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中根 晴幸 院長の独自取材記事

ハーモニークリニック

(さいたま市緑区/東浦和駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR武蔵野線・東浦和駅からバスに乗り、松の木東公園バス停のすぐ目の前にある、1995年に開業した「ハーモニークリニック」。「大学病院よりも信頼できる」といった声も聞かれるクリニックだけに、広い待合室に並べられたいくつもの椅子が、診察時間が近づくとまたたく間に患者の姿で埋められていくのが印象的だ。このクリニックの診療の柱のひとつは総合診療。もうひとつは、クリニックから病院への一方通行ではなく、力をあわせて患者を支える双方向のつながりをもった地域医療連携だ。勤務医時代、全国に先駆け的に地域医療連携推進事業の旗振り役を務め、ついには地域にその受け皿となる医療機関を自ら開業した中根晴幸院長に、地域医療にかける思いを語ってもらった。
(取材日2016年7月22日)

地域医療連携推進事業の推進のため開業

開業されたのは何年前になるのでしょうか。

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1995年に開業しましたから、もう20年以上になりますね。通常、医療法人の認定は開業後1年以上の実績がないと認められないのですが、私の前職である現さいたま市立病院(以下市立病院)における地域医療支援病棟開設に対する実績を当時の行政に認めていただき、開業と同時に医療法人の認定を受け、当初から訪問看護ステーションを併設した形でスタートしました。その後、2000年の介護保険の開始と共に第2診療所と訪問看護ステーション、介護ヘルパーステーションなどを併設し、現在に至っています。

開業のきっかけになったという地域医療連携推進事業についてお聞かせください。

私が市立病院の勤務医だった時代に、厚生労働省が、地域医療連携推進事業のモデル病院の募集を開始しました。通常の病診連携の場合、地域の医療機関で担うことができない症例に対し、連携している総合病院に患者を紹介するという一方通行な関係性ですが、それだけではなく、総合病院に入院していた患者の退院後のケアをお願いするために地域の医療機関に患者の逆紹介を行ったり、病院に入院しながら、日頃のかかりつけ医と紹介患者を受け入れた側の病院の医師が共同で治療が行える開放型病床を設けるなど、地域医療と基幹病院が双方向で連携しながら地域医療を支えるのがこの制度の大きな特徴です。市立病院がこの事業のモデル病院として手を挙げ、私が旗振り役を任されました。それから病院内にさくらそう病棟という開放型病床を設置するなどさまざまな取り組みをしましたが、実際に稼働してみるとある問題点が浮かび上がってきたんです。

その問題点とはどういった点だったのでしょうか。

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地域の中に、この制度を十分に理解し、上手に活用してくれる医療機関が圧倒的に不足していたんです。そこで受け皿となってくれる病院の開設を周囲にお願いしたいのですが、なかなか受け手がおらず、それならば私が作りますということで設立したのが当院です。ですから市立病院との連携が生かせるように、病院からわずか1.5kmほどしか離れていないこちらの場所に開業しました。今は目の前に立派な幹線道路が通っていますが、当時はまだ建設途中で、駅からのバスがようやく通り始めたばかりといった状況で、付近には住宅はおろか通行人さえまばらだったので、本当にやっていけるのか不安を覚えました。ところがいざ開業してみると、ありがたいことに月に200人ずつ患者が増えて、カルテを数えたら、2年で5000件にもなっていました。

地域のかかりつけ医として総合診療を実践

現在の診療科目を教えていただけますか。

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総合内科、消化器科、呼吸器科、神経内科、リウマチ科、整形外科、小児科に加え、現在は在宅医療についても200件ほど担当しています。開業当初からCT、レントゲン、内視鏡といった設備を備えていましたから、地域医療を担うクリニックとして、患者さんのニーズがあればがんの検診でも骨折でも、可能な限り受け入れていくという姿勢を貫いています。開業当時、医師は私一人で、私の手の回らない部分を、それぞれの専門科の医師に非常勤という形で入っていただき診療を行っていたのですが、過労やストレスが原因だったのでしょう、私が急性冠症候群の発作を起こし、危ういところで助かるという状況を経験しました。そこを大きな転機としてとにかく層を厚くするよう方針を改め、現在では私と同じように、総合診療を担う若い医師たちがクリニックの柱となって診療を行っています。

