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日比野 久美子 院長の独自取材記事

真清クリニック

(千葉市花見川区/八千代台駅)

最終更新日:2021/11/17

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勝田台と長沼をつなぐ国道16号線の西側、花見川区横戸台の住宅地にある「真清クリニック」は1992年開業の眼科クリニック。日比野久美子院長は、一般の眼科診療に加え、専門であるロービジョン(低視力)のケアにも力を注ぎ、漢方などの東洋医学の活用にも積極的に取り組んできた。訪問の眼科診療を行いながら千葉県医師会理事としても活動する多忙な身でありながら、「診療に役立つことなら何でも知りたい、学びたい」という探求心と、ほがらかな人柄を併せ持つドクターだ。そんな日比野院長に、同院の診療方針や訪問診療を始めた理由などをさまざまに語ってもらった。

(取材日2021年7月8日/更新日2021年11月15日)

パーソナルな治療をベースに、ロービジョンケアに注力

まずこちらの医院の特徴から伺います。

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来年開業30周年を迎える眼科です。地域で必要とされる眼科医療の全般に対応しつつ、視覚障害があり、視力や視野がわずかしか残っていない方のロービジョンケアを行っていることが特徴です。また、北里研究所病院に勤めていた頃から心がけているのは、目の前の患者さんにとって何が一番適切な治療なのかを考え、手術や点眼薬だけでなく、いろいろ選択肢を用意して困っている方の助けになりたいということ。同病院には東洋医学研究所が併設されていたので、そこから漢方薬や鍼灸の勉強を重ねてその知識を診療に役立てるようになりました。同時に患者さんが求めるものは何かを聞き、相談した上で手術がベストなら勧めるし、漢方薬の服用より点眼薬がいいのならそれを勧める姿勢です。一つの視点だけでなく、その患者さんの生活背景まで考えた治療法、いわばパーソナル治療、それを一番大切にしています。

受診する患者の傾向について教えてください。

地域では人口が減っていて、特に子ども世代が少なくなる一方、高齢者は多いです。主訴では加齢が主な原因である加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、白内障、そして緑内障です。加齢黄斑変性では最近は眼科医療の進歩により、抗VEGF薬療法(硝子体内注射)で治療できるようになり、当院でも行っています。白内障は誰でも高齢になると発症する可能性がありますが、視力が1.0、1.2あれば、無理に手術をする必要がない方も結構いらっしゃいます。他院で視力良好なのに手術を勧められたり、合っていない眼鏡で過ごされてきたから、目が悪いと自己判断されて手術を受けたいと来られたりするケースも多いので、しっかりと検査をして、試しに院内の眼鏡をかけてみて、それでも見えないのでしたら手術を行うというように、一つ一つのプロセスを経た上で治療方法を決定しています。そして、すべての診療・治療は健康保険が適用されるもので行っております。

ロービジョンケアとは具体的にどのようなものですか?

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ロービジョンとは、ノット・ブラインドつまり失明はしておらず、視力や視野が少しでも残存している状態のことをいいます。たとえ視力が0.01で視野もほんのわずかしか残っていなくても、少しでも見える以上は眼科できちんと評価して、視力を補う措置が必要になってくるわけです。視覚障害者には国が定めた基準による認定というものがあり、3級とか2級とか程度によって補助が行われますが、この中では最も軽い6級にも当てはまらない方でも、仕事がしにくい、家での生活も不便という方がいます。そうした国の基準に当てはまらない軽度な方も含めたロービジョンの方の目を医学的に検査し、適切な視覚補助具を選んで、使い方のサポートも行うのが私の役目です。

訪問診療により在宅治療中の患者の視力を守りたい

ロービジョンケアでは新しい視覚補助具などもできているそうですね。

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暗所視支援眼鏡という新たな機器ができています。網膜色素変性症の方は暗いところではよく物が見えず、例えば地下鉄のホームから落ちてしまったりしてたいへん危険なのですが、各自治体が暗所視支援眼鏡の購入費用を助成することにより、患者を支援する動きが始まっています。私も部屋を真っ暗にして試してみたのですが、電灯もついていないのに本が読めるほど。このほか、スマートフォンアプリでも、初めて訪れる建物内の構造が映し出され、目的の場所がどちらにあるかを近くの人に聞くことができるソフトなど、ハイテク技術により、ロービジョンの方の生活がしやすくなる機器やソフトウエアが近年どんどん開発されています。それらの情報を院内はもちろん、千葉県医師会の広報誌やインターネットなどを通じて必要とする人にちゃんと届くよう発信をしていきたいと思っています。

