蒔田 隆二 院長の独自取材記事
まきた内科医院
(習志野市/谷津駅)
最終更新日:2026/07/01
京成本線・谷津駅北口から程近い場所に立つ「まきた内科医院」。地域のかかりつけ医として長年親しまれてきた存在だ。明るく清潔感のある院内は、老若男女どんな層の患者も優しく受け入れてくれる。蒔田隆二院長は、穏やかで優しい笑顔が印象的な人物。医院での診察の傍ら、地域や県の医師会の活動や学校医としても活躍し、マラソンやダイビングが好きと朗らかに笑う蒔田院長に話を聞いた。
(取材日2026年5月18日)
何か困った時にまず最初に思い出してもらえる存在に
先代から数えて、60年近く地域に根差してきたそうですね。

当院は私の父が1967年に開業したクリニックです。2008年に私が継承しました。ありがたいことに徐々に患者さんが増え、手狭になったことと建物の老朽化のために、2012年に新築リニューアルを行いました。その時に心がけたのは、小さなお子さんから高齢の方まで、誰もが気軽に入りやすい雰囲気にすること。待合スペースの一角にこだわりのおもちゃメーカーによるキッズスペースをつくってもらいました。楽しくカラフルで優しい空間はお子さんたちに大好評です。当院はプライマリケア、つまり幅広いお悩みや不安に総合的に応えるクリニックです。日常の不調や慢性疾患、健康診断の結果など、体の気になることをいろいろとご相談いただける身近な存在でありたいと思っています。また必要に応じて、より専門的な治療が受けられる医療機関へつなぐ「医療の入り口」としての役割も担っています。総合的なかかりつけ医として、どうぞ気軽にご相談ください。
長く家族ぐるみで通う患者さんも多いとか。
私の生まれも育ちもこの周辺なので、私の小さかった頃のことを覚えている患者さんもいらっしゃいます。「隆ちゃん」なんて呼ばれると、スタッフやほかの患者さんの手前、ちょっと恥ずかしいのですが、うれしくもありますね。父にこの土地を売ってくださった方や、父が懇意にしていた患者さんなど、長くお付き合いをさせていただいているご家族もたくさんあります。
診療時に心がけていることはありますか?

私が父の姿を通して学んだのは、単にその病気を治療するだけではなくて、患者さんの生活背景まで丸ごと支える生き方だと思うんです。幼い頃に見た、病気とともに不安を抱えて来院された患者さんが、父に相談することで笑顔でお帰りになる様子が強く印象に残っています。当院を継承する際に父から「木を見ず森を見よ」という言葉を贈られました。特定の症状や臓器だけにとらわれるのではなく、その人の生活背景や人生全体を診なさいということです。この教えは今の私の診療スタイルの核となっています。それに加えてこれまでの経験や医学的根拠に基づき、患者さんが納得した上で治療を受けていただけるよう、わかりやすい説明も徹底しています。誰もがホッとできるような「町の保健室」のようになりたいですね。
物忘れは、早めの相談が吉
物忘れについても注力されているそうですね。

認知症の不安を抱えている方は多いですよね。認知症予防について専門的に学んでまいりましたので、物忘れを専門とする外来を設けて、早期発見・早期介入に力を入れています。外来では患者さんの物忘れの評価だけではなくて、内科的な診察、血圧や血液検査などの内科的な診療も行います。加えて、見にくさや聞こえにくさは認知能力に影響を及ぼしますので、視力や聴力も検査します。また認知症の方は、転倒して骨折すると自由に動けなくなることから重症化につながるケースも多いので、骨密度も測定します。診療の際は、患者さんご本人はもちろんですけれど、ご家族のお気持ちや負担をどう軽減するかという点も重要です。生い立ちや家族環境、家族構成、生活環境、趣味嗜好、薬の内服が可能かどうか、そういった社会的背景までを含めて、総合的に診療するようにしています。
物忘れを専門とする外来の受診の目安はありますか?
短期記憶障害がキーになります。例えば、5分前のことを忘れている、昨日や数日前のことがすっぽり抜けていたりすると、認知症を疑っていいでしょう。物忘れを専門とする外来の受診をご家族が希望されても、患者さんが拒否することもあるかと思います。「物忘れを専門とする外来に行こう」と言うとプライドが傷つきハードルが上がることがありますので、「健康診断に行ってみよう」「久々に先生に会いに行こう」などの理由をつけるのも良いかと思います。認知症は残念ながら根本的に治療することは困難ですが、進行を遅らせることは望めます。お気づきのことがあれば早めにご相談ください。認知症が早く見つかれば治療の選択肢が増え、薬に関しても導入が早いほど進行を遅らせることが見込めますし、今は認知症の前段階での治療法も確立されています。どんな疾患もそうですが、なるべく早く来院して、必要に応じて治療につなげることが大切です。
高齢者や認知症の患者さんの治療で大切にしていることは何ですか?

