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久保 篤彦 理事長の独自取材記事

ナーブ・ケア・クリニック

(横須賀市/県立大学駅)

最終更新日:2022/10/20

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック main

県立大学駅から徒歩1分のところにある「ナーブ・ケア・クリニック」。開業は1991年。当初はMRI画像センターとしてスタートした同院だが、現在は脳神経外科領域の疾患や認知症、生活習慣病を中心とした外来診療のほか、訪問診療にも力を注いでいる。2020年に同院の院長兼理事長に就任した久保篤彦先生は日本脳神経外科学会脳神経外科専門医であり、2016年から常勤医として同院分院の訪問診療にも携わってきた。患者本人だけでなく、家族をはじめ関わるすべての人や環境、社会的な要因などにも広く目を向けるというポリシーは今も変わらず、診療ではいかに満足感のある質のいい暮らしが提供できるかにこだわっているという。そんな久保先生に、これまでの経歴や患者、診療に対する思いなどをたっぷりと語ってもらった。

(取材日2022年9月21日)

「調子はいかがですか?」その一言に思いを込めて

先生は2020年にクリニックを継承されたそうですが、その経緯について教えてください。

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック1

当クリニックに勤め始めたのは2006年からで、最初は非常勤医でした。その当時、私は横浜市立大学大学院で、神経再生医療の研究をしていました。2012年から訪問診療をさせていただいていたのですが、患者さんと接するうちに、皆さんそれぞれいろんなご事情を抱えていらっしゃるということがわかりました。病院で手術や治療を終えた患者さんは、退院後ご自宅に戻られます。そこで課題となるのは、今後いかに幸せな生活を送ることができるかということなんですね。私は医療のプロとして、そうした方々を少しでもお支えしたいと思い、こちらで本格的に医療に取り組んでいこうと決めました。クリニックは、2020年に前理事長で同門先輩の石渡祐介先生から引き継ぎました。そして院長兼理事長に就任し、現在に至ります。

クリニック名に思い入れがおありだとか。

クリニックを継承した際、「ナーブ・ケア・クリニック」という名称はあえて残しました。ナーブ(Nerve)は英語で「神経」を意味し、脳神経から末端の末梢神経まで何でも診てやろうという気合が込められているようで共感したんです。私もそうした医療を展開したいと考えていましたから。患者さんとは長いお付き合いになりますので、診療では一人ひとりにきちんと向き合い、寄り添う気持ちを大切にしています。専門分野に限らず、例えば足の痛みやかゆみ、便秘など皆さんが抱える悩みにはなんでも耳を傾けています。私の診療スタイルは、「調子はいかがですか?」という問いかけから始まります。そこには「何でも聞きますよ」という思いが込められているんです。

まさに地域のホームドクターですね。

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック2

私は患者さんのお困り事に対し、どうしたらお助けできるのかを第一に考えています。このエリアは「診診連携」といって、さまざまな診療科のクリニック同士、横のつながりが密なんです。大きな病院に足を運ばなくても、症状に応じて先生をご紹介しますので、地域で協力してフォローし合えるのがメリットです。特にご高齢の方や働き世代の忙しい方は、受診の負担が軽くなるのではないでしょうか。当クリニックも患者さんが来院しやすいよう、18時30分まで開いております。患者層は7割ほどが60歳以上の方で、主訴は頭痛やめまい、あとは認知症や転んでけがをされてしまった方なども多いです。また近年は、片頭痛の患者さんも増えています。

医療のプロとして、患者の多様性にも配慮したい

診療で心がけていることは何ですか?

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック3

持病を抱えた患者さんとは、一生のお付き合いになることがあります。通院を続けられる中で皆さんも年齢を重ねていくと、例えば動脈硬化が進んで脳血管障害のリスクが高まるなど、さまざまな体の変化が見られるようになります。そこで当クリニックではそれらを予防する一環として生活習慣の指導も行っています。しかし生活習慣というのは、食べ物の嗜好や住環境など一人ひとりの多様性が如実に表れるもので、私が当たり前だと思って勧めても、患者さんにすんなり受け入れていただけない場合が多々あるんです。ですから私はそうした生活背景を含めて患者さんをトータルに捉え、その上で何がベストなのかを常に考えるようにしています。