クリニック内に点滴専用室や回復室など多彩な設備がありますね。

増加する患者さんに対応するために、第1、第2と診療室も増やしていったのですが、やはり病院ですから4という数字はあまり使いたくない。そこで4つめの診察室からは4という数字を使わずに“特別”を付けて特別第1診療室といった名称にしました。一般と特別になにも違いはないのですが、“特別”と付くだけで、患者さんの気分もいいですしね(笑)。点滴専用室や回復室については、内視鏡検査などの回復室も必要なので作りましたし、整形外科をおいて、クリニック内でリハビリもできるようにと場所を取るなど、当初は大きく作り過ぎてしまったと思った外来スペースでしたが、診療の幅が広がるにつれてフル活用できるようになりました。職員も私たちの法人がいつも新しい方向に向いていることに慣れてきたようです。

医師になられたきっかけを教えていただけますか。

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中学から高校に進学するときに、人のためになる仕事に就きたいと考え、そのときに頭に浮かんだのが一対一で人と接する点がシンプル明快に思えた医師という職業で、その思いは今も変わっていません。仕事柄、限られた日々を過ごす患者さんとも多く接する機会がありますが、そうした方々にも、良い医療に巡り合えて、最期の瞬間まで充実した日々を送ることができたと感じていただきたいと願い、皆さんの思いに寄り添う医療の実践を日々心がけています。しかし実際には、いまだに患者さんから、こちらが学ばせていただくことが多いですね。

地域医療にかける思いを次世代にも引き継いでいきたい

ご多忙な日々の中、気分のリフレッシュはどのようにされているのでしょうか。

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毎日緊張感の大きい仕事をしている分、休日には庭の手入れをしたり、野球観戦やゴルフに出かけることでなるべく気分転換をするように心がけています。最近は世界三大花木と呼ばれ、紫色の美しい花が印象的なジャカランタを育てているのですが、植物から日々生命力を分けてもらっているような気がしています。

患者さんと接する上で大切にされているのはどのような点でしょうか。

患者さんの様子をしっかりと観察し、患者さんがうまく表現できない訴えもキャッチして、見逃しのない診療を常に心がけています。あとは患者さんへの言葉掛けですね。薬を処方する場合、処方箋に書くだけでなく、そこで「○○も出しておきましょうね」と一言添えるだけで、そこから会話も生まれるし、患者さんは特別なことをしてもらえたような印象を持ってくれます。先日も物忘れがひどいという90歳の方が検査にきたのですが、ご本人はまだまだしっかりしているつもりなので、周囲に注意されると思わず反発してしまい、ご家族の方も扱いに困っているようでした。そこで私は笑顔のイラストを描き、その下に“そうかね”という言葉を書き添えて、「家族になにか言われたらこう言いなさい」と勧めました。本人が大変気に入ってくれて、「家に貼っておきたいから3枚欲しい」と言われ描きました。たった一言の言葉が環境を変える力を持っているんです。

読者の方にメッセージがあればお聞かせください。

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これまでお話してきたように、当クリニックは地域医療連携推進事業の旗振り役として、専門病院と密接に協力しながら、地域の皆さんの健康を支えるために総合診療を実践しています。総合診療は、地域のかかりつけ医に最も求められる医療であり、見逃しが許されない、大きな責任を伴う医療ですが、その分達成感も大きく、医師としても魅力ある仕事です。多くの医師、看護、介護スタッフと共にチーム医療にあたり、総合診療をさらに磨きあげて、これからも地域のみなさんの健康に貢献していきたいと考えています。それと同時に、次世代にバトンタッチするために、若い医師たちがこの先も長く医療の世界に魅力を感じて、自信を持って日々の診療にあたれる環境を整えていくことも、これからの私の大きな仕事だと感じています。

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