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里村 元 副院長の独自取材記事

里村医院

(さいたま市北区/北大宮駅)

最終更新日:2021/10/12

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1955年の開院以来、3代60年以上にわたって地域の人々の健康を支えるかかりつけ医としての診療に取り組んでいるのが「里村医院」だ。代々、家族ぐるみで通い続けている患者もたくさんいるなど、人々からの厚い信頼を集めている同院の里村元(はじめ)副院長は、大学病院で複数の疾患を持つ高齢者を総合的に診察する老年医療に長年携わり、現在もその経験を生かしながら、同院で物忘れの症状を含む認知症や循環器疾患を含む高齢者の全身管理に力を注いでいる。そんな里村副院長に、同院のことや老年医療へかける思いなどを聞いた。

(取材日2020年10月1日)

60年以上にわたり地域の人々の健康を支える

貴院を紹介していただけますか?

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当院は祖父が60年以上前に開院し、私が3代目になります。現在は父が院長を務めており、私と2人で風邪や腹痛、生活習慣病などの内科一般から、老年内科、物忘れの外来、小児科、皮膚科、訪問診療まで、地域の方々のかかりつけ医として幅広く診療をしています。私は、今年の6月までは大学病院でも診療をしていたのですが、7月からは大学を退職し、専門である老年内科や認知症の診療に加え、高血圧や脂質異常症、糖尿病、痛風の原因となる高尿酸血症など生活習慣病の管理に力を入れて診療をしています。また、心筋梗塞や狭心症で大学病院などに入院して治療を受けた方のフォローも当院で行っています。これからは、より地域に根差した診療に取り組んでいきたいと考えています。

ご専門の物忘れの診療について、詳しく教えてください。

「もの忘れの外来」を開設して、認知症を専門的に診療しています。認知症は、予防と早期診断が非常に大事だと考えています。国も認知症を予防して、住み慣れた町で生活していきましょうと言っていますが、予防をするためには、その予兆を早く見つけないといけません。認知症は、何か変化に気づいたらすぐに専門の医師の診察を受けるのが大原則ですが、さいたま市では「もの忘れ検診」を行っています。65歳以上の奇数年齢になったら検診を受けられますので、その年齢になったら症状などがなくても、まずは一度受けていただきたいと思います。また、当院では、認知症の前段階のMCI(軽度認知障害)という状態に着目した診療も行っています。現在の認知機能の状態がどれくらいなのかをある程度知り、必要な場合には早期に対処していきます。このアプローチは、非常に有意義だと考えています。

自身や家族が認知症と診断されるのが怖いという人もいると思います。

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一般の方の中では、認知症は治らないのでなってしまったらおしまいだ、のような風潮というか、世の中の流れがあると思うんです。認知症は悲しい病気で、人に迷惑をかけてしまうこともあり、身内がなっても人に知らせたくないというようなことが、現実としてありますよね。でも、それはすごく残念なこと。早く診断して治療につなげられれば状況を変えていけるというか、認知症の本人も家族も幸せに生活を送れるようにサポートしていく方法があるんです。それを、認知症と診断されると困るからと病院に連れていくのを躊躇してしまうという意識を、私はなんとかして変えたいと思っています。

認知症は、患者本人に加え家族のサポートが大切

認知症の診療では、何が大切だとお考えですか?

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認知症の本人と同じくらい、もしくはそれ以上の鍵になるのが家族です。認知症は、本人だけでは生活ができなくなってくるので家族のサポートが必須なのですが、家族が患者さんをサポートするためには、その家族へのサポートも重要なのです。家族が疲弊してさじを投げてしまったら、認知症の方自身も生活ができなくなってしまいますからね。そこで、初診で来られた家族の方には、認知症を治療したいのか、診断をしてほしいのか、今の困っている状況をなんとかしたいのかなど、認知症に対してどうしたいのかと投げかけるんです。そうすることによって本人やご家族と目標を共有して、残念ながら現在は認知症を治せませんが、薬で症状を和らげることはめざせるので、うまく認知症と付き合っていく。家族と住み慣れた場所で最後まで生活していくために、薬や介護のサービスなどを活用することで、家族の負担を少しでも軽くしていくことが大切です。