最近では訪問診療にも力を入れていらっしゃるそうですね。

通院が途絶えると、定期検査もできないため、失明の原因の上位である緑内障や糖尿病網膜症が悪化してしまう例が多く見られます。そのため希望があった場合には、ご自宅や施設に訪問診療や往診を行うようになりました。私は日本眼科学会の眼科専門医ですが、同時に日本眼科医会の中の在宅眼科診療を推進する委員会の活動もしています。患者さんの足腰が悪くなって通院できなくなると、独居の方だと家にこもってしまいます。また、高齢者施設に入ると内科は診てもらっても、眼科は受診がおろそかになることが多く、目が悪くなっていても気づかれないことも多いのです。当院は訪問診療専門ではないのですが、工夫して時間をつくり、通院が途絶えている方のところに出向いて、患者さんの永続的な視覚を守ることを実践しています。

生活の場を見ると治療にも役立つのでしょうか?

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患者さんのリアルな生活背景を知ることができるので、診療上とても役立っています。いつも患者さんがどのような生活をしているのか、部屋の照明やテレビとの距離が適切か否かなどもわかります。眼科在宅医療を行うことは地域に住んでいる患者さんの視覚環境を確認することにつながります。以前行われた全国規模の勉強会では、在宅眼科医療の重要性を提唱するために2つのインストラクションコースのインストラクターとして発表いたしました。

地域の横連携を大切にして患者をサポートし続けたい

患者さんに説明を行う際にはどんなことに注意されていますか?

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さまざまな考えを持った患者さんがみえるので、ご希望をよく聞いた上で、どの治療法がいいのか、あるいは複数の方法を併用するべきか、科学者の目で患者さんにとってベストな方法を見極め、アドバイスすることがまず大事だと思います。例えば以前、白内障が進んですっかり見えなくなっているのに漢方薬を出してほしいとおっしゃる患者さんがいましたが、この場合は漢方ではなく手術の適応ですから、手術は受けたくないというお申し出であっても、丁寧に説明しなければいけません。一方、西洋医学だけが良くて漢方は駄目だとか、またその逆も含め、偏った意見を患者さんに伝えないように注意し、なるべく幅広い観点からケースに応じた治療法をご提案するようにしていますね。

先生が眼科医師となられた理由も教えてください。

外科の医師だった父の影響です。本音を言えば外科医になりたかったのですが、外科はどうしても超人的体力が求められる。その点、眼科は外科的要素と内科的要素の両面があって、それを一人でコントロールできる魅力があるので選びました。でも眼科医であっても、糖尿病網膜症など全身の疾患と密接に結びついているものも多いので、内科や循環器などほかの医科の先生との連携は欠かせません。今年からCKD(慢性腎臓病)に関してはCKD対策協力医にもなり、透析患者さんの発症を少しでも予防できればと思っています。そのため眼科以外は診ないという姿勢ではなく、気づいたことがあればその分野に専門性を持つ先生を紹介するようにしています。ちなみに、父の外科医院は弟が継ぎ、八千代台にあるので、白内障の手術などでは設備の整った弟の病院で行うようにしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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皆さんには、ぜひ信頼できるかかりつけ医を持ってほしいと思います。私は千葉県医師会の理事としてかかりつけ医の研修事業の仕事に携わり、自分の専門科目だけでなく、他科の先生とも連携して幅広く全身が診られる体制づくりを推奨しています。また、一人暮らしであるとか、奥さまが病気だとか、その患者さんの背景も踏まえて紹介先の医師に伝え情報を共有する、高齢化が進んだ現在ではそんな「地域の横連携」が求められているのだと思います。私も千葉県医師会の理事としてそういった取り組みを実践し、地域の皆さんの健康をサポートしていきたいと考えています。

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