケア・クリニック」。1991年の開業当初はMRI画像診断の専門施設だったが、現在は脳神経外科領域の疾患や頭痛、認知症、生活習慣病を中心とした外来診療を行っている。院長兼理事長の久保篤彦先生は日本脳神経外科学会脳神経外科専門医として同院の外来から訪問診療まで積極的にけん引。「脳神経から末端の末梢神経まで何でも相談してほしい」というスタンスは今も変わらず、患者本人だけでなく、家族をはじめ関わるすべての人や環境、社会的な要因などにも広く目を向けている。特に医療を通していかに満足感のある質のいい暮らしが提供できるかにこだわっているという。今回は、患者や診療に対する思い、そして発展を続ける訪問診療について詳しく話を聞いた。

(取材日2023年12月21日)

「調子はいかがですか?」という一言から診療が始まる

クリニック名には特別な思い入れがおありだと伺いました。

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック1

私が非常勤医として当クリニックに勤め始めたのは2006年からで、2020年に前理事長から引き継ぎ、院長兼理事長に就任いたしました。継承した際、「ナーブ・ケア・クリニック」という名称はあえて残すことにしたんです。ナーブ(Nerve)は英語で「神経」という意味。脳神経から末端の末梢神経までなんでも診るという、前理事長の強い思いに共感していましたし、私もこのクリニック名に恥じない診療をしなければいけないという決意を込めて引き継いだのです。当クリニックの診療の特性上、患者さんとは長い付き合いになることが少なくありませんので、一人ひとりにきちんと向き合い、寄り添っていけるよう、今もスタンスを変えず診療にあたっています。

診療で特に心がけていることはどんなことでしょうか?

大事なことは、きちんと耳を傾けることですね。私が診療するときは、「調子はいかがですか?」という問いかけをまず行うんです。「なんでも聞きますから、気軽に近況を教えてくださいね」という思いで、気軽なおしゃべりから始めます。すると専門分野に限らず、例えば足の痛みやかゆみ、便秘など、ご不安に感じることがいろいろと患者さんの口から出てくるのですね。そうしたお話から、解決する道筋を探っていくようにしています。神経系の疾患に付随してくる高血圧症、高コレステロール血症など持病を抱えた方や、動脈硬化が進んで脳血管障害のリスクが高まっている方などとは、一生のお付き合いになることもあります。加齢による体の変化なども鑑みて、病状が悪化しないように予防するため生活習慣の指導も行っています。

生活習慣の指導はどのように行っているのですか?

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック2

生活習慣は、食べ物の嗜好や住環境など一人ひとりの多様性が表れます。私が「こうしたほうが良い」と勧めても、なかなか変化を受け入れられない場合もあるでしょう。ですから、私はまず生活背景を聞いて、患者さんの生活においてどんなことをお勧めするのがベストかを考えていくようにしています。例えば「調子はどうですか」と聞いて、「毎日釣りばかり」と患者さんが答えたら、「どこの釣場に行きますか?」「何時頃に出かけるんですか?」と質問を重ねます。すると「結構歩いているな」とか「朝早く起きているな」などの副次的情報がわかってきます。例えば、血圧が高い人に「1日に塩分何グラム取っていますか?」と聞いても答えられないじゃないですか。でもそうやって雑談の中から科学的に類推すると、その方の特徴や習性をつかむことができ、情報を精査できます。そうして個々の患者さんに合った習慣改善を提案するようにしています。

ポータブルのエックス線撮影装置で訪問診療の幅を拡大

訪問診療にもたいへん力を入れておられると聞きました。

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック3

近年、横須賀市全体でもニーズが増えてきていると感じます。もともと当クリニックでは認知症の診療に力を入れ、訪問診療にも対応してきましたが、このところパーキンソン病をはじめとした神経難病の訪問診療のご相談も増えており、そうしたお悩みを持つ方の受け皿になりつつあると感じています。2023年の夏にはリュックサック型にまとまるポータブルエックス線撮影装置を導入し、さらにフットワークも軽くなっています。この機材の魅力は、現場で患者さんの状況を高精度で把握できるという点ですね。例えば、栄養を経口で取れない場合に栄養剤を胃に流入させる経鼻胃管管理を必要とする方は、鼻から管を入れ、それを定期的に入れ替えるという作業が必要ですが、自宅ではリスクを伴います。入れ替える際に誤って肺に入っていないか、ちゃんと胃に収まっているかを確認するには、エックス線撮影装置がある場所でしかできませんでしたから安心です。

