ブラインド/視覚障害/弱視
補助具を使うロービジョンケアとは
真清クリニック
(千葉市花見川区/八千代台駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
ロービジョン(LowVision:低視力)という言葉を聞いたことがあるだろうか。ロービジョンとは、ブラインド(Blind:失明)ではなく、少しでも視覚が残っている低視力の状態のこと。真清クリニックでは20年以上にわたりロービジョンケアを行っている。日比野院長は、米国コロンビア大学に留学中にロービジョンケアによって視覚障害者が社会復帰する姿に感銘を受け、地域のクリニックでこの様なケアが重要と考え、開業以来ロービジョンケアに携わっている。「それまで社会の第一線で働いていた人が、ロービジョンが原因で職を失うことは社会的な損失。ロービジョンケアによって生活の質の向上をサポートするのが、眼科医師として重要な役目」と日比野院長は話す。具体的なロービジョンケアについて聞いた。
(取材日2016年7月11日)
目次
一人ひとりの視力や要望に合わせて視覚補助具を適切に処方する
- Qロービジョン、ロービジョンケアはどのようなものなのですか。
-
A
ロービジョンは、ブラインド=失明ではなく、視力や視野などの視覚機能が少しでも残っている状態です。WHOでは視力が0.05以上0.3未満と定義していますが、私は定義にとらわれることなく、たとえ視力が0.01でも、残っている視力や視野を最大限に活用できるようにすることが重要と考えています。何を見たいのか、何に困っているのかを聞いて、その方にとって望ましい生活が送れるよう、視覚補助具を的確に処方することがロービジョンケアです。それまでバリバリ仕事をしてきた人がロービジョンによって失職するのは社会的損失だと考えています。そんなことにならないためにも適切なロービジョンケアが重要なのです。
- Qロービジョンになる原因と受診のタイミングを教えてください。
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A
緑内障や加齢黄斑変性、網膜色素変性症、糖尿病網膜症などが重症化した場合や、事故や疾病で視神経が損傷を受け視覚障害が生じた時がロービジョンになります。これらの疾患の治療をできる限り行い、それでも現代の医学では良くならない、視力が回復しない、視野が狭いという場合にロービジョンケアが必要になります。医療機関で、もうこれ以上手立てがない、これ以上望めないなどと言われた場合でも、決して諦めずになるべく早く受診していただきたいと思います。どの様な視覚補助具が適しているかをきちんと評価して、少しでも生活の質を上げることが可能かもしれません。
- Q具体的にはどのようなケアをするのでしょうか。
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A
拡大鏡、拡大読書器、遮光眼鏡など様々な視覚補助具を患者さんの視力や症状や要望に合わせて適切に処方します。例えば拡大鏡には色々な倍率がありますが、文房具店などで適当に自分で選んだ拡大鏡を使っている方が多いようです。しかしロービジョンケアでは、患者さんが何を見たいのか何を読みたいか、視力に合う拡大倍率を計算して、ニーズに合う倍率のものを選択し、読み書きが可能となる場合もあるのです。また、小型カメラで文面を撮影しそれを拡大してモニターに映し出す、拡大読書器も処方します。光をまぶしく感じたり、色のコントラストがわかりにくく、移動が困難な場合には、医療用のサングラス(遮光眼鏡)の処方を行います。
- Qロービジョンケアでは訓練なども行うのですか。
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A
例えば拡大鏡を選ぶ際に、様々な種類からどの拡大鏡が最も見えやすいか使いやすいか一つずつ試します。拡大読書器の使い方はすぐにはマスターできませんのでクリニックで訓練します。遮光眼鏡を作る際は、実際にレンズのサンプルを持ち帰ってもらい、患者さんが日常生活の中でどのレンズが一番見えやすいかを実際に体験してもらってからレンズを選択します。この様な実践や訓練を通じてロービジョンの方々の不自由を解決していきます。文字をまっすぐに書けない時に役立つ罫プレートや、白米の食べ残しが明確にわかる内側が黒いお茶碗などロービジョンの方のための生活便利用品も色々とご紹介していますので、これらも活用して欲しいと思います。