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吉野 肇 所長の独自取材記事

医療生協さいたま生活協同組合 浦和民主診療所

(さいたま市浦和区/北浦和駅)

最終更新日:2026/07/29

吉野肇所長 医療生協さいたま生活協同組合 浦和民主診療所 main

北浦和の住宅街にある「医療生協さいたま生活協同組合 浦和民主診療所」は、地域の診療所として1964年に誕生し、「うらしん」や「民診」の愛称で親しまれる長い歴史を持つクリニック。建物は4階建てで、受付は2階。院内に入ると余裕のある空間が広がり、スタッフの明るい笑顔が、ほっと安心できるような雰囲気をつくっている。開設以来、外来・往診・健康診断を三本の柱として地域密着の医療を続ける同診療所について、2026年4月に所長に就任した吉野肇先生に話を聞いた。

(取材日2026年3月24日)

開業から60年以上地域医療に貢献

地域の要請を受けて開設された診療所だと伺いました。

吉野肇所長 医療生協さいたま生活協同組合 浦和民主診療所1

1964年に開設され、当初は北浦和駅東口から徒歩約5分の所にありました。当時、既に県内には同じ医療生協の診療所が8ヵ所ありましたが、県の中心である浦和エリアにもぜひ診療所を、という要望を受け、既存の8つの診療所が力を合わせ、人材も出し合って開設されました。それから20年ほどたち、スペースが手狭になって、現在の場所に移ったのが20年前です。今年で開設から62年になります。60周年の記念式典では地域の方とふれあい、さまざまなイベントを開催しました。その時に職員や一緒に運営する組合員さんのモチベーションがより一層高まりました。新型コロナウイルスの流行や、現在の大変な状況の中でも「頑張りましょう」という想いを共有し、職員と組合員さんが一緒に運営方針を確認する良い機会となりました。

診療所の特徴についてお聞かせください。

私たちの診療所は、地域の皆さんの健康を支える「総合的かかりつけ医」として、外来・往診・健康診断の3つの機能を柱に運営されています。胃内視鏡検査やさいたま市の物忘れの検診、何か異常が見つかった場合の精密検査などで役立つCT検査も行っています。当診療所では、「医療や福祉にお金による差別を持ち込んではいけない」という信念に基づき、無料低額診療事業を実践しています。お金があると良い医療が受けられ、お金がないと受けられないというのは医療の世界にはなじまないという主義で、ずっとその思いで診療しています。同時に、こうした思いが職員はもちろん、生協組合員の方々に少しでも伝わればいいなと思っています。お困りの際は、電話でも診療の際でも構わないので、まずご相談ください。

どんな患者さんが多く来られますか?

吉野肇所長 医療生協さいたま生活協同組合 浦和民主診療所2

健診では若い方も来られますが、全体としては高齢の方が多いですね。ですから医療機関までの足はとても大切だと思っています。足腰が弱り1人で来るのが大変な場合は車で送迎しますし、来られなくなれば往診にも対応しています。ですので、現在の建物の1階はほぼ送迎のためのスペースになっています。送迎車は屋根のある所に止まりますし、屋内の待合スペースもあります。そのため受付や外来の診察スペースは2階にあり、初めて来た方には少々わかりにくいかもしれませんが、その分診察や健診のためのスペースもゆったりとしていますので、安心して2階に上がってきてください。

総合的かかりつけ医として複合的な症状にも対応

専門の外来について教えてください。

吉野肇所長 医療生協さいたま生活協同組合 浦和民主診療所3

糖尿病と物忘れの外来診療を行っています。認知症は増加傾向にあり、物忘れの外来だけではなく、通常の内科の外来にも認知症のある患者さんが来院されています。専門の領域だけを診るわけではなく、内科全体を診ながらより専門知識が必要な場合はその分野が専門の医師が診る、という形です。糖尿病は基本的に一般の外来で診ていますが、インスリン注射が必要な方などなかなか状態が安定しない方は、糖尿病の外来で対応するようにしています。物忘れの外来は、さいたま市で物忘れの検診が始まったこともあり、今後患者さんが増えていく可能性が高いです。ご家族を含めてお話を聞き、困っていることやその人の本当の状態を知った上で対応しています。