患者さんの多様性に目を向け、それを踏まえて診療されているのですね。

医療のプロとしてサイエンスは大前提で、そこにプラスされる要素が患者さんの個々の多様性であり、社会的要因です。それを知るには、まず生活環境を知らなくてはなりません。ですから先ほどもお話しした、「調子はどうですか」という問いが重要になってくるんです。「暑くて運動したくない」「毎日釣りばかり」など、どんな些細なことでも、その方の特徴や習性をつかむことができれば、そこから情報を精査し構築していきます。そしてもう一つ、当医療法人の特徴として訪問診療があります。通院できなくなった患者さんを、ご自宅でどうやって診ていくのかということを考えますが、皆さんが抱える多様性の中でもこの問題は環境的な要素が大きいので、見極めながら対応させていただいています。

訪問診療の要となるところですね。

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック4

はい。環境を整えるのは患者さんご本人ではなく、介護を担う方になりますので、そこでもアドバイスをさせていただくことがあります。全員が同じゴールをめざすということではなく、多様性がある中でどうやったらそれぞれ環境に合わせられ、うまくいくのだろうかと考えます。そのためにも皆さんのお話に耳を傾けなければ、答えも出せませんし、先にも進めなくなるんです。そして地域の福祉グループとも連携、ご家族への気遣いも必要です。それぞれがせっかく頑張っているのに、役割に特化しすぎてバラバラになってしまっては、元も子もありませんから。ジグソーパズルのピースは、きちんとはめ込んでこそ形をなしますよね。皆さん、その旗振り的な役割を医師に求められているのかなと感じています。

治療後を見据え、良質な暮らしを提供したい

院長に就任後、現在までで変わったことはありますか?

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック5

新型コロナウィルス感染症の拡大により、世の中が大きく変わりましたね。社会的に新しいルールが加わり、クリニックとしてその対応はもちろんですが、私自身もかなり勉強しました。院内でいえば、増設をしてスペースを拡大し、医療機器を新しくいたしました。あと横浜市立大学附属病院と新たな治療に向けてタイアップを始めたんです。現在もてんかんで悩まれている患者さんは多いのですが、専門的に診てくれる先生は非常に限られています。そこで脳波の遠隔診断により、そうした先生たちの知識を当クリニックでも享受できるよう現在取り組んでいるところです。患者さんの中には手術が必要な方もいらっしゃいますので、そうした方々を一人でも多くお救いし、きちんと治療ができるような仕組みづくりを模索しています。

先生ご自身についてもお聞きします。医師になった動機や、休日の過ごし方、健康法など教えてください。

本当は、宇宙飛行士になりたかったんですよ。でも両親とも相談し、もう少し現実を見ようと(笑)。そこで医師をめざしました。理由はエンジニアなど機械と向き合う仕事より、人と向き合う仕事がしたかったから。おかげさまで今は充実した日々が過ごせていると思います。休日の過ごし方は、ゴルフやスキューバダイビングをしたり、一人でグルメ旅行に出かけたりしてリフレッシュしています。また3人の子どもの父親でもありますので、それぞれの趣味や部活動に付き合うこともあります。健康のために気をつけていることは、昼食でしょうか。栄養面と自分の筋肉量などを考慮した上でたどり着いたのですが、鶏の胸肉にレタスとブロッコリーはほぼ毎日食べるようにしています。

最後に、クリニックで今後力を入れていきたいことはありますか?

久保篤彦理事長 ナーブ・ケア・クリニック6

患者さんが質の高い生活を送られるよう、お手伝いさせていただきたいですね。質が高いというのは、例えば脳卒中の方でしたら、単純に動けるようになるということだけではありません。誰かとお話ししたりおいしいものを食べたり、人としての「幸せ」が感じられるような場が提供できればということです。病気を治すということは当然ですが、必要なのはそれだけではないんですね。大切なのは、治療の先にある生活を見据え、暮らしを改善することです。ですから、悩んでいることがあれば気軽にご相談ください。あとは、在宅医療にもさらに力を入れていきたいと思っています。高齢化はますます進みますから、当クリニックのスキルや経験がもっと発揮できればいいなと思います。

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