朝起きたら膝が痛い、腰が痛いは
放置せず早めに整形外科に相談を
心乃美整形外科内科
(和光市/成増駅)
最終更新日:2025/12/11
- 保険診療
起床時に膝や股関節に痛みがあっても「昼間は何ともないし……」などと放置している人もいるだろう。しかし「それは変形性膝関節症や変形性股関節症の初期症状かもしれません」と注意を呼びかけるのが「心乃美整形外科内科」の田中伸明院長だ。再生医療を研究テーマに博士号を取得し、大学病院では膝・股関節疾患を専門とし研鑽を積んだ田中院長。人工関節置換術の経験も豊富だが、「正しい診断の上で、年齢やライフスタイルなども考慮して行うのが大事です」と力を込める。保存的治療または手術のどちらを選択するにせよ、欠かせないのがリハビリテーションだ。なぜリハビリが大切なのか、どのような場合に人工関節置換術の適用となるのかなど、詳しく教えてもらった。
(取材日2024年12月2日/最終更新日2025年12月8日)
目次
変形性膝関節症や変形性股関節症は、保存的治療から人工関節置換術まで適切な治療法を選べることが大事
- Q朝起きた時だけ、膝や股関節が痛いと感じるようになりました。
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A
▲患者に寄り添い、一人ひとりに合った治療を提案する
起床時だけに膝や股関節に痛みを感じる場合、さまざまな病気の可能性があります。例えば、関節に炎症や痛みが生じる「関節リウマチ」は、特に朝にこわばりや痛みが強く出やすいといわれています。また、大腿骨と脛骨の間にある軟骨組織・半月板の損傷や、股関節の骨がぶつかることで軟骨などが傷つく「大腿骨寛骨臼インピンジメント」の発症の可能性も考えられますね。他にも、変形性膝関節症や変形性股関節症の初期症状としても、起床時の関節の痛みが挙げられます。どの病気も放置すると症状が悪化し、日常動作に支障が出てしまう恐れがありますので、整形外科への早めの相談・受診をしていただきたいです。
- Q変形性膝関節症や変形性股関節症とはどのような疾患なのですか?
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A
▲模型を使ってわかりやすく説明する
加齢やけがによって軟骨が損傷し、徐々にすり減り変形する病気です。筋肉が少なく関節に負担がかかりやすい、50代以上の女性に多く見られます。主な症状は膝や股関節の痛み。最初は起床時に、次第に歩行時にも痛みが起こり、やがて歩行困難になります。治療法には対症療法やリハビリ、ヒアルロン酸注射やステロイド剤注射での対応、人工関節置換術などがありますね。早期発見ができれば治療の選択肢が増えるので、膝や股関節に違和感があればすぐに整形外科を受診しましょう。ただ、適切な治療につなげるためには正しい診断が欠かせません。まずはエックス線で関節に変形があるかを確認し、さらに精査が必要な時はMRI検査を実施します。
- Q人工関節置換術の適用となるのはどんな場合ですか。
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A
▲自宅に帰ってからも確認できるように資料を渡す
保存的治療では改善が見込めず、変形も進行しているもののまだまだアクティブに過ごしたいといった方などに適用可能です。いつまでも保存的治療を続けるのではなく、早期に人工関節置換術に踏み切るのでもなく、年齢やライフスタイルに応じて適切に判断することが大事です。今後活動する時間の長い若い人ほど人工関節置換術に踏み切るメリットがあるともいえますが、2〜3週間の入院が必要なので、仕事との兼ね合いもあり迷う方は多いです。とはいえ、股関節は健康な時と同等の動きを取り戻すことも期待できます。また、膝も正座以外はほぼ問題なくできるようになることが望めるので、生活の質向上のために手術を受ける価値は大いにあります。
- Q手術で人工関節を入れるのは大変なイメージです……。
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A
▲手術は田中先生が連携先の病院で執刀する
入院期間が長いので大手術を想像する方も多いのですが心配には及びません。万が一のトラブルの防止や術後リハビリのために約2週間の加療が必要です。確かに昔は筋肉を切っていたため術後の回復も遅かったのですが、今は股関節の場合筋肉と筋肉の間にメスを入れる方法もありますし、膝関節もなるべく筋肉を切離しないで済む手法が確立されています。手術を行うとなった場合、普段診察している私が提携施設で執刀できますし、平均すると股関節は約60分、膝は約80分で終わります。いずれも最小侵襲手術(MIS)により患者さんへの負担は極力少なくしています。
- Q術後のリハビリ期間が必要なのはなぜでしょうか。
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A
▲コミュニケーションを取りながらリハビリを進める
人工関節は術後に可動域を確保することが重要で、後からそれ以上動くようになることはありません。リハビリ期間を省略しての退院も可能ではあります。しかし、どんなに手術がうまくいってもリハビリを怠ったために台無しになってしまう例もあるので注意してください。基本的には歩行練習、筋力強化、可動域訓練を行います。そもそも膝や股関節を悪くしてしまった、間違った筋肉の使い方を矯正することも必要です。リハビリは入院中だけではなく日々の生活の生活で続けることも欠かせません。当院は治療だけ、リハビリだけではなく、いずれにも注力しているのが強みです。週に1日以上の定期的なリハビリ通院もできるのでぜひ活用してください。