認知症の治療は、ご本人の治療も大切ですが、介護者の健康や生活も重要視されるべきだと考えています。昭和初期のように大家族で、3世代も4世代も一緒に暮らしていて介護の手が多ければいいのですが、現代はご家族と離れて暮らしていたり、高齢のご夫婦だけの生活であったりします。遠方に住む高齢の親御さんの付き添いをお子さんがしていたとしても、認知症が進んでしまうとそれも難しくなるでしょう。お疲れの介護者の様子を見ると、私も胸が痛みます。親というものは、どんなに子どもが成長しても、やはり子の幸せを一番に願っているものだと思うんです。だから、親御さんの介護をされるお子さんには、ご自身の幸せを優先してくださいねとお伝えすることもありますね。認知症という病気を理解して、さまざまな手を借りて上手に付き合っていただきたいと思います。
生活習慣病の治療はライフスタイルを考慮
生活習慣病の患者さんも多く来院されています。

生活習慣病は自覚症状が乏しいので、健康診断で何らかの指摘を受けた時が、相談のタイミングだと思います。高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、さまざまな治療法があります。食事の制限や、運動習慣の改善などもありますが、無茶な理想論を押しつけるようなことはしません。病気になったからといって急にガチガチの節制生活をしようと思っても、当然長続きはしません。患者さんのライフスタイル、食生活やお仕事、趣味を踏まえて、長く続けられそうな方法をご提案しています。患者さんが健やかに過ごせるように、10年、20年と伴走していけるような姿勢をめざしています。
スタッフさん方も気持ちの良い方ばかりだと伺っています。
スタッフが幸せで、地域に必要とされないと、クリニックは続けていけないと思っています。実は開業以来、辞職された方は本当に少ないんです。長年勤務してくれている人が多くて、感謝しています。何らかの事情でお辞めになっても、戻ってきてくれるスタッフもいるんですよ。私は職場は「和」が大切だと思っているのですが、みんなもそう思ってくれているのか、とても雰囲気は良いですね。新型コロナウイルス感染症の流行下で、発熱症状に対応していない医療機関が多く、地域の皆さんのために診療しようと決めた時、快く協力してくれたことはうれしい思い出として心に残っています。PCRの検査機器を3台導入して、毎日多くの患者さんを診察していたのですが、みんなフルパワーで頑張ってくれました。今後も、時代により変わる地域の医療ニーズをしっかりと把握して、地域に必要とされるクリニックでありたいと思っています。
地域へのメッセージをお願いします。

当院は、何か困った時にまず最初に思い出してもらえる存在でありたいと思っています。体や健康について困ったり心配事があったり、なんとなく調子が出なかったりする時など、とにかく「なんでも聞いてみよう」と思っていただけるとありがたいです。何でもなかったらそれで良いし、そんな気持ちで気軽にご来院ください。必要に応じて、専門の先生をご紹介できますし、何らかのアドバイスはできると思います。これからも地域の皆さんの健康を守る「ゲートキーパー」として予防から終末期まで一貫して支えていきたいと考えています。こんなことで相談していいのかなと悩まずにお気軽にお話しくださいね。