「総合的かかりつけ医」として頼りにされていますね。

高齢の患者さんの中には、認知症だけでなく高血圧症や心臓疾患など複数の疾患を抱えているケースが少なくありません。疾患ごとに別々の医療機関を受診するのは負担が大きいため、当診療所のように一つの医療機関で総合的に診療できることの重要性が高まっていると感じます。認知症の患者さんはご家族などが付き添って来院されることも多く、患者さんご本人への対応はもちろん、ご家族や介護者の方へも、看護師や職員が生活状況などの聞き取りを丁寧に行うようにしています。ご本人とのコミュニケーションを大切にしながら、周りの方の困り事もしっかり聞き取ることを意識しています。

健康診断の重要性も高まっていますね。

吉野肇所長 医療生協さいたま生活協同組合 浦和民主診療所4

企業の健康診断やさいたま市の健診などに対応し、年間多くの方々の健康診断を実施しています。胃内視鏡検査は経験豊富な医師が3人体制で対応していて、最大週6日検査を実施し、予約枠を多く確保しています。また、超音波検査機器やCT、マンモグラフィなどの先進の機器を備えた検査体制により、精密な診断を提供しています。マンモグラフィやCTは最近新しい機器に更新しましたので、精度にこだわった検査を提供できるでしょう。

介護との連携体制についても教えてください。

主に同じ法人の事業所である「ケアステーションうらしん」と月例のカンファレンスを行うなど密接に連携しながら活動しています。訪問診療と訪問看護、訪問リハビリなどを一体で申し込む患者さんも多いです。同じ法人内で連携が取りやすいため、患者さんや介護をする方にとってわかりやすいのではないでしょうか。また訪問診療では医師7人と看護師8人が連携し、チーム制で対応しています。高齢者を中心に、がんや心不全などの慢性疾患、整形外科疾患のある患者さんなどの多様なニーズに応え、看取りまで含めた在宅療養のサポートを行っています。

長く患者の人生に寄り添う診療体制

情報発信にも積極的に取り組まれているそうですね。

吉野肇所長 医療生協さいたま生活協同組合 浦和民主診療所5

そうです。それを診療所に来る人だけでなく、ホームページや講演、もっと小さい単位で食事や栄養、認知症について地域に発信し、地域全体の健康度を少しずつアップさせていきたい、というのが長年医師をやっていての私の想いです。診療所に来てくれる人だけを診ても経営は成り立つかもしれませんが、私自身の医師としての役割を考えると、それだけでは足りないと思うのです。例えば、毎日長時間働いている人が具合が悪くなったとして、薬でまずは良くなるかもしれないけれど、長時間労働が改善されないままで根本的に病気が良くなるかというと、そうではありませんよね。でもそこには、われわれはなかなか手が出せない。そこを変えるには、地域の中から健康に対する意識を高めていき、社会全体を根本から改善する考え方にしていくことが必要です。簡単にはいかないことだけれども、そういう考え方でやっているのも当院の特徴の一つです。

先生ご自身、こちらで長く診療されてきましたね。きっかけは何だったのでしょうか?

大学の卒業を控えていた1982年、当時の埼玉協同病院の消化器内科医局長で、当診療所の前所長である肥田泰先生から就業のお誘いをいただいたことがきっかけです。それ以来、埼玉協同病院に勤務する傍ら、こちらでも診察してきたので、顔なじみの患者さんも多いです。肥田先生は私の先輩にあたり、当時の埼玉協同病院で、肥田先生から内視鏡検査の手ほどきを受けたことが懐かしく思い出されます。私の専門も消化器内科ですが、当診療所では往診も担当しています。ご縁があったからには長く診て差し上げたいという考えから、例えば遠方にお住まいで緊急時に対応できない場合など、責任を持って診られない状況では、診療をお断りすることもあります。安易にお引き受けすると患者さんのためにならないと考えてのことです。そのような場合、しっかりと説明させていただき、他の医療機関の受診をお勧めすることもあります。

地域の方へメッセージをお願いします。

吉野肇所長 医療生協さいたま生活協同組合 浦和民主診療所6

病院や診療所を選ぶのに一番大切なのは、患者さんの人権がきちんと守られているかどうか。昔は、医師は「診てあげる」患者さんは「診ていただく」という考え方がありました。今は大分変わりましたが、上に下が何も言えないという構造は、日本の医療界の中に体質として残っていると思います。健康の問題や手術、命についていつも具体的に説明してくれるのかはとても大事なこと。1回行っただけではわからないので難しいところですが、医療機関を選ぶ際はこの点を考慮して、納得がいく説明が受けられるかなどを参考にすると良いのではないでしょうか。