診療の安全性向上にも大きく役立っているのですね。

ええ。そうやって自宅で判断できる範囲が広がると、移動困難なためにためらっていたことも相談できますし、患者さんの負担が大きく減っていくことになります。例えば自宅で転倒なさった方のところに訪問し、エックス線検査をすれば、骨折なのかどうかすぐわかります。今までは「エックス線検査をしないとわからないから、まずは整形外科に行きましょう」という判断でしたので、いわば蓋を開けてみないとわからない状態でした。つまり「わからないから、受診しましょう」という流れだったのです。しかし今は「状態がわかったから、○○科を受診しましょう」とお伝えできるんです。患者さんも複数のクリニックを受診する手間や負担の軽減につながっています。

ご家族の負担軽減については、どのように取り組んでおられますか?

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック4

自宅療養の場合、環境を整えるのは患者さんご本人ではなく、家族など介護を担う方になってきます。そこでも家族の方にしっかりとアドバイスをさせていただきます。もちろん、皆さんそれぞれ生活がありますので、各家庭の環境に合わせながら、在宅療養をスムーズに進めるため、患者さんのご家族やその周辺の方々との相談やヒアリングも欠かせません。家族の心労や負担を減らす意味でも地域の福祉グループとも連携しています。また、このエリアは「診診連携」といって、さまざまな診療科のクリニック同士、提携機関との関係性も密になっているんです。大きな病院に足を運ばなくても、症状に応じて先生をご紹介するなど、地域で協力してフォローし合えるんですよ。特に高齢の方や働き世代の忙しい方は、受診の負担が軽くなるのではないでしょうか。

認知症の不安も、早期治療でしっかりと減らしていく

近年、特に地域医療において大きく変わってきているところはどんなところですか?

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック5

薬の進歩は日進月歩です。特に多くの方が悩む認知症の世界は、薬の進歩によって大きく変わろうとしています。実は、自分が認知症になるのではないか、もしくはすでになっているのではないかというご不安をお持ちの方は少なくないんです。当クリニックでは、MRIや認知機能検査を行い、早期に対処するということを心がけています。認知症は早期に投薬治療を始めることで、その進行を遅くすることが期待できます。科学的なデータに沿って治療スケジュールを作成し、患者さんに前向きに治療に取り組んでもらえるよう環境を整えていますので、不安を一人で抱え込まずに、早めに相談していただきたいと思います。

認知症はできるだけ早期に、適切な治療を受けることが重要なのですね。

認知症に限らず、片頭痛でも同じことが言えます。頭が痛くなっても病気だと考えず、「昔からこんな感じだった」「いつものことだから仕方がない」と放置しているケースは案外多いようですが、片頭痛においても新しい薬の開発が進んでいて、痛みの発作を大幅に減らすことが期待できる注射療法などが注目されています。我慢する前に、まず相談してみることが大事だと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック6

当クリニックは、患者さんが質の高い生活を送られるよう、お手伝いさせていただくという姿勢を最も大事にしています。病気を治すということは当然ですが、必要なのはそれだけではないはず。大切なのは、治療の先にある生活を見据え、暮らしを改善することです。例えば脳卒中の方でしたら、単純に動けるようになるということだけではなく、誰かとお話ししたりおいしいものを食べたり、生活の中での幸せが感じられるようになってほしいんですね。ですから、悩んでいることがあれば気軽にご相談ください。今後は、在宅医療にもさらに力を入れ、当クリニックのスキルや経験がもっと発揮できるよう努めてまいります。

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