地域包括ケアシステムの一員としても活躍されていると伺いました。

地域で高齢の方を見守るためには、医師だけでなくケアマネジャーや自治体の職員、ヘルパー、訪問看護ステーションのスタッフなど職種を超えた横のつながりが重要です。そこで、昨年から医療・介護従事者向けのインターネットを活用したコミュニケーションツールを導入して、これらの多職種間で認知症患者さんの情報を共有できるようになり、大きな助けになっています。また、さいたま市全域で2016年末から始まった取り組みで、認知症初期集中支援チームというのがあります。地域で病院や介護に結びついていない高齢者の認知症のサインを見逃さずに、できるだけ早い段階で医療に結びつけようとするものですが、私は認知症の治療を専門としてきた経験を生かしながらチームに参加しています。明らかに認知症と思われるのに、独居などで医療機関に受診できずに地域で困ってしまうような事態を、これで避けていければ良いなと考えています。

認知症について、ほかにも取り組んでいることがあるそうですね。

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認知症サポーターというのがあります。一般の方が認知症に対する正しい知識を持って、そういう人の気持ちや行動を理解して、地域で生活するそれらの人を温かく見守り、その本人や家族をできる範囲で手助けしましょうというのが認知症サポーターです。私は、2年ほど前からさいたま市の認知症サポーターを養成する講座の講師になっていて、年に2回程度、講習を行っています。さらに、昨年からは埼玉県からも要請を受けて講師を行うなど、認知症の方に向けた対策の手助けができているという自負があります。これを受けている人といない人では、認知症の方に対する目線や温かさが違うと思いますし、認知症サポーターが一人でも増えることで認知症の人が生活しやすい環境になっていくはずですので、これからも続けていきたいですね。

地域の人々の医療の窓口になりたい

診療の際に、心がけていることは何ですか?

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よく、3分診療とか、質問がしにくいなど、病院の診療に関する問題点が聞かれることがありますよね。ですから、私は患者さんの話をしっかり聞いて、できるだけその方に寄り添いたいという思いがあります。いわゆる治療をしなくても、話をすることによって安心し、それによって体が楽になることにつながるケースも実際にあります。一方で、話が長くなりすぎて、ほかの患者さんを長時間待たせるのも困りますので、そのへんのバランスを大事にしながらできる限り話を聞いて、一緒に問題を解決することを大原則として心がけています。

どのようにリフレッシュしていますか?

以前は、週に1回以上はジムに行くことと、月2回程度のフットサルで体を動かすようにしていたのですが、今は新型コロナウィルス感染症の問題で、まったくしていないですね。それで、手持ち無沙汰ということもあって、代わりにではないですが、最近は家で料理をするようになりました。そうすることで妻の負担も減りますし、自分も集中してほかのことを忘れられるというか、リフレッシュになりますね。この間は、スペアリブをつくりました。前日から仕込んで味を染み込ませておいたのですが、子どもたちもおいしいと言ってくれましたね。そんなに手の混んだものは作れないので、男料理の本を見ながらやっています。あとは、家族でキャンプをしたいと思っていて、キャンプグッズを買いそろえているところです。

今後の展望とメッセージをお願いします。

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まず、認知症の診療に関しては、予防の体操や診断の参考にできるアプリなど新しいツールもありますので、それらも駆使しながら、高齢者がより住みやすい環境をつくっていければと思っています。それには、私だけでは難しいですから、いろいろな職種の人と協力しながら取り組んでいくのが必須ですし、現在も行っていますが顔の見える関係を、さらに強化して続けていきたいと考えています。地域の皆さんには、体のことで何か不調や心配事があるのなら、躊躇なく相談に来ていただきたいです。話をしてわかることや、話だけで解決することもたくさんありますし、地域の皆さんの医療の窓口になりますので、何でも気軽に相談してください。

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