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杉浦 敏之 理事長、田中 孝幸 副院長の独自取材記事

杉浦医院

(川口市/川口駅)

最終更新日:2024/07/26

杉浦敏之理事長、田中孝幸副院長 杉浦医院 main

川口駅東口から徒歩4分、医療モールの3階にある「杉浦医院」。気さくで話しやすい人柄の杉浦敏之理事長は、地域のかかりつけ医として内科を中心にオールマイティーに診療するドクターだ。杉浦理事長は訪問診療にも力を入れており、終末期の対応をあらかじめ決めて、家族と共有しておくという「アドバンスケアプランニング」の啓発にも熱心に取り組む。クリニックの診療以外にも、高齢者医療の実情を綴った書籍を出版するなど、終末期医療にまつわるさまざまな活動を行っている杉浦理事長と、副院長として昨年から内科全般を診療している田中孝幸先生に、同院の診療内容やアドバンスケアプランニングなどについて詳しく話を聞いた。

(取材日2022年6月20日/情報更新日2023年5月26日)

外来と訪問診療に取り組むかかりつけ医

医院の概要からご紹介ください。

杉浦敏之理事長、田中孝幸副院長 杉浦医院1

【杉浦理事長】もともとは1958年に父が開院した医院でして、私が事業承継した2年後の2005年からは今の場所で診療しています。内科・循環器内科・消化器内科を中心にして、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病をはじめさまざまな疾患を幅広く診療する医院です。以前は外科も対応していましたが、2023年5月より外科の標榜はなくなりました。大きな特色は、訪問診療にも力を入れていることですね。自宅療養中のパーキンソン病のような神経難病、高齢で寝たきりの方、末期がんの患者さんなどを定期的に訪問し、痛みや不安を軽減し、家族の負担も少なくなるよう医療サポートをしています。そして終末期にある場合には「アドバンスケアプランニング」の考え方をベースに、この後どう生きてどう死にたいのかなど、本人の死生観も伺いながら家族と相談した上で治療方法を決めています。

診療体制についても伺います。

【杉浦理事長】基本的には私と田中副院長の2人と総合病院などの病院に勤務する先生方に非常勤で診察してもらっています。それぞれの先生の専門性を生かしつつ、内科全般も幅広く診てもらう体制です。
【田中副院長】前職は埼玉県済生会川口総合病院で循環器内科部長を務めていました。当院ではその専門性を生かし、狭心症や心筋梗塞を発症する原因となる高血圧症・糖尿病・高脂血症などを予防・治療し、できるだけ健康寿命を延ばせるよう努めています。腎臓も循環器に関連する臓器ですから初期の糖尿病の発見や、発症後に合併症を起こさないように力を注いでいます。また、日本内科学会総合内科専門医として発熱症状や下痢・腹痛、花粉症などさまざまな疾患も早期の症状改善をめざして診療しています。

診療で心がけていることを教えてください。

杉浦敏之理事長、田中孝幸副院長 杉浦医院2

【杉浦理事長】患者さんが安心して楽になるなら、手段を選ばないことでしょうか。できるだけ多くの選択肢を提案し、患者さんが納得して治療を受けて、楽になってもらうことを第一に考えています。その手段の一つが、漢方薬です。例えば、ある症状があって、大きな病院で検査をしても何も異常がないという場合などに、漢方薬を処方して改善を試みることがあります。あとは、限られた診察時間の中で、症状や薬についてわかりやすく伝えることも心がけています。
【田中副院長】理事長と同じ方向性でオールマイティーに診療し、早期に症状を改善して楽になってもらえるよう心がけています。また説明もできるだけわかりやすく、動脈硬化の例えでは「キッチンのシンクの水道管が油まみれになって詰まっているみたいな状態」などと伝えています(笑)。イメージがうまく伝われば、患者さんも改善を意識されるはずですからね。

エンディングノートを書いておいてほしい

循環器内科の診療内容について伺いたいと思います。

杉浦敏之理事長、田中孝幸副院長 杉浦医院3

【田中副院長】すでに進行した状況で手術が必要であれば地域拠点病院とのネットワークにより、入院や精密な検査をできるだけスムーズにできるよう図り、術後には当院でしっかりと患者さんのQOLを維持できるよう支えていきます。同時に手術や透析などが必要とならないよう、早期に兆しを見つけて改善することを大切にしています。例えば院内の検査では動脈硬化がどの程度進んでいるかがわかる心臓足首血管指数(CAVI)、脈波伝播速度(PWV)などから血管年齢を測定し、それにより実年齢との差を指標として伝えて生活改善の指導を行っています。

先ほど話されたアドバンスケアプランニングについても詳しく教えてください。

【杉浦理事長】今の医学では回復が望めない場合、延命治療をするのか、そうしないのかの選択は、何より本人の意思が大切です。しかし本人に意識がないときに家族がそれを判断するのは至難の業です。そのため本人も医師も家族も事前にそうした事態について語り合い、納得した上で治療法を選択しましょうよというのがアドバンスケアプランニングです。国や自治体ではその認知を広めるため「人生会議」という愛称を使っています。本人が元気なうちに、そのような事態になったらどうしてほしいのかを家族に伝えておければ、いざというときに判断しやすいということですね。しかし「縁起の悪い話はしたくない」と、なかなかそんな機会が持てないのが実情です。

上手に話す方法があれば、ぜひ知りたいところですね。

杉浦敏之理事長、田中孝幸副院長 杉浦医院4

【杉浦理事長】私も医師だった父が7年前に亡くなり、そうなった時のコンセンサスはできていたので、治療方針には何の問題もありませんでした。一方で、親が亡くなると貯金や生命保険など遺産の整理が大変ですが、その話を何もしていなかったので大騒ぎになったんです。ですから、残された家族が困らないようにするにはどうすればよいのかという視点で、まずはその話をすればいいのです。それは、家族も聞きたいところでしょうからね。本人の希望内容も難しく考えずに、最後まで戦いたいのか、それともあまり苦しいことはしてほしくないのかということだけでもはっきりさせておくと良いと思います。また本人の意思を示すツールとして最近ではエンディングノートも発売されていますし、配布している自治体もあります。まだ元気なうちには書きにくいところもありますので、書きやすいところだけを書いてもらっているだけで、かなり違うと思いますね。

「死」に対してふたをしてはならない

終末期を迎える前にそうした認識を深めておくことも大切ですね。

杉浦敏之理事長、田中孝幸副院長 杉浦医院5

【杉浦理事長】そのとおりでして、私は皆さんに知ってほしいと2017年に『死ねない老人』という本を出版しました。新型コロナウイルス感染拡大の収束後を見据えた『続・死ねない老人』も2021年に著しました。前著では高齢者が自分の望んだ死に方ができない現状を指摘したのですが、国や自治体もその問題解決に向けて動き出しています。続編ではパンデミックを経験し、これからどのように社会全体で取り組んでいけばいいのかを伝える内容としました。自宅で穏やかに死にたいと考える本人の意向どおりにするには、何が不足しているのかも、私の訪問診療の実例を挙げながら紹介しています。家族はどのタイミングで「縁起でもない話」をするのが良いのかや、自治体配布のエンディングノートの記し方など、延命治療をするかどうかの段階に至る前にそうした知識を持ち、認識を新たにしてもらえればと思っています。

ご多忙のようですが、休日はどのようにリフレッシュされていますか?

【杉浦理事長】天体写真を撮っています。院内に飾ってある天体写真は、すべて私が撮影したもので、実は個展も開いたことがあります。福島県の山奥で撮影するのですが、仕事柄頻繁に行くわけにもいかないし、山にこもるわけにもいかない。それでどうしたかというと、遠隔操作システムを自分で作成したんです。望遠鏡がロボットみたいになっていて、コンピューターで方向をコントロールできる仕組みです。カメラも遠隔操作して自宅で撮影しています。もう病気ですね(笑)。天体はこの世界で一番大きな自然ですから、魅力を感じます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

杉浦敏之理事長、田中孝幸副院長 杉浦医院6

【杉浦理事長】まず、人は誰でも最後には死ぬということが大原則で、それは皆さんに意識しておいていただきたいですし、そうすると、それまでにどのように生きるのか、いかに楽しく生きるのかということを考えざるを得なくなると思います。死に対してふたをしてしまうのは不健康で、死について率直に話せるのが健康的なのだと考えていますから、エンディングノートを活用するなどして、家族でアドバンスケアプランニングをしていただきたいと思います。そして当院では、すべての患者さんが納得して、安心できるような、適切な医療を提供することで、患者さんを笑顔にしていきたいと思っています。